リーダーシップ往復書簡 054
リーダーシップ往復書簡 054
前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
リーダーは、利害関係の調整を引き受けるからには、必ず成功させなければなりません。
フォロワーから利害関係の調整の依頼を受けることは、フォロワーのリーダーに対する期待の表れでもあり、リーダーの影響力のバロメーターです。
リーダーシップがあり影響力があると目されているリーダーならば、日々、決裁権・決定権など組織上のルールの有無の如何に関わらず、多くの利害関係の調整の依頼が舞い込みます。
なぜなら利害関係の調整によって、当事者同士の問題が解決されるばかりか、依頼者であるフォロワーとリーダーとの人間関係も深まるのです(そのため、下心あって、リーダーに近づくために利害関係の調整を依頼する人も数多くいます。)。
そもそも利害関係の調整ができそうにないと思われていたり、活躍が期待されていないリーダーには、このような利害関係の調整の相談は来ないのです。
そのため、リーダーは利害関係の調整が失敗に終わることは避けなければなりません。
失敗のケースには、利害関係の調整の途中で当事者に席を立たれたり、リーダーが利害関係の調整をしたにもかかわらず、当事者が調整結果である取り決めを反故にしたりする場合があります。
これらのケースでは、もはや、こうなってしまったら、個別の利害関係の調整の内容の問題ではなく、リーダーとフォロワーの信頼関係の低下の問題であり、リーダーの影響力の低下の問題なのです。
映画や小説でよくあるシーンですが、2つの下部団体のケンカの仲裁役を買って出た上部団体のマフィアのボスが「俺の顔に泥を塗りやがったな!」というセリフは、まさにこのような思考法から導き出されている言葉なのです。
リーダーには、組織をまとめる「機能」として、利害関係の調整が求められていますし、フォロワーは、この利害関係の調整を通じて、リーダーが付き従っていくに値するかを見ているのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
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【Q.54】
科学技術などのテクノロジーの発達によって、経営者に、リーダーシップは要らなくなるようにも思いますが、どのようにお考えでしょうか?
<コメント>
あくまで科学技術などのテクノロジーは道具であり手段ですので、世のため人のためといった想い・原点の部分では、経営者に、リーダーシップが要らなくなることはないと思います。
但し、テクノロジーの発達でも、特にデジタルの世界が広がることによって、強烈・猛烈なリーダーシップがなくとも、今より格段に優れた商品・サービスが世界に一気に広がる可能性はあると思います。
チームラボ代表の猪子寿之さんが「世界は、グローバル・ハイクオリティでノーコミュニティ層と、ローカル・ロークオリティでコミュニティ層に分断される」と言っていますが、まさに前者がそれに当たると思います。
GAFAに代表される企業群はテクノロジーで人類の生活を良くしているわけですが、私は、それら企業で働いている経営者やスタッフは、みな素晴らしいリーダーシップを持っていると思います。
彼らは、従来と比較して、営業やマーケティングにおいて、強いリーダーシップを発揮していないかもしれませんが、研究開発においては、過去では信じられないほどの投資をしていて、人類の明日を切り拓くことにチャレンジし主導的な役割を果たしていると思います。
今後は、テクノロジーの進化によって、一般的な経営者の多くにも、よりリーダーシップが求められるようになるかもしれません。
なぜなら経営管理のようなマネジメントの部分はテクノロジーで代替できるようになるからです。
一般的に経営者にはリーダーシップとマネジメントが求められるわけですが、マネジメントにかかる時間が減少すれば、残りのリーダーシップの比重が増えるのは明らかです。
テクノロジーの進化によって、人との向き合いが増えると思います。
今まで以上に、経営者は、テクノロジーの活用を前提に、多くの人に共感されるような目標や夢を描くなど、リーダーシップの発揮が求められると思います。
※この記事は、2020年10月10日付Facebook投稿を転載したものです。