リーダーシップ往復書簡 090
リーダーシップ往復書簡 090
おかげさまで、本連載も今回で第90回を迎えます。第100回を目標に、あと10回ばかり書いていこうと考えています。ぜひとも最後までお付き合いください。
本連載でも以前ご紹介しましたが、リーダーには利害関係の調整が求められます。利害関係の調整というと事務手続きのように聞こえるかもしれませんが、この利害関係の調整に失敗をすると、時に組織同士の抗争・戦争になるなど生き死の問題に発展する可能性もあるため、リーダーは重大な責任を背負っています。
私も、様々な会社の企業再生の過程で、ややこしいステークホルダーと交渉し、多くの利害関係の調整をしてまいりましたので、その難しさは嫌というほどに理解しています。
利害関係の調整には大きく2つのポイントがあると考えています。それは、1つ目は、目の前の交渉相手に飲まれないこと、そして、2つ目は、交渉相手はあくまで個人ではあるが、相手の所属する組織の力を侮ってはいけないことだと考えています。
リーダーは、例え相手が大物政治家であろうがマフィアのボスであろうが、どのような権威や権力に対しても臆することなく、一人の人間として、一国一城の主として、しっかりと対峙しなければなりません。
相手や相手の属する組織の影響力に圧倒されていたのでは、利害関係の調整などできるものではありません。一人の人間として、対等に向き合い、もし相手側から脅されようが、世のため人のためにフォロワーのために、毅然と正しいことを言う必要があります。
但し、交渉相手は、一人の人間として取り扱えばいいと思いますが、決して相手の所属する組織の力を侮ってはいけません。
例えば、マフィアのボスは、マフィアという悪の組織において、マフィアのボスらしい振る舞いをしなければ、ボスの座に続けて居座ることはできないのです。そして、もしボスの座から追い落された場合は死に直結する場合もあるわけです。
そのため、利害関係の調整の際に、相手が組織を背負っていることを忘れようものなならば、痛い目を見ることになりかねません。過去の人類の歴史を紐解けば分かるとおり、人間は、国や組織のために、簡単に人殺しなど残虐な行いをするのです。
利害関係の調整は人間力と胆力の世界ですので、厳しい交渉経験をすればするほど、上手になると思います。交渉相手が名前のある大物であろうとひいてはなりませんが、相手が属する組織には最大限の注意を払わなければなりません。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
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【Q.90】
大企業と中小企業で経営者のリーダーシップに違いはありますか?
<コメント>
リーダーシップに組織における地位や立場は関係ありませんので、大企業であれ中小企業であれ、経営者のリーダーシップに違いはありません。
しかし、リーダーシップの原理原則は同じですが、大企業と中小企業では、リーダーがリーダーシップを発揮するその前提が違います。
まずは、大企業と中小企業では、社内にある経営資源が大きく違います。私は、中小企業の経営者こそ、リーダーシップを発揮して、夢や共感の力で、経営資源の獲得をしなければならないと思っています。逆に、大企業の経営者は、社内にある経営資源だけに頼ることなく、強いリーダーシップを発揮して、影響力を広げていく必要があるでしょう。
次に、大企業と中小企業では、コミュニケーション方法が違います。リーダーはフォロワーに対して夢や目標を掲げることが求められます。そのため、その夢や目標についてフォロワーに共感してもらうために、リーダーは、フォロワーに対して、しっかりとしたコミュニケーションをする必要があるわけですが、大企業と中小企業ではスタッフ数が違いますので、コミュニケーション方法を変える必要があります。中小企業の場合はフォロワーを一人ずつ口説いていけば事足りると思いますが、大企業の場合は、より多くの人とコミュニケーションするために、文章を書いたり映像出演したりする必要もあるでしょう。
このように各論については様々違いがあると思いますが、リーダーシップのあり方については、組織の大きさを気にする必要は一切ありません。
※この記事は、2021年5月11日付Facebook投稿を転載したものです。