エクセルで帳簿を作成する方法を解説!
事業を営んでいると、必要不可欠なのが帳簿の作成です。
経理担当者は正しく帳簿を付けなければならず、「見やすくて使いやすい帳簿を作りたい」「基本的な帳簿の書き方を知りたい」と考えている人もいるかもしれません。
今回の記事では、エクセルで帳簿を作成する方法をご紹介します。
企業を経営する上で重要な帳簿ですが、会計ソフトを導入しなくても、使い慣れたエクセルで作成可能です。
エクセルで帳簿を作成したい人はぜひ参考にしてくださいね。
帳簿とは
帳簿は、事業内での取引、資産や負債など、お金の流れを記録するものです。正しくは「会計帳簿」と言われます。帳簿にはさまざまな種類と役割がありますが、大きく分けると以下の2種類になります。
- 主要簿
- 補助簿
主要簿は、発生した全取引を記録する帳簿で、全ての事業者が必ず作成します。一方、補助簿は主要簿を補足するもので、取引や資産の詳細を記録する帳簿です。
さらに主要簿と補助簿は、それぞれ下記に分類できます。
主要簿 | 仕訳帳:取引を貸方と借方に仕分けて記録する 総勘定元帳:取引を勘定科目別に分類すして記録する | |
補助簿 | 補助元帳 | 仕入先元帳(買掛金元帳):仕入れ先ごとに取引や残高を記録する 得意先元帳(売掛金元帳):得意先ごとに取引や残高を記録する 商品有高帳:商品の在庫を記録する 固定資産台帳:取得価格が10万円以上の資産を記録する |
補助記入帳 | 現金出納帳(金銭出納帳):現金の入出金の流れを記録する 預金出納帳:金融口座ごとに預金の入出金を記録する 小口現金出納帳:少額の入出金を記録する 仕入帳:仕入れの詳細を記録する 売上帳:売上の詳細を記録する 支払手形記入帳:支払手形を記録する 受取手形記入帳:受取手形を記録する |
今回は、補助簿の補助記入帳である「現金出納帳」の作り方をご紹介します。日々の取引を詳細に記録するので、作成方法を身に着けておくと、ほかの帳簿作成にも応用できるでしょう。
帳簿を作成する目的
帳簿の作成には、複数の目的があります。以下の3点が主な目的です。
- 事業内での取引や資産状況、経営状況を把握すること
- 決算書、損益計算書、賃借対照表などの元データとすること
- 作成と保管の義務を果たすこと
経営者にとって、重要な判断を下す際に取引や資産状況を把握しておくことは重要です。そのため、適切に記録・保管された帳簿が必要になるでしょう。
また、決済関係の書類作成にも、帳簿のデータは欠かせません。
さらに、帳簿は作成と保管の義務があります。法人の場合、税法上は7年間、会社法上は10年間、保管しておかなければなりません。個人事業主の場合、青色申告でも白色申告でも最低5年間は保管の義務があります。
エクセルで帳簿を作成するメリット
エクセルは汎用性の高いビジネスツールですが、帳簿の作成にも対応可能です。エクセルを活用することのメリットをご紹介します。
低コストで導入できる
エクセルはすでに導入していることが多く、新たに導入する場合でも高額の費用はかかりません。
そのため、会計業務のために専用のシステムを導入するよりコストが抑えられるでしょう。
通常、会計ソフトには初期費用が掛かり、ユーザーや端末の数が多くなると追加料金が発生します。場合によっては帳簿作成のために高額な費用を捻出しなければいけません。しかし、エクセルなら大がかりな準備や費用も不要で、ほかの業務にも使えます。
ほかのシステムと比較すると、エクセルでの帳簿作りは低コストで済むと言えるでしょう。
共有しやすい
エクセルはほとんどの人が使用しているビジネスツールです。そのため、ファイル形式を変換することなく共有できるでしょう。多くの場合、共有のサーバに保存したり、メールに添付したりすることで簡単にやり取りができます。
また、社内だけでなく、エクセルが使えるパソコンがあれば、社外でも共有可能です。例えば、税理士にデータを提出することもできるでしょう。
エクセルで作成した帳簿なら、データを手間なく共有可能です。
エクセルで帳簿を作成するデメリット
エクセルは使いやすくメリットが多いですが、専用システムと比較した場合、デメリットもあります。エクセルので帳簿を作成する際のデメリットをご紹介します。
入力ミスが起こりやすい
エクセルは基本的に手入力や手動での設定になるため、誤字脱字があったり数値や数式を間違って登録したりしてしまうことがあります。また、設定した関数が正しくなかったり壊れたりすると、ミスの発見や修正に手間取ってしまうこともあるでしょう。
名称や計算結果が誤っていると帳簿自体の信頼度が下がってしまうことも考えられるので注意が必要です。
エクセルは簡単に操作できる反面、間違いも起こりやすいというリスクがあるので、対策を検討しましょう。
会計知識が必要になる
エクセルで帳簿を作る場合、適切なフォーマットを整えるために最低限の会計知識が必要です。
帳簿の付け方には、単式簿記(簡易式簿記)と複式簿記の2通りがあり、初心者には難しい複式簿記の知識が必要なことが多いです。
また、法改正があれば、その都度エクセルのフォーマットを見直して対応しなければいけません。
作成した帳簿は決算関係の書類作りにも活用することが多いので、会計の知識に長けた人が帳簿作成の担当者としてふさわしいでしょう。
エクセルで帳簿を作成する方法
エクセルで現金出納帳(金銭出納帳)を作成する手順をご紹介します。以下の手順を参考にしてみてください。
現金出納帳に必要な項目を検討し、フォーマットを作成します。例は、以下の通りです。
- 取引日
- 取引先
- 勘定科目
- 摘要
- 入金
- 出金
- 金額残高
各入出金による残高の変化が表示されるように数式を登録します。
月初めは前月からの繰越分を入金として登録します。
月末は次月への繰越分を計算します。その際、当月の入金額と出金額+残高が一致するか、確認しましょう。月ごとや期ごとにエクセルのシートを変えるのもおすすめです。
取引ごとに情報を入力していきます。
情報を入力していく際には、一定のルールを設けましょう。例としては以下か挙げられます。
- 数字は漢数字ではなくアラビア数字を使用する
- 略字は決められた表記に統一する
- 修正する場合は責任者の承認を得る
取引を記入していき、現金出納帳の運用を開始しましょう。
テンプレートの利用もおすすめ
エクセルには現金出納帳のテンプレートがあります。
テンプレートを使えば、自分で一からフォーマットを作りこむ必要がなく、帳簿作成初期の労力が大幅に抑えられるでしょう。エクセルなので、活用していくうちにより使いやすいフォーマットに改定することもできます。
以下の手順でテンプレートを利用しましょう。
「ダウンロード」ボタンをクリックして、テンプレートをダウンロードします。
ダウンロードしたテンプレートをエクセルで開きます。
テンプレートのエクセルファイルには、使い方や使用例のシートが付いていることがあります。各シートを確認し使用方法を検討しましょう。問題なければ、そのまま運用を始められます。
テンプレートになかった「取引先」と「勘定科目」の項目を追加します。数式はすでに設定されているので、情報を入力すれば、現金出納帳として使用できます。
エクセルで帳簿作成するときのポイント
エクセルで帳簿を作成し運用していく際には、ポイントを押さえておくとスムーズになります。
エクセルの帳簿を適切に活用するコツを2点ご紹介します。
記入担当者を決める
帳簿の記入や管理を行う担当者を決めておきましょう。
帳簿の管理は経理部門の社員のみが取り扱うようにし、ほかの部署の社員は帳簿に必要な書類を経理部門に提出するなど体制を整えましょう。
また、経理部門のなかでも、帳簿の管理と現金の管理は別の担当者にすることで、ダブルチェックができたり、不正を防げたりするでしょう。
金額が合わない場合の対応を決める
帳簿を付けていると、どうしても金額が合わないことがありますが、その際の対応方法をあらかじめ決めておきましょう。
金額が合わない際の確認手順は、以下の例が考えられます。
- 実際の現金残高を確認する(現金を数える)
- 現金出納帳の残高と実際の現金残高の差額を算出する
- 各入出金に誤りがないか確認する
- 現金出納帳の計算に誤りがないか確認する
- 現金出納帳に記入していない取引がないか確認する
最終的に金額が合わない場合は、「現金過不足」として処理を行います。