第16回「利益を増やす組織構築 〜 IPO準備から企業価値向上を学ぶ〜」

当社では、2025年9月10日に、ゲスト講師に株式会社タスク 執行役員 コンサルティング事業本部 東日本事業部 泉 裕和氏を迎え、第16回目となるスーツアップ特別ウェビナー「利益を増やす組織構築 〜 IPO準備から企業価値向上を学ぶ〜」を開催しました。

本稿では、中小企業の皆様にとって有益な情報が満載だった本ウェビナーの内容を、前編・後編の2回にわたりダイジェスト版としてお届けいたします。 

前編は、ゲスト講師の泉氏による講演「利益を増やす組織構築 〜 IPO準備から企業価値向上を学ぶ〜」です。泉氏のご経歴は以下のとおりです。

<株式会社タスク 執行役員 コンサルティング事業本部 東日本事業部 泉 裕和氏 

上場会社の経営企画担当者として、中期経営計画立案、予算統制、子会社管理等に従事。2018年よりタスクに参画後は一貫してIPO並びに上場会社向けコンサルティング業務に従事。各社に対してIPOに関する包括的な支援を実行。ファンド・再上場案件・特別注意銘柄指定解除支援案件などで実務責任者を歴任。

後編のゲスト対談(株式会社タスク 執行役員 コンサルティング事業本部 東日本事業部 泉裕和、株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松裕介)はコチラから。

まとめ】

  • IPO準備では「組織」と「規程」の整備が経営管理の基盤になる
  • 縦兼務・横兼務は組織を機能させるための設計上の要
  • “学ぶ”ことから逃げずに、組織設計の原理原則に立ち返る
  • BPOやAIの活用は「やらない理由」をなくす武器になる
  • IPO準備は“企業の器を整える”プロセスである
目次

ウェビナー内容

まずはじめに、今回のウェビナーの趣旨と、自己紹介について少しご説明しておきたいと思います。

本日のウェビナーは「IPO準備における組織構築と規程整備のポイント」というテーマでお話しさせていただきます。IPOと聞くと、どうしても財務や開示などのテーマが注目されがちですが、実はその裏で極めて重要なのが「組織」と「規程」の整備です。

今日ご一緒している小松社長の著書「1+1が10になる組織のつくりかた」にも、実務家の目線から大変共感する内容が多数記されており、今回のテーマとの親和性が非常に高いと感じています。特に組織の再現性や権限構造の見える化といったポイントは、まさにIPO準備における規程整備の根幹とも言える部分ですので、そうした視点も交えながらお話を進めていければと思っています。

なお、本ウェビナーでは、東京証券取引所プライム市場やスタンダード市場ではなく、グロース市場等を想定しお話をしております。やや一般的な言い方でしたり私見もはいっておりますが実際にIPO準備を進めていただく際の温度感を感じていただくためにわかりやすさ、イメージしやすさを重視してお話ししている部分もありますので、ご留意ください。

実際には所属されている会社の実態に合わせてご契約の主幹事証券会社様でしたり、監査法人様、各取引所様等にもお問い合わせいただきご判断をいただきたく思います。

次に、自己紹介をさせていただきます。私自身はもともと経営企画や経理のバックグラウンドがあり、事業会社での経験を経てタスクに入社し、IPO支援を中心にキャリアを積んできました。現在はIPO支援と並行して上場企業向けの不正・不祥事対応なども行っており、内部統制や組織運営に関する実務支援を多く担当しています。

(注記)株式会社タスクは、IPOコンサルティングを専門とする会社で、創業は1995年。現在は宝印刷グループ(タカランドカンパニー)傘下の一員として、上場支援や不正・不祥事対応など、幅広くコーポレート領域を支援させていただいています。

組織構築と規程整備の本質とは

IPO準備における「組織構築」と「規程整備」について、まずなぜ構築・整備が必要なのか、その意味合いを整理しておきたいと思います。

企業がIPOを目指すうえで、よく耳にするのが「内部管理体制を整備してください」「規程を作ってください」というフレーズです。しかし、これらは単なる形式的な項目ではありません。むしろ本質は、「特定の個人に依存しない、再現性のある組織運営をいかに構築できるか」という問いに直結しています。

例えばオーナー企業を例にとると、IPOを通じて、「不特定の株主がいる、みんなの会社=社会の公器」へと変わっていくものであり、その前提となるのが、組織構造の明確化=組織構築と業務運営ルールの文書化=規程整備です。特定の人がいなくても業務が回る、仮に不正が起きても未然に防げる、あるいは説明責任を果たせる、そうした状態をつくるために、組織構築と規程整備が必要なのです。

実際、IPOの準備過程では「この体制をなぜこう設計したのか」「なぜこの人がこの職務を担っているのか」といった質問が主幹事証券会社様、監査法人様等から数多く投げかけられます。そのときに「社長が決めたから」「前からそうだから」では通用しません。明確に根拠を持って構築・設計・規程化され、運用されている体制であること。それが説明上評価されるポイントになります。合わせて、一度作って終わりではなく、事業の変化や組織の成長に応じて、アップデートされ続けるべきものと考えます。

こうした背景から小松社長のご著書「1+1が10になる組織のつくりかた」にも記載があるとおり、「組織が強い会社は規程が整っている」「規程が整っていない会社は、組織としての再現性が乏しい」というのは、まさにIPOを支援している現場に携わるものとしても強く共感するところです。

なぜIPO準備で規程整備が求められるのか

IPO準備の過程で、「なぜここまで組織体制や規程を整備しなければならないのか?」という声をいただくことがあります。特に、少人数でオーナー主導の経営をされてきた企業ほど、その疑問は自然なものだと思います。

IPOを目指すということは、会社が特定の誰かのものから不特定多数のものへと変わっていくということです。これまではオーナーや経営陣の裁量で行っていた意思決定も、今後は「誰が、どのような権限で、なぜその判断をしたのか」を明確にする必要があります。

そのために必要なのが、「組織図」や「職務権限規程」などの明文化されたルールです。恣意的な意思決定や属人的な運営を排除し、組織としての健全性を保つために、組織体制を可視化し、それを規程として文書化することが求められます。

また、規程整備は一度作成すれば終わりではなく、組織や事業の変化に応じてアップデートしていくものです。IPO準備のタイミングは、こうした整備を見直す絶好の機会でもあります。

さらに、こうしたルールがあることで、退職や引継ぎといった場面でも組織として対応が可能になります。属人的な運営ではなく、誰が抜けても業務が回る仕組みをつくることが、IPO後も持続可能な経営を実現するための土台となります。

つまり、IPO準備で求められているのは、単なる書類としての「規程」ではなく、組織としての再現性・説明責任・透明性を担保するための仕組みなのです。

審査で問われる「あるべき組織構成」の具体例

ここからは、IPO審査で求められる具体的な「あるべき組織構成」の考え方について整理していきます。
まずは、よく指摘される代表的な論点を5つに分けて見ていきます。

1つ目は「出向者が責任者になっている部署」です。
たとえば親会社が上場しておらず、子会社だけが上場を目指すケースなどで、子会社の経営層が親会社からの出向者で構成されていると、審査上問題になることがあります。IPO後は会社が社会の公器となるため、責任者はあくまで当該会社のメンバーであるべきだと考えられています。場合によっては「出向解除」を求められることもあります。

2つ目は「財経分離」と呼ばれる項目です。
簡単に言うと、経理伝票を起票した人が入出金も担当する状態は避けましょう、ということです。特に中小企業では、経理と財務を同一人物が担当していることが多く、不正の温床になりかねません。経理と財務は必ずしも部署を分ける必要はありませんが、担当者は明確に分ける必要があります。

3つ目は「一人部署」の問題です。
たとえば総務部門や情報システム部門などで、実務担当者が一人しかいない場合、内部統制上の懸念として指摘されることがあります。本日は詳細は割愛しますが、こうした点も指摘対象となります。

4つ目は「責任者不在の部署」です。
これは1つ目の出向者の論点と似ており、部署が存在するにもかかわらず明確な責任者がいない場合、ガバナンス上の不備と見なされます。誰が意思決定し、誰が最終責任を持つのかが不明確な体制は、IPO審査を通過しません。

5つ目は「横兼務」の問題です。
兼務には「縦」と「横」がありますが、誤解されがちなのは、「縦兼務は1階層までならOK」「横兼務はNG」というルールが絶対であるという思い込みです。実際には、兼務が何のために行われているのか、どのような意図で組織を構成しているのかが問われます。たとえば育成目的で一時的に兼務させている場合、それ自体は否定されるものではありません。

こうした組織構成上の論点は、いずれも「会社がどのように意思決定し、責任を持って運営されているか」を可視化するためのものです。単にルールとして機械的にチェックされるのではなく、会社の実態や目的に即して納得感のある説明ができるかどうかが求められます。

規程設計の起点とプロセス設計

組織の規程設計をどこから始めるべきか、という点について、現場からよくご相談をいただきます。私がいつもお伝えしているのは、「組織の前にまず人から始めましょう」ということです。

まずはバイネームで、誰がどんな業務を担っているのかを整理します。Aさんは何をやっているのか、Bさんはどこまでの業務範囲を持っているのか。ここを洗い出すことがスタートです。その上で、整理した業務を少しずつ抽象化していきます。たとえば、Aさんが担っている業務は「経営企画の仕事」なのか、「営業部の仕事」なのか、「生産部の仕事」なのかといったように、業務の中身を部門単位で捉え直していきます。

さらに、「その業務を担うべき職位」はどこか、という視点も加えます。部長クラスなのか、課長クラスなのか、あるいは執行役員なのか。こうした整理を進めることで、実態と役職との不整合―たとえば、部長が本部長と同じレベルの判断をしているといった矛盾―が見えてきます。

そうした矛盾が明らかになった場合、2つの選択肢があります。1つは、個別の人材に合わせて職位を上げること。もう1つは、役割定義そのものを見直し、このレベルまでは部長職が担うといった形で再定義することです。

このように、具体的な業務実態から出発し、抽象度を上げながら組織全体の構造に落とし込んでいくことが、自然で無理のない規程設計のプロセスだと考えています。特にIPO準備段階においては、「現場で起きていること」と「紙の上の組織図・規程」との間にギャップがあると、審査対応で苦労します。実態を反映した規程であることが、運用の前提となります。

組織は変わってよい。ただし「記録」と「説明」が伴うこと

IPO準備中の企業からよくある相談のひとつに、「場合によっては毎月のように組織を変えていきたいのですが、それは問題がありますか?」というものがあります。
この質問に対して私がお伝えしているのは、「変えること自体は問題ありません」ということです。事業成長にあわせて組織を柔軟に設計し直すことは、むしろ健全なことです。

ただし、変えていく中で重要なのは、「誰が何をやっているか」という責任と説明が明確であること、そして変更の履歴=トラックレコードをしっかり残しておくことです。

たとえば、「この組織はいつから存在していて、誰が責任者で、どのような役割を担っていたのか」という情報がなければ、今の体制が良いのか悪いのか、振り返ることも評価することもできません。

また、予算統制の文脈でも同様の問題が発生します。ある部署がなぜ予算を達成できたのか、あるいはできなかったのかを説明する際に、「誰が責任を持っていたのか」が明確でなければ、原因分析ができません。実際、準備初期の段階では、部署に予算の説明責任が一切ないケースもよく見られます。

したがって、組織を変える際には、「変化を前提とした記録管理と説明責任の体制」を整える必要があります。

技術的には、「この部署は1年間でどれだけの利益貢献があったのか」「どのような編成で、どの時期にどの業務を担っていたのか」といったデータを蓄積・追跡できる状態をつくることが望まれます。これは単に管理のためだけでなく、IPO審査で問われる「一貫した運用実績の証明」にも直結します。

つまり、組織は変わってもよい。むしろ変えるべきときもある。ただし、その変化を管理・証明できる状態にしておくことが必須である、というのがIPO準備における基本的な考え方です。

上場審査を見据えた実行スケジュールと準備ステップ

ここまで、IPO準備における組織構築や規程整備の考え方についてお話ししてきましたが、最後に「具体的にいつから、どのように進めるべきか」という点に触れておきます。

まず、上場審査では「実績としてどれくらいの期間、現行の組織体制や規程が運用されていたか」が問われます。そのため、実行スケジュールとしては、一般的にN-4期(上場予定期の4年前)から着手する企業が多く、最低でもN-2期までに大まかなトライアンドエラーを終えておくことが望ましいと考えます。

審査上は、N-1期での組織の安定運用(=新しい体制がしっかり回っていること)が求められるため、それ以前に試行錯誤しながら制度設計・組織設計を進めておくことが現実的です。

また、組織構築の初期段階では、どうしても制度や体制が不安定になります。しかし、それを恐れずにN-4期やN-3期の段階から試すことに意味があると私は考えています。試した結果、うまくいかなかった点を修正し、この繰り返しによってN-1期には安定した運用ができるようになる、それが理想的な流れです。

さらに、職務権限や責任範囲の定義も、上場後の組織運営を想定して設計する必要があります。「この役職にこの権限を持たせるのが妥当か」「この業務の責任者は誰にするのが適切か」といった問いに対し、会社としての設計思想を持ち、運用を通じて検証していくことが重要です。

上場審査は形式だけでなく、「運用の実態」まで見られます。その意味で、スケジュール管理と実行履歴(トラックレコード)の蓄積は、規程整備や組織設計と並んで極めて重要な要素となります。

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この記事を書いた人

スーツアップの広報担当です。スーツアップは、チームでかんたん、毎日続けられるプロジェクト・タスク管理ツールです。表計算ソフトのような操作で、チームの業務を「見える化」して、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぎます。チームのタスク管理を実現することで、業務の効率化やオペレーションの改善が進み、大幅なコスト削減を実現します。

お問い合わせ先:pr@suits.co.jp

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