【完全解説】RACIチャートとは?作り方から具体例まで5ステップで徹底理解

プロジェクトを進める中で「誰がこのタスクを担当するの?」「最終的な責任は誰が取るの?」「この決定には誰に相談すべき?」といった役割分担の曖昧さに悩んでいませんか?
特にチームが大きくなったり、複数の部門が関わるプロジェクトでは、責任の所在が不明確になりがちです。
2025年現在、リモートワークやハイブリッドワークが定着する中で、より一層明確な責任分担が求められています。
この記事では、プロジェクト管理において必須のツール「RACIチャート」について、基本概念から実践的な作成方法まで詳しく解説します。
RACIチャートとは?
RACIチャート(レイシーチャート)は、プロジェクト管理で使用される責任分担表の一種で、プロジェクトの各タスクや成果物に対して、チームメンバーの役割と責任を明確に定義するツールです。
プロジェクトを成功に導くためには、「誰が何をするのか」「誰に責任があるのか」を明確にすることが不可欠です。
特に複数の部署や外部パートナーが関わる大規模なプロジェクトでは、役割分担の曖昧さが原因でプロジェクトが停滞したり、重複作業が発生したりするリスクがあります。
RACIチャートは、このような問題を解決するために開発された手法で、プロジェクトマネジメント協会(PMI)のガイドラインでも推奨されている標準的なツールです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松裕介プロジェクトでよくある「それは誰の仕事?」という混乱を防ぐための強力なツールですね!
表形式で視覚的に分かりやすく整理されているため、プロジェクトの関係者全員が一目で役割分担を理解できる点が大きな特徴です。
RACIチャートの定義とメリット
RACIチャートの「RACI」は「レイシー」と読み、4つの英単語の頭文字から構成されています。
それぞれの文字には明確な役割の定義があります。
- R(Responsible):実際にタスクを実行する人
- A(Accountable):最終的な説明責任を負う人
- C(Consulted):相談を受ける専門家
- I(Informed):情報を受け取る関係者
📝 RACIチャートの主なメリット
- 役割分担の明確化による作業効率の向上
- 責任の所在が明確になることでアカウンタビリティの向上
- 重複作業や作業漏れの防止
- ステークホルダー間のコミュニケーション改善
なぜプロジェクト管理でRACIチャートが必要なのか
プロジェクト管理においてRACIチャートが重要視される理由は、プロジェクトの成功率向上と効率性の改善にあります。
明確な役割分担により、プロジェクトチーム全体のパフォーマンスが大幅に向上することが実証されています。



政府機関でも内閣官房IT総合戦略室が発行する「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」において、プロジェクト管理における役割分担の重要性が強調されているんです!
最も重要な効果は、責任の所在を明確にすることで発生する意思決定の迅速化です。
誰が最終的な決定権を持つのかが事前に決まっていれば、問題が発生した際にも素早い対応が可能になります。
これにより、プロジェクトの遅延リスクを大幅に削減できます。
また、重複作業の防止と作業漏れの回避も大きなメリットです。
各タスクに対して実行責任者が明確に定められているため、「誰かがやるだろう」という思い込みによる作業漏れや、複数の人が同じ作業を行ってしまう無駄を防げます。
- 意思決定の迅速化
- 重複作業の防止と作業漏れの回避
- コミュニケーションの効率化
- 新規参加メンバーの早期戦力化
コミュニケーションの効率化も見逃せない効果です。
誰に相談すべきか、誰に情報を共有すべきかが明確になることで、不要な会議や確認作業を削減し、必要な人にのみ適切なタイミングで情報を伝達できます。



特に大規模なプロジェクトでは、コミュニケーションコストが膨大になりがちですが、RACIチャートがあることで劇的に改善されるケースが多いですね。
さらに、新規参加メンバーの早期戦力化にも効果を発揮します。
RACIチャートがあることで、プロジェクトに新しく参加したメンバーも、自分の役割と他のメンバーとの関係性を素早く理解できるため、プロジェクトへの貢献度を早期に高めることができます。
RACIチャートの4つの役割を分かりやすく解説
RACIは4つの英単語の頭文字を取ったもので、「Responsible(実行責任者)」「Accountable(説明責任者)」「Consulted(相談対象者)」「Informed(報告対象者)」を表しています。
このフレームワークを活用することで、プロジェクトにおける責任の所在が曖昧になることを防ぎ、効率的なタスク実行と円滑なコミュニケーションを実現できます。
R(Responsible)実行責任者:実際に作業する人
Responsible(実行責任者)は、具体的なタスクや作業を実際に遂行する担当者を指します。
この役割を担う人は、与えられたタスクを期限内に完成させる直接的な責任を負います。
- タスクの計画立案
- 必要なリソースの確保
- 作業の進捗管理
- 品質確保
例えば、Webサイト制作プロジェクトにおいてデザイン作成のタスクがあった場合、デザイナーがResponsibleとなり、実際にデザインを作成し、仕様書に沿った成果物を提出する責任を持ちます。



実行責任者は「実際に手を動かす人」と覚えると分かりやすいですね。複数人で作業を分担する場合もあります。
チーム作業が必要な場合や、専門性の異なる複数のスキルが求められる場合には、複数のメンバーが共同でResponsibleとなることがあります。
💡 複数人がResponsibleになるケース
複雑なタスクでは、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアが共同でResponsibleとなり、それぞれの専門領域で作業を分担することがあります。
A(Accountable)説明責任者:最終的な責任を持つ人
Accountable(説明責任者)は、タスクの最終的な成果に対して説明責任を負う人です。
実行責任者(Responsible)が実際の作業を行うのに対し、説明責任者は「そのタスクが適切に完了したか」を判断し、結果に対して上位組織や関係者に説明する責任を持ちます。
- タスクの承認
- 品質のチェック
- 期限の管理
- 問題が発生した際の意思決定
先ほどのWebサイトデザインの例では、プロジェクトマネージャーやデザイン部門の責任者がAccountableとなり、デザインが要件を満たしているかを最終確認し、クライアントへの提出可否を判断します。



実際の作業を行う人と最終責任を負う人が異なることで、品質管理と責任の所在が明確になりますね。
📝 ResponsibleとAccountableの違い
ResponsibleとAccountableの重要な違いは、権限と責任のレベルです。
Accountableは「Go/No-Go」の決定権を持ち、予算やスケジュールに関する調整権限も持つのが一般的です。
C(Consulted)相談対象者:専門知識を提供する人
Consulted(相談対象者)は、タスクの実行過程において専門的な知識やアドバイスを提供する人です。
この役割の人は実際にタスクを実行するわけではありませんが、その分野の専門家として双方向のコミュニケーションを通じて重要な情報を提供します。



専門家への相談は双方向のやり取りが特徴です。単に情報を受け取るだけでなく、積極的にアドバイスを提供する立場ですね。
相談対象者が関わる場面は多岐にわたります。
- 技術的な判断が必要な場合のエンジニア
- 法的なリスクを確認する際の法務担当者
- 予算に関する相談を受ける経理担当者
例えば、新システム導入プロジェクトにおいて、既存システムとの連携部分について、システム運用チームの担当者がConsultedとして技術的なアドバイスを提供することがあります。
🔄 Consultedの重要な特徴
Consultedの重要な特徴は、一方的な情報提供ではなく、双方向のコミュニケーションを行う点です。
実行責任者から相談を受けて回答するだけでなく、必要に応じて追加の質問をしたり、代替案を提案したりする積極的な関与が期待されます。



単なる情報提供者ではなく、プロジェクトの成功に向けて積極的にアドバイスを行う専門家という位置づけですね!
I(Informed)報告対象者:結果を知っておくべき人
Informed(報告対象者)は、タスクの進捗や結果について情報を受け取る必要がある人です。
直接的にタスクに関与することはありませんが、プロジェクト全体の把握や今後の意思決定のために、タスクの状況を知っておく必要があります。
- タスクの進捗や結果の情報を受け取る
- 直接的な関与はしない
- 一方向的な情報提供が主体
- プロジェクト全体把握や意思決定材料として活用
報告対象者には、経営層、他部署のマネージャー、関連するプロジェクトの担当者、外部のステークホルダーなどが含まれます。
情報提供は一方向的で、定期的な進捗報告、完了報告、重要な変更事項の連絡などの形で行われます。



例えば、マーケティング部門が新商品のプロモーション企画を進める際、営業部門の管理職が今後の販売戦略立案のためにプロモーション内容の報告を受けるケースなどが該当します。
📝 ConsultedとInformedの違い
| 項目 | Consulted | Informed |
|---|---|---|
| コミュニケーション | 双方向のやり取り | 一方向の情報受信 |
| 関与度 | 積極的に関与 | 情報受信のみ |
| 人数 | 比較的少数 | 比較的多数 |
RACIチャートを効果的に活用するためには、これら4つの役割の違いを正確に理解し、プロジェクトの性質や組織の構造に応じて適切な人材配置を行うことが不可欠です。
RACIチャートの作り方を5ステップで解説
RACIチャート(レイシーチャート)は、プロジェクト管理における責任分担を明確化する重要なツールです。
プロジェクトが複雑化し、多くの関係者が関わる現代において、誰がどの作業に責任を持つのかを視覚的に整理することで、プロジェクトの成功率を大幅に向上させることができます。
デジタル庁のプロジェクト管理ガイドラインでも、責任分担の明確化は重要な要素として位置づけられています。



RACIチャートは初心者でも簡単に作成できるので、ぜひこの機会にマスターしましょう!
ここでは、初心者でもすぐに実践できるRACIチャートの作成手順を5つのステップで詳しく解説します。
ステップ1:プロジェクトのタスクと成果物をリストアップする
この段階では、プロジェクトのスコープ全体を把握し、大きなフェーズから細かい作業レベルまで段階的に分解していきます。



プロジェクトの全体像を把握してから細かい作業に分解していくことで、後の責任分担も明確になりますね。
効果的なタスクの洗い出し方法として、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造)の手法を活用することをお勧めします。
まず、プロジェクトの最終目標を明確にし、そこから逆算して必要な主要フェーズを設定します。
次に、各フェーズで必要となる具体的なタスクを細分化し、実行可能なレベルまで分解していきます。
- タスクは動詞で始まる具体的なアクション形式で記述
- 成果物は名詞形で明確に定義
- 実行可能なレベルまで細分化
例えば、「要件定義書を作成する」「システム設計を承認する」「テスト計画書をレビューする」といった形で整理します。



動詞と名詞を使い分けることで、「誰が何をするのか」「何を作り上げるのか」が明確になり、後の責任分担もスムーズに進められます。
ステップ2:関係者(ステークホルダー)を洗い出す
プロジェクトに関わる全ての関係者を特定し、リスト化します。
この作業は、後のRACIの割り当てで重要な役割を果たすため、関係者を見落とさないよう注意深く進める必要があります。
ステークホルダーの洗い出しは、プロジェクトの成功を左右する重要な工程です。見落としがないよう、チーム全体でブレインストーミングを行うことをおすすめします。
- 内部関係者と外部関係者を明確に分ける
- 各関係者の権限範囲を把握する
- 専門知識の有無を確認する
- プロジェクトへの関与度を整理する
ステークホルダーの洗い出しでは、内部関係者と外部関係者を明確に分けて整理します。
📝内部関係者
内部関係者には、プロジェクトマネージャー、チームメンバー、部門長、経営陣などが含まれます。
📝外部関係者
外部関係者には、顧客、ベンダー、協力会社、規制当局などが該当します。
| 分類 | 具体例 | 主な関与内容 |
|---|---|---|
| 内部関係者 | プロジェクトマネージャー、チームメンバー、部門長、経営陣 | プロジェクトの実行・管理・意思決定 |
| 外部関係者 | 顧客、ベンダー、協力会社、規制当局 | 要件提供・サービス提供・法規制遵守 |
各関係者について、役職・部署・専門領域・プロジェクトへの関与度を整理し、後のRACIマトリックスで適切な責任を割り当てられるよう準備します。
決裁権限者の特定を怠ると、プロジェクト進行中に承認待ちで作業が止まってしまう可能性があります。事前にしっかりと確認しておきましょう。
ステップ3:RACIマトリックス表をExcelで作成する
- タスク名の列は他の列より幅を広く設定
- 関係者名は略称または役職名で簡潔に表示
- セル結合でプロジェクトフェーズごとにグループ化
Excelでの表作成では、見やすさと使いやすさを重視した設計にします。
タスク名の列は他の列より幅を広く取り、関係者名は略称または役職名で簡潔に表示します。
セルの結合機能を活用して、プロジェクトフェーズごとにタスクをグループ化することで、全体の構造が把握しやすくなります。
セル結合は適度に使用することで、表の見やすさが格段に向上しますね。特にフェーズごとの区切りが明確になります。
| RACI定義 | 意味 |
|---|---|
| R(Responsible) | 実行責任者 |
| A(Accountable) | 説明責任者 |
| C(Consulted) | 相談先 |
| I(Informed) | 報告先 |
R(Responsible:実行責任者)、A(Accountable:説明責任者)、C(Consulted:相談先)、I(Informed:報告先)の定義を明確にし、色分けやフォント設定で視認性を高めます。
ステップ4:各タスクにR・A・C・Iを当てはめる
RACIマトリックスの各セルに、適切な役割(R、A、C、I)を割り当てていきます。
この作業は、プロジェクトの成功を左右する最も重要なステップです。
責任の所在を明確にすることで、プロジェクトの混乱を未然に防げるんですね。
- 各タスクで必ずRとAを設定する
- Aは必ず一人とすることを徹底する
- CとIの設定では必要最小限の人数に絞る
- 情報過多による混乱を防ぐ
責任の重複や空白を防ぐために、各役割の明確な定義が重要ですね。
ステップ5:チーム内で確認して調整する
作成したRACIチャートをチーム全体で確認し、必要な調整を行います。
この最終ステップでは、関係者全員が自分の役割と責任を正しく理解し、合意を得ることが目標です。
RACIチャートは作って終わりではありません。チーム全体での合意形成が成功の鍵となります。
- 全体会議でRACIチャートの内容を説明
- 各メンバーが自分の役割を正確に理解
- Aメンバーへの責任範囲と決裁権限の詳細説明
チーム確認では、まず全体会議でRACIチャートの内容を説明し、各メンバーが自分に割り当てられた役割を確認します。
特に、Aが設定されたメンバーには、その責任範囲と決裁権限について詳しく説明し、理解と合意を得ます。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 役割の重複 | 同一タスクで複数のAが設定されていないか |
| 役割の漏れ | 重要なタスクでRが設定されているか |
| 負荷バランス | CやIの設定が適切で偏りがないか |
プロジェクト進行中は、定期的にRACIチャートを見直し、必要に応じて更新することで、常に最新の責任分担を維持できます。
RACIチャートは「生きた文書」として、プロジェクトの進捗に合わせて柔軟に更新していくことが大切ですね。
RACIチャートの作成方法・実際の活用例
この章では、RACIチャートを活用するための効率的な作成方法と、実際のプロジェクトでの活用例を紹介します。
RACIチャートの効率的な作成方法
RACIチャートを効率的に作成するために、以下のような無料ツールやテンプレートを活用できます。
エクセルでは、行にタスクや活動、列にプロジェクトメンバーの役職や名前を配置したシンプルな表形式のテンプレートが最も実用的です。
各セルにR、A、C、Iのいずれかを入力し、色分けを行うことで視覚的にわかりやすくできます。
エクセルなら多くの企業で利用されているため、チーム全体での導入がスムーズですね
スプレッドシートを使用する場合は、リアルタイムでの共同編集機能を活用し、プロジェクトメンバー全員で同時に確認・更新できるため、特にリモートワーク環境では効果的です。
- プロジェクト名と作成日
- 各役割(R・A・C・I)の定義説明
- メンバー一覧と連絡先
- 最終更新日と更新者
- 承認者のサイン欄
また、PowerPointでプレゼンテーション用のRACIチャートを作成する際は、重要なタスクや意思決定ポイントのみを抽出し、ステークホルダーへの報告や合意形成に活用できます。
特に、Aの役割を担う管理職レベルの関係者が一目で理解できるよう、シンプルで見やすいデザインを心がけることが重要です。
また、プロジェクトの進行に合わせて定期的に見直しを行い、必要に応じて更新することで、常に最新の状況を反映した実用的なツールとして活用できます。
Webサイト制作プロジェクトでのRACIチャート例
Webサイト制作プロジェクトでは、デザイナー、エンジニア、ディレクター、クライアントなど多様な関係者が関わるため、RACIチャートが特に有効です。
複数の職種が関わるWebプロジェクトでは、責任範囲の曖昧さがトラブルの原因になりがちです。RACIチャートで明確に整理しておくことが重要ですね。
例えば、企業のコーポレートサイトリニューアルプロジェクトでは以下のような役割分担が考えられます。
| 作業項目 | 役割分担 |
| クライアントヒアリング | プロジェクトマネージャー(R)、営業担当(C)、デザイナー(I)、エンジニア(I) |
| 要件書作成 | プロジェクトマネージャー(R/A)、デザイナー(C)、エンジニア(C)、クライアント(I) |
| 作業項目 | 役割分担 |
| ワイヤーフレーム作成 | デザイナー(R)、プロジェクトマネージャー(A)、エンジニア(C)、クライアント(I) |
| デザインカンプ制作 | デザイナー(R/A)、プロジェクトマネージャー(C)、クライアント(C)、エンジニア(I) |
| 作業項目 | 役割分担 |
| フロントエンド実装 | フロントエンドエンジニア(R)、テックリード(A)、デザイナー(C)、プロジェクトマネージャー(I) |
| バックエンド開発 | バックエンドエンジニア(R)、テックリード(A)、プロジェクトマネージャー(I) |
- 各フェーズで明確な責任者(R)を設定
- 相談が必要な関係者(C)と情報共有が必要な関係者(I)を明確に区別
- 承認権限(A)の所在を明確化
この例では、各フェーズで明確な責任者を設定し、相談が必要な関係者と情報共有が必要な関係者を区別しています。
システム開発プロジェクトでのRACIチャート例
システム開発プロジェクトは多岐にわたる専門性が必要なため、役割分担が曖昧だと混乱が生じやすいですね。RACIチャートで明確化することが重要です。
顧客管理システム(CRM)の新規開発プロジェクトを例に取ると、以下のような構成が典型的です。
| 作業項目 | R(実行責任者) | A(説明責任者) | C(相談される人) | I(報告を受ける人) |
| API開発 | バックエンド開発者 | テックリード | フロントエンド開発者 | テスター |
| UI実装 | フロントエンド開発者 | UIデザイナー | バックエンド開発者 | プロジェクトマネージャー |
- 技術的な判断を行う人(A)と実際に作業を行う人(R)を明確に分離
- 品質管理と進捗管理の両立を図る役割分担
- フェーズごとに異なる専門性を持つメンバーの適切な配置
システム開発では特に、技術的な判断を行う人(Accountable)と実際に作業を行う人(Responsible)を明確に分けることで、品質管理と進捗管理の両立を図れます。
RACIチャート運用のよくある失敗パターンと対処方法
RACIチャートは責任分担を明確化する有効なツールですが、実際の運用では多くの組織が共通の問題に直面します。
これらの問題を事前に理解し、適切な対処方法を知っておくことで、RACIチャート導入の成功率を大幅に向上させることができます。
最も頻発する3つの問題パターンは、説明責任者(A)の重複、実行責任者(R)の不明確さ、そして相談(C)と報告(I)の役割混同です。
これらは単なる運用ミスではなく、チーム内のコミュニケーション不足や権限関係の曖昧さから生じる構造的な問題であることが多く、放置すると責任の押し付け合いや意思決定の遅延を引き起こします。
特にプロジェクト初期段階でこれらの問題を見落とすと、後々の修正が困難になります。事前の対策が重要ですね。
説明責任者(A)の重複による意思決定の混乱
この状況が発生すると、最終的な意思決定者が不明確になり、問題が生じた際に 誰も責任を取らない 状態に陥ってしまいます。
複数人の責任者がいると、結局誰も決断できない状況になりがちですね。これは組織運営でよく見られる問題です。
根本的な原因として、組織内の権限関係が曖昧であることや、複数の部門が関与するプロジェクトでそれぞれの部門長が責任を主張することが挙げられます。
また、プロジェクト全体を俯瞰できる立場の人材が不足している場合にも、この問題が頻発します。
- 組織内の権限関係が曖昧
- 複数部門の責任者がそれぞれ責任を主張
- プロジェクト全体を俯瞰できる人材の不足
解決方法として最も重要なのは、最終決裁者は必ず1人にするという鉄則を厳守することです。
具体的には、まずプロジェクト開始前に組織図と権限関係を整理し、各タスクレベルでの最終責任者を明確に定義します。
複数の候補者がいる場合は、そのタスクに最も大きな影響力を持つ人、または失敗時に最も大きな損失を被る部門の責任者を選定します。
さらに、説明責任者の役割を具体化し、承認権限・予算責任・成果責任の3つの観点から責任範囲を明文化することで、複数人での責任分散を防ぐことができます。
| 責任の観点 | 具体的な内容 |
| 承認権限 | 最終的な意思決定と承認の権限 |
| 予算責任 | 予算の執行と管理に対する責任 |
| 成果責任 | プロジェクトの成果と結果に対する責任 |
責任範囲を3つの観点で明文化することで、「誰が何に責任を持つのか」が明確になり、責任の押し付け合いを防げます。
実行責任者(R)の不明確さによる作業の停滞
実行責任者が決まらない問題は、特に複雑なタスクや複数のスキルが必要な業務で頻発します。
この状況では、誰が実際に作業を行うのかが不明確になり、タスクが宙に浮いた状態となって、プロジェクト全体の遅延を引き起こします。



よくあるケースですが、「誰がやるの?」という状況が続くと、結局誰もやらずに期限が迫ってしまうんですよね。
この問題の主な原因は、タスクの内容や必要なスキルが曖昧に定義されていること、チームメンバーの能力や担当領域が明確でないこと、そして作業負荷の偏りへの懸念から担当者の選定を避けてしまうことです。
- タスクの内容や必要なスキルが曖昧
- チームメンバーの能力や担当領域が不明確
- 作業負荷の偏りへの懸念
効果的な対処方法として、まずタスクを具体的かつ実行可能な単位まで分解することが重要です。
システム開発のような大きなタスクではなく、要件定義書の作成、データベース設計、テストケース作成といった具体的な作業単位に細分化します。
次に、チームメンバーのスキルマトリックスを作成し、各人の得意分野や経験を可視化します。
これにより、適材適所の配置が可能になります。
また、作業負荷の観点から実行責任者を選定する際は、現在の担当業務量と優先度を考慮し、必要に応じてタスクの再配分や外部リソースの活用も検討します。



スキルマトリックスがあると、「この作業は◯◯さんが得意だから任せよう」という判断がしやすくなりますね。
判断に迷った場合の基準として、そのタスクの成果に最も責任を持つべき人、必要なスキルを最も多く保有している人、そのタスクから最も学習効果を得られる人の順で優先度を付けることが有効です。
- 1位:そのタスクの成果に最も責任を持つべき人
- 2位:必要なスキルを最も多く保有している人
- 3位:そのタスクから最も学習効果を得られる人
相談(C)と報告(I)の役割混同による情報伝達の問題
相談(Consulted)と報告(Informed)の区別がつかない問題は、コミュニケーションの方向性と頻度に大きな混乱をもたらします。
この混同により、本来事前に意見を求めるべき人への相談が漏れたり、逆に単なる報告で済む相手に過度な負担をかけてしまったりします。
プロジェクト管理では、PMI(プロジェクトマネジメント協会)のガイドラインに基づいて、役割分担を明確化することが推奨されています
混同が起こる主な理由は、組織内での情報共有文化の違いや、相談と報告の定義が曖昧であることです。
特に日本企業では “報連相” の文化が根強く、すべてのステークホルダーに事前相談を行う傾向があるため、効率性を重視するRACIの考え方との間でギャップが生じます。
- 相談(C):意思決定前に意見やアドバイスが必要な人
- 報告(I):結果や進捗を知っておく必要がある人
明確な区別のための基準として、相談(C)は “意思決定前に意見やアドバイスが必要な人、報告(I)は 結果や進捗を知っておく必要がある人と定義します。
具体的な判断方法として、その人の意見によってタスクの進め方や成果物が変わる可能性がある場合は相談対象、変わらない場合は報告対象とします。
| 区分 | タイミング | コミュニケーション | 目的 |
| 相談(C) | 事前 | 双方向 | 意見・アドバイス収集 |
| 報告(I) | 事後 | 一方向 | 情報共有・状況把握 |
さらに、相談は双方向のコミュニケーションで事前に行い、報告は一方向の情報共有で事後に行うという時間軸での区別も重要です。
実際の運用では、相談対象者にはいつまでにどのような形で意見をもらうかを明示し、報告対象者にはどの頻度でどのような内容を共有するかを事前に合意しておくことで、混同を防ぐことができます。
RACIチャートを上手に運用するコツ
RACIチャート(Responsible, Accountable, Consulted, Informed)は、プロジェクトの責任分担を明確化する強力なツールですが、作成しただけでは十分ではありません。
効果的に運用し、継続的に成果を出すためには、適切なメンテナンスとチーム全体への浸透が不可欠です。
多くの企業でRACIチャートが作成されても、実際の業務で活用されずに終わってしまうケースが多いのが現実です
RACIチャートの真価は、日常的な業務において実際に参照され、意思決定の指針として機能することにあります。
単なる書類として放置されがちなこの管理ツールを、生きた仕組みとして活用するためには、運用段階での戦略的なアプローチが必要となります。
定期的に見直してメンテナンスする方法
RACIチャートを最新状態に保つためには、プロジェクトの進行状況に合わせて定期的に見直しを行うことが重要です。
一般的に、プロジェクトの各フェーズの終了時点や、メンバーの変更があった際に見直しを実施することが推奨されています。



RACIチャートに常に最新の状況を反映させることで、真の価値を発揮できますね。
- 現在のRACIチャートと実際の業務フローの照合
- 乖離部分の特定と分析
- 新規タスクや変更内容の反映
- 関係者全員による内容確認
見直しの具体的な手順として、まず現在のRACIチャートと実際の業務フローを照合し、乖離している部分を特定します。
次に、新たなタスクの追加や既存タスクの変更、担当者の異動などの変化を反映させます。
この際、関係者全員で内容を確認し、認識の相違がないかを確認することが重要です。
効果的なメンテナンスのためには、変更履歴を記録し、なぜその変更が必要だったのかを文書化することも大切です。
これにより、将来的な見直し作業の効率化と、チームメンバーの理解促進につながります。
- 月次または四半期ごとの定期レビュー会議の設定
- プロジェクト進捗に合わせた臨時見直しの実施
- 変更点の明確な記録と共有
- 関係者全員による確認プロセスの徹底
特に定期レビュー会議は、プロジェクトメンバー全員が同じ認識を持つための重要な機会です。スケジュールに組み込んで確実に実施しましょう。
チーム内でRACIチャートを浸透させる方法
RACIチャートをチーム内に浸透させるためには、まずメンバー全員にその価値と使い方を理解してもらう必要があります。
- 定期的なRACIチャート研修の実施
- 会議での積極的な参照と活用
- 新メンバー向けのオンボーディング資料への組み込み
- 成功事例の共有とベストプラクティスの蓄積
- チームリーダーによる率先垂範の実践
導入時には、RACIチャートがなぜ必要なのか、どのような問題を解決するのかを具体的な事例とともに説明することが効果的です。
最初の導入説明では、「責任の曖昧さによって過去にどんな問題が起きたか」を具体例で示すと、メンバーの理解が深まりますよ。
浸透を促進するためには、日常的な会議や意思決定の場面で積極的にRACIチャートを参照する習慣を作ることが重要です。
問題が発生した際に「RACIチャートではどうなっているか」を確認する文化を定着させることで、自然とツールの重要性が認識されるようになります。
新メンバーの参加時には、オンボーディングプロセスの一環としてRACIチャートの説明を組み込み、プロジェクト全体の構造と自分の役割を理解してもらうことも大切です。
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。







