リーダーシップ往復書簡 078
リーダーシップ往復書簡 078
リーダーシップに興味を持てば持つほど、その神髄、奥深さに唸らせられます。
リーダーシップには夢と実現可能性、情熱と冷静さ、フォロワーに対する優しさと厳しさなど相反することが要求されることが、分かりづらさと難しさの要因のように思います。
そこには時間軸、相対する各人との関係性や言外のコミュニケーションなど複雑化する要素が沢山あります。例えば、過去と未来では人物や物事の評価は変わりますし、それこそ人を見て法を説けでリーダーは向き合う人ごとに最適なコミュニケーションを変えなければなりません。根底にあるのはその人に対する愛情だとしても、その場その場で優しい言葉・厳しい言葉、さらには言葉以外にも態度を使い分けなければなりません。それらの一面を切り取って、そこだけを見て考えると全体的な判断を誤りかねません。
そのため、前述のとおり、リーダーシップに求められていることを列挙すると、一見、それぞれが論理的に相反していて両立しないように思うわけですが、現実には両立しますし、リーダーたるもの両立させなければならないのです。
年を取るとより理解が深まると思いますが、人にはいろいろな顔があります。分かりやすさのために非科学的な表現を用いますが、人の評価は決して平面であってはならず、立体的な評価である三次元であり、さらには時間軸も加えた四次元でなければならないと思います。
この人間の持つ複雑さを理解し、この複雑さに対処しなければ、より良いリーダーになることはできません。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
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【Q.78】
リーダーの経営成績や営業成績などの数字との向き合い方について教えてください。
<コメント>
私も会社経営の仕事を長くしていますので、数値管理の重要性についてはよく理解をしているつもりです。リーダーがリーダーシップを正しく発揮していれば必ず良い数字を残すことができます。
そのうえで、本稿では、経営成績や営業成績などの数字について語るだけでは、会社が良くならないことを記載したいと思います。
これは企業会計でよく言われることですが、会計とは過去の企業の行動の結果を表したものに過ぎません。そのため、直接的に「売上を増やせ」、「利益を増やせ」や「営業成績を上げろ」とフォロワーに対して言ったとしても、自明過ぎて、ほぼ意味がありません。具体的に、未来に向けて、何を行えばいいのか、どのように行えばいいのかを伝えなければ意味がないのです。
本来であれば、会社に関わるリーダー・フォロワーみんなが実現したいとする経営理念があって、それを実現するための(モニタリング)数値として、経営成績や営業成績などの数字があるのです。
この会社の夢やスタッフ全員の共感を表す経営理念をないがしろにして、目先の数字を追いかけることなど本末転倒と言わざるを得ません。
特に残念ながら2021年においてもまだ一部のブラック企業に見られるようですが、上司が、部下に対して、必要以上の負荷をかけて精神的に追い込むようなコミュニケーションを取る会社に未来があるとは思えません。
サーバント・リーダーシップのように、リーダーは、ビジネスの現場や最前線で努力するフォロワーの支援者であるべきです。
組織に関する数字は科学的・論理的なアプローチとして使い勝手が良いものではありますが、リーダーは、経営管理のために用いるのではなく、各人のリーダーシップが強化できるように使い方を誤らないようにしなければならないと思います。
数字はあくまで会社の「健康状態」を測るツールであって、リーダーは、こういった数字の先にある人間を大事にしなければなりません。
※この記事は、2021年3月27日付Facebook投稿を転載したものです。