リーダーシップ往復書簡 086

立教大学や神戸大学のようにリーダーシップ教育で有名な大学がリーダーシップを教える前提として説明しているように、私も、リーダーシップ・スキルは、後天的に誰でも身に着けることができ、再現性があるものと考えています。

私は日々、バリューアップを仕事にしておりますので、クライアント企業の人や組織にまつわるトラブルに際して、そのクライアントの経営幹部に対して、「今後このように事態が展開していきます」という見通しを意見させてもらうことが多いです。そして、後日、その経営幹部の方々から「あの時点でこうなることが分かっていたのですね」と言われることも多いです。

もちろん私は預言者でも超能力者でもないのですが、リーダーシップという観点から、人を見て、組織を見ているに過ぎません。

例えば「企業再生あるある」だとは思いますが、倒産に瀕した会社の業績や社内の雰囲気が良くなっていくにもかかわらず、一定数のスタッフの入れ替わりが起きてしまうのです。

スタッフの入れ替わり、一部のスタッフが離れていってしまうことについては、もちろんリーダーのリーダーシップ不足に起因していますが、私の実務経験だと、相当なフォローをしたとしても一定数の入れ替わりが起きてしまいます。

リーダーはフォロワーを成長させるのが役割ですが、企業再生の場合だと、会社の成長スピードにフォロワーの成長スピードがついていけず、「成長痛」が生じてしまいます。そうなると、いかに会社が業績や社内の雰囲気が良くなったとしても、取り残されたスタッフからすれば、他のスタッフの活躍が妬ましく息苦しくなってしまったり、スタッフ全体から発せられる前向きなエネルギーですら、ある種の疎外感を感じてしまったりするのです。

また、ポジティブな事例だと、リーダーが、リーダーシップを正しく発揮できていると、フォロワーがどんどん成長していきます。フォロワー自らがリーダーシップを発揮して、スキルの習得をしたり新しい仕事にチャレンジをしたりするようになります。

私は、MBAのようなマネジメント・スキルがこれだけ社会人の間で普及したわけですから、ぜひともこのリーダーシップ・スキルについても同様に、多くの人に身に着けてもらいたいと考えています。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.86】
私はいわゆる2代目社長です。創業者のように、リーダーとして強いリーダーシップを発揮したいと考えていますが、どうすればよいでしょうか?

 

<コメント>

素晴らしい心持ちだと思います。日本社会でも事業承継がこの数年でピークを迎え、「経営者の代替わり」は大きなトピックだと思います。

私が2代目社長によくアドバイスをするのは、社長、大株主やオーナー創業者の子息という有形無形のパワー(地位や立場に基づく力)がなかったとしても、フォロワーがついてくる発言と行動をしなければならない、リーダーとして相応しい謙虚さと人間力を身に着けなければならないと伝えています。

本連載でもたびたび記載をしてきましたが、リーダーシップには地位や立場は関係ないのです。あなたがフォロワーから尊敬と尊重される本当のリーダーになりたいと考えるならば、一人の人間として、世のため人のためとなる夢や目標を掲げ、共にその夢や目標を実現したいと考えるフォロワーを募らなければなりません。但し、そのためには、それこそ創業者と同じような相当な努力が必要になることは言うまでもありません。

本当のリーダーには「リーダーになりたい」「リーダーを目指したい」と言ってなれるものではなく、リーダーとは、夢や目標などを掲げて、暗闇の中を勇気を持って歩み始めた結果、多くのフォロワーがついてきて、結果としてリーダーになるのものなのです。

次に、リーダーシップは、その人の個性や背景、また、受け取り手側の状況に応じて、発揮の仕方を変えなければなりません。

そのため、間違っても、強いリーダーシップを発揮したいからといって、創業者の方の行動を単純に真似してはなりません。創業者の方と幹部社員の間には長年にわたる人間関係があります。その人間関係を無視して、創業者の方と同じ行動やコミュニケーションをしたら、当たり前ですが、行き違いが生じて、人間関係の悪化が生じる可能性が高いです。

リーダーは自然体で、その人のキャラクターに適したリーダーシップを発揮すれば良いのです。サーバント・リーダーシップのような、リーダーがフォロワーを支えるといった新しいリーダーシップの概念も普及しつつあります。焦ることなく、自分なりのリーダーシップを模索されることをお薦めします。

 

※この記事は、2021年5月5日付Facebook投稿を転載したものです。

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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