リーダーシップ往復書簡 099

リーダーシップ往復書簡 099

 

 

突然ですが、読者の皆さんの夢は何ですか?日常業務に勤しんで忙しさにかまけていると、若い時に自分が成し遂げたいと思っていた夢が何なのかさえ、すっかり分からなくなってしまいます。本日はこの夢について記載をしたいと思います。

多くの皆さんが持つリーダーのイメージのとおり、リーダーは大きな夢や目標を掲げているものです。ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)の中から例に採ると、桃太郎の鬼退治が一番分かりやすいかもしれません。

夢は、その人の一度しかない人生において多大な時間を費やすことにもなりますし、組織や組織を構成するフォロワーたちの「旗印」や精神的な支柱にもなります。それにも関わらず、私たちは小さい頃から深く考えることなく、ただ漫然と夢という言葉に接しているように思います。

多くの人は一度は学生の時に「あなたの将来の夢は何ですか?」という質問をされたことがあるのではないかと思います。ある人は野球選手、ある人はお金持ちと答えてきたかもしれません。

リーダーが掲げるべき夢は、世のため人のため、誰かのためになるものでなければなりません。極めて個人的な希望・要望は、多くの人を巻き込んだ夢にはなり得ないのです。フォロワーがリーダーに対して望んでいることは、誰もが感動するような共感したい夢、崇高な夢を掲げてくれることなのです。

そのため、リーダーが掲げる夢は「なりたい」ではなく「こうしたい」と表現されるものです。社長になりたい、お金持ちになりたいというような夢の主語が自分ではフォロワーからの共感は得られません。

また、夢は、決して数字で語られるものでもありません。もし大きな売上高や高い株価が夢だというリーダーがいたら、それを叶えてしまったら、その人やフォロワーはどうするのだろうと思います。私はクライアント企業の経営理念やビジョンの策定のお手伝いをすることが多いのですが、大手の経営コンサルティング会社が関与している大企業のビジョンは数値目標であることが多く、経営理念は多くの人が共感できるような明確な言葉でしっかりと語られています。

最後に、リーダーシップと夢というテーマならば欠かせない事例をご紹介しておきます。アメリカで人種差別撤廃を訴え活動したキング牧師の演説です。

私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。
私には夢がある。それは、いつの日か、不正と抑圧の炎熱で焼けつかんばかりのミシシッピ州でさえ、自由と正義のオアシスに変身するという夢である。
私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。
今日、私には夢がある。
私には夢がある。それは、邪悪な人種差別主義者たちのいる、州権優位や連邦法実施拒否を主張する州知事のいるアラバマ州でさえも、いつの日か、そのアラバマでさえ、黒人の少年少女が白人の少年少女と兄弟姉妹として手をつなげるようになるという夢である。
今日、私には夢がある。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.99】
リーダーとして、気を付けていること、心がけていることがあれば教えてください。

 

<コメント>

今、私は時価総額100億円以下の中小・中堅・スタートアップ企業の経営支援をする株式会社スーツと、大手YouTuber事務所の株式会社VAZの社長をしています。そのため、現在は自らも正しくリーダーシップを発揮しなければならない立場にあります。

私がリーダーとして気を付けていること、心がけていることは、(少なくとも日々直接触れ合う機会の多いフォロワーの人たちにとっては)優れたリーダーであろうとする努力をするようにしています。

「人は性善なれど弱し」のとおり、私も背筋を伸ばして努力してフォロワーの皆さんの分まで「焼け火ばし」を持たなければ、怠惰な方へ流れてしまうのです。

リーダーとして一番簡単なことは、自分の人生を誰よりも長時間にわたり、みんなで掲げた夢に費やすことです。これは私がただ単に能力が低いからということもあるかもしれませんが、多くの優秀なフォロワーの皆さんを前に、リーダーとして、せめて多くの時間を費やす情熱ぐらいは持ち合わせていなければならないと思っています。

そして、みんなが熱狂・共感するような夢を掲げ、その夢を個人の夢ではなくフォロワーみんなの夢になるように、繰り返し繰り返し、丁寧にコミュニケーションをするように心がけています。このコミュニケーションについては、100回、1,000回に留まるものではなく、耳にたこができるぐらい繰り返さねば人の心は動かせないと考えています。

また、私は臆面もなくプロ経営者と名乗っていますが、実はあまり目先の数字の話をしません。リーダーとは長期的な視野を持って未来を目指し、フォロワーの心に働きかけて現状に挑戦させることが大事だと思っています。このためには、フォロワー一人ひとりの可能性や将来を本気で考えて、率直なフィードバックを行っています。

その際に、フォロワーとの間での愛情や信頼を欠かさないように、自然体で、ユーモアを忘れずに、より本質的で正しいことをしようとしています。リーダーとフォロワーの関係は対等の関係です。組織の地位や権限などのパワーに頼ることなく、夢や共感の力で、一人でも多くのフォロワーを動かせるようになりたいと考えています。

その他にも、本連載の中で、リーダーとして気を付けなければならないことをご紹介してきたつもりです。読者の皆さんが、これからリーダーシップを発揮するうえで、少しでもご参考になれば幸いです。

 

※この記事は、2021年5月25日付Facebook投稿を転載したものです。

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