リーダーシップ往復書簡 042
前回に引き続き、リーダーとして向き合わざるを得ない、正しさや倫理観について共に考えたいと思います。
リーダーは、フォロワーに対して、正しいことを言わなければなりませんし、正しさや倫理観の基準を示さなければなりません。
しかし、この正しさの伝え方がやっかいなのです。言い方・伝え方を間違えると、正しさは、弱い人に対して、「強すぎる」のです。
私も拙いながらも会社経営の仕事を15年以上させていただいていますが、この点ほど難しいことはないと考えます。
皆さんもご存じのとおり、今の日本社会において、正しいことができなかったり、一般的な倫理観を逸脱した行動をしていたりする人がいたとしたら、それは精神的に追い込まれている人なのです。
その人たちも、さすがに善悪の区別ぐらいついています。それでも、例えばちょっと嘘をついてしまったり、取引事業者にキックバックをすることで有利な条件を引き出したり(もっと過激ならば、粉飾決算や架空取引など。)と、倫理的な面でオーバーランをしてしまうにはしてしまうなりの理由があるわけです。
前述のとおり、もちろんリーダーは、こういった人たちに対しても、しっかりと正しさや倫理観は伝えなければなりませんし、注意もしなければならないと思います。
しかし、表面的に、正しさを伝えても問題解決には繋がらないことが多いです。むしろ、下手をすると、その人を追い込むだけになってしまいます。
平時のように、なぜその人が正しくいられないのか、弱さの根源となる問題解決をしてあげなければなりません。
リーダーが正しいことを言うからには、きれいごとだけではなく、フォロワーの雑多な問題も引き受ける覚悟が必要なのではないかと思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
<コメント>
いただいた質問だと情報が少ないので、前提となる情報がもう少し欲しいところですが、もし私が部下ならば、以下のように動きます。
まず、「問題ある行動」が、継続的なことなのか、過去の1回の出来事なのか、会社に損失が出ているのか、治癒が可能なのか、共謀している人はいるのか、法律を犯しているのかなど、もう少し状況把握・情報分析をする必要があると思います。
そのうえで、その上司を救い出すことができると判断するならば、いつ、どこで、どのように彼と対峙するかを考えます。逆に、社会人・組織人として、救いようのないレベルであれば、内部通報制度や内部監査室など外部組織と連携、もしくは、さらに上の職位の上司に話を持っていって問題解決にあたります。
前者の場合は、その上司が「問題ある行動」がミスで生じていることなのか、悪意を持って行っているのかによって、対応が変わります。
単なるミスであれば、情報を整理して伝えて、教えてあげます。悪意を持った確信犯の場合は、こちらもそれ以上の正義を持って、ぶつからなければならないと思います。そして、なぜこのような選択肢を取らざるを得なかったのか、その背景についても、情報把握に努めたほうがいいと思います。
会社経営とは問題に対峙することです。そのための練習だと思って、真正面から問題と対峙すると良いと思います。
これで上司を真っ当な道に引き戻すことができたならば、それは素晴らしい経験だと思いますし、ご質問いただいた方は自信にしてよいと思います。なかなかの人間力だと思います。
※この記事は、2020年7月25日付Facebook投稿を転載したものです。