第22回「なぜ伸びる企業は「社内でやらないこと」を決めているのか?〜人手不足・インフレに勝つ「BPO×DX」活用とリソース配分戦略〜」

当社では2026年1月28日にゲスト講師に、株式会社ZERO ONE COO / ITコーディネータ / 兵庫県立大学非常勤講師 橋本 真澄氏を迎え、第22回目となるスーツアップ特別ウェビナー「なぜ伸びる企業は「社内でやらないこと」を決めているのか?〜人手不足・インフレに勝つ「BPO×DX」活用とリソース配分戦略〜」を開催しました。


本稿では、中小企業の皆様にとって有益な情報が満載だった本ウェビナーの内容を、ダイジェスト版としてお届けいたします。

前編は、ゲスト講師の橋本氏による講演「なぜ伸びる企業は「社内でやらないこと」を決めているのか?〜人手不足・インフレに勝つ「BPO×DX」活用とリソース配分戦略〜」です。橋本氏のご経歴は以下のとおりです。

<株式会社ZERO ONE COO / ITコーディネータ / 兵庫県立大学非常勤講師 橋本 真澄氏>

1977年兵庫県出身。銀行・証券会社での金融実務を経てMBA(経営学修士)を取得。現在は株式会社ZERO ONEにてBPO・DX事業を統括する傍ら、大学院にて「証券投資論」の講師として教鞭を執る。 ITコーディネータとして、単なるツール導入ではない「経営判断に資するDX」を提唱。グループ税理士法人との連携の強みを活かし、SaaSを最適に組み合わせた業務設計を行う。財務状況のリアルタイム可視化や月次決算の早期化を通じて、経営者が迅速かつ正確な意思決定を行える強固なバックオフィス体制の構築を支援している。


後半のゲスト対談(株式会社ZERO ONE COO / ITコーディネータ / 兵庫県立大学非常勤講師 橋本 真澄、株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介)はコチラから。

【まとめ】

  • AIは対話ツールから、自律的に業務を遂行する「AIエージェント」へ進化している
  • 組織改革の鍵は「コア・サテライト戦略」
  • 競争優位性の高いコア業務に、人材と資金を集中する
  • サテライト業務は、BPOやAIで外部化・変動費化する
  • 「引き算の経営」が、変化の時代を生き抜く企業を生む
目次

ウェビナー内容

現在、多くの企業が人材不足に直面しており、「人を雇って解決する」という方法に限界を感じているのではないでしょうか。

人件費は上がる一方で採用は難しく、ようやく採用できても早期離職が起きてしまう。

本日は、こうした採用の限界を突破するための新しい経営戦略についてお話しします。

自己紹介

株式会社ZERO ONEの橋本と申します。

私のキャリアの軸は投資と経営です。

約20年にわたり金融の実務家として銀行・証券・保険会社で、企業を数字で評価する現場に携わってきました。

現在は証券投資論の講師として、大学院のMBAコースで理論を教えています。

さらに株式会社ZERO ONEのCOOとして企業のバックオフィス改革を指揮するとともに、経営者向けの伴走型コンサルティングも行っています。

こうした経験から、投資家のシビアな目線と現場の泥臭い実務、その両方を理解しています。

本日は単なる業務削減の話ではなく、経営資源をどのように配分すれば企業価値が上がるのか、その戦略について経営の視点からお話しします。

なぜ賃上げしても人材を確保できないのか

まず、なぜ賃上げしても人材を確保できないのか。この残酷とも言える現実を直視してみましょう。

正社員の有効求人倍率について、売り手市場が続いているとの感覚をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、実は、昨年の春をピークに減少傾向へと転じています。

正社員の有効求人倍率は、昨年10月から2ヶ月連続で1倍を下回っているのです。

これは求職者が急に増えたわけでも、企業の景気が悪化したわけでもありません。日経平均も依然として高水準を維持しています。

つまり、企業側が求人数そのものを減らしているということです。人材確保ではなく、システム化への投資に切り替える動きが始まっていることを表しています。

AI化が進む日本の大企業

昨今、日本の大企業は急速に省力化を進めています。

象徴的なのが、NTTが掲げた「5年以内に業務の約半分をAIなどで代替する」という方針です。

たった数年のうちに現在の半分の人数でも業務が回る組織に変えようとしているのです。

これは一部の先進企業だけの話ではありません。世界平均以上に日本の経営者はAIによる人員削減に積極的である、という調査結果もあります。

かつて言われていた「日本企業は雇用を守る」という前提は、すでに変化し始めていると言えるでしょう。

多くの大企業が2〜4割の業務をAIに置き換える取り組みを進めています。

例えばコールセンターでは、データ入力だけでなく、顧客の感情分析や満足度評価まで、AIがわずか数秒で行います。

事実、2025年のコールセンターの求人は2023年と比較すると約2割減少しているのです。

大企業はすでに「人手不足だから採用する」という従来の解決策から、「AIによって業務効率化を図る」という戦略にシフトしています。

一方で、中小企業は今も高い採用コストをかけて、手作業を担う人材を探し続けているという現状です。

AIが変える事務職の役割

世界に目を向けるとさらに大きな変化が起きています。

ニューヨーク連銀(アメリカ)の調査では、失業してから3ヶ月以内に再就職できた人の割合が過去最低の水準まで落ち込んでいます。

これは景気の問題ではありません。事務職というポジションそのものがAIに置き換えられ始めているからです。

国際労働機関(ILO)の調査でも、高所得国ほどAIの影響を受ける仕事の割合が高いことが示されています。

特に影響を受けやすいのは、大卒の若手人材です。高所得国では若手大卒のキャリアの入り口がホワイトカラーの事務職であるケースが多いためです。

その入り口となる業務が今、AIに置き換えられつつあります。

若者を採用して事務作業を任せることは、数年以内にAIに消されるスキルしか身に付けさせないことと同じなのです。

AI時代に若手が担うべき役割

ここでひとつ疑問があります。それは「手作業を経験しないと、本質が理解できないのではないか」というものです。

確かに、業務のロジックを理解することは、これまで以上に重要となります。

しかし、ロジックを理解することと単純な入力作業を繰り返すことは別の話です。

例えば、今の時代、経理を学ぶために手書きの伝票を書く練習から始めることはありません。会計ソフトの仕組みや仕訳ルールを理解していれば、実際の入力はOCRやAIに任せた方が速く、正確です。

これからの若手に求められるのは、入力作業をするプレイヤーではありません。

業務を設計し、AIを監督する立場です。AIが出した結果を検証し、判断する。そうした訓練こそが、若手を守り、会社の戦力を高めるための新しい教育だと考えています。

対話するAIから、自律的に動くAIへ

AIの役割は、今まさに劇的に変化しています。これまでは「話し相手」でしたが、これからは自律的に動く部下、AIエージェントに進化していきます。

これまでのAIは、あくまでも支援役にすぎず、作業の主役は人間です。しかしこれからはAIエージェントの時代です。

例えば、「来月の月次決算を済ませる」というゴールだけを指示しておけば、AIが自ら計画を立て、会計ソフトを操作し、承認申請まで実行します。

人が中心になって作業する必要はなく、監督とチェックをする作業だけで済むようになります。

文句も言わず24時間働く優秀なAIエージェントが存在する時代に、あえて人間を作業員として雇い、高い給与を払い続けるのか。

企業は今、その判断を考える段階に来ているのではないでしょうか。

社員を雇うということは、今後何十年にもわたって雇用を守る約束をするということでもあります。

数年後にはAIが担うとわかっている業務のために、長期的な固定費を抱えるのか。

数年先にある確定した未来から逆算すれば、今取るべき経営判断は自ずと見えてくるはずです。

社員の時間を「利益を生む仕事」に集中させる

では、具体的にどの業務に投資すべきなのでしょうか。

縦軸を「競争優位性」、横軸を「定型性」とした二軸のマトリックスで考えます。

企業が本当に集中すべきなのは、競争優位性が高く、定型性が低い、コア業務です。経営企画、商品開発、トップセールスなど、企業の競争力を生み出す領域にはエース級の人材と資金を惜しみなく投入すべきです。

一方で問題となるのが競争優位性が低く、定型性が高い領域です。ここには経理、労務、データ入力などの業務が含まれます。

会社にとって不可欠な仕事ではありますが、競争優位性を生む業務ではありません。

例えば世界一美しい請求書を作成したとしても、それだけで売上が2倍になることはありません。

この領域に正社員という高いコストを投じることは、もはや経営リスクでしかないと考えています。

限られた経営資源である、人材と資金をどこに配分するのか。

その線引きを明確にすることこそが、人手不足の時代に会社を成長させる最短ルートなのです。

「コア・サテライト戦略」で組織を再構築する

組織を再構築するための考え方として、人的資本の「コア・サテライト戦略」があります。

「コア・サテライト戦略」とは、もともと証券投資の世界で使われている専門用語です。

プロの機関投資家は資産を「コア」と「サテライト」に分けて運用します。

これはリスクを抑えながらリターンを最大化する、最も合理的な方法とされています。私の提言は、この投資の考え方を経営に応用することです。

図の中心にある金色のコアは、経営戦略、商品開発、トップセールスなど、会社の利益の源泉となる領域です。

正社員という最も貴重な人的資本は、このコア領域に集中させるべきです。

一方で、コアの周囲にある青色の領域がサテライト業務です。

経理や労務など、会社にとって必要ではあるものの差別化にはつながらない業務です。

サテライト業務は社内で抱え込むのではなく、BPOやAIなどのツールを活用して外部化・変動費化することが重要になります。

引き算の経営戦略:捨てる勇気が成長を生む

組織の再構築を実現するには、足し算から引き算へのマインドチェンジが必要です。

昭和や平成の時代は「あれもできる」「これもできる」と機能を増やし、自前で抱え込めることが企業の強さでした。

その結果、企業は多くの固定費を抱え、身動きが取れなくなっています。

今の時代に最も恐ろしいのは倒産することではありません。停滞すること、変化できないことです。

成長している企業は、徹底的な引き算を行っています。

バックオフィスという重い荷物をすべておろし、背負っているのは競争優位性という小さなリュックだけです。

だからこそ、市場が変化してもAIが進化しても、すぐに方向転換して走り出すことができます。

自社の状態を一度考えてみてください。

今、リュック1つで走れる状態でしょうか。

もし足かせが重くて走れないのであれば、荷物を捨てる決断が必要かもしれません。

自動化の鍵は「業務の標準化」

業務の外部化には大きな落とし穴があります。社内の非効率な業務を整理しないまま、外部に丸投げしてしまうことです。

多くの企業では、整理されていない書類の山やベテラン社員の頭の中にしかない暗黙知によって業務が回っています。

この状態のまま外部化しても、コスト削減どころか、かえって管理コストが増え、業務がブラックボックス化してしまいます。

外部化を成功させるには「業務の標準化」が鍵です。

AIはルールが曖昧な業務を理解することができません。

AIを活用するためには、日本の企業に多く残っている「オレ流」の業務を世の中の標準へと合わせる必要があります。

SaaSを導入することとは、AIが理解できる「標準語」で、業務を整理することを意味します。

会社独自の複雑な仕組みではなく、ツールに業務を合わせることが自動化への鍵になります。

業務プロセス再構築の3ステップ

AIにすべてを完全自動で任せられる世界は、まだもう少し先の話です。

だからこそ現時点では、最新のSaaSをプロの専門家が使いこなすという組み合わせが最適解だと考えています。

ここで、業務プロセス再構築の3ステップを紹介します。

まずは現状分析です。

単なる事務代行ではなく、会計・労務のプロの視点で業務を徹底的に仕分けし、無駄を取り除きます。

次のステップはSaaSの導入です。

目的は自動化ではなく、誰が見てもわかる状態、つまり標準化です。

そして最後のステップがBPO運用です。

ここが核心になります。

標準化された業務をAIに丸投げするのではなく、まずはプロのチームが責任を持って運用します。

そのうえでSaaSに搭載されたAI機能を活用し、工数とコストを極限まで下げていきます。

この3ステップによってブラックボックス化のリスクを防ぎながら、企業はコア業務に集中できるようになります。

ここで一つ、実際の導入事例を紹介します。

たった1人しかいなかった担当者の退職をきっかけに、社長は採用という選択肢を捨て、SaaSの導入とBPOへの外部化を決断しました。

その結果、利益は約4倍に急増、経理コストは人件費換算で約280万円、約40%削減となりました。

もちろん利益の増加は、企業自身の経営努力によるものですが、社長は次のように振り返っています。

「バックオフィスを切り離し、プロに任せたことで、常に感じていた不安がなくなり、経営資源を100%本業に集中できるようになりました。会社が本来持っている、成長力を解き放つきっかけになったと思います。」

「筋肉質な経営体質」への転換

最終的に目指すゴールは、筋肉質な経営体質への転換です。

現在、多くの企業ではバックオフィスという固定費で経営が重くなっています。

さらに経営判断に必要な正確な数字が2ヶ月先にならないとわかりません。

これでは目隠しをして運転しているようなものです。

固定費を変動費化し、バックオフィスをスリム化することで、社長は本来の業務である、営業や戦略に100%集中できるようになります。

リアルタイムで財政状況を把握することで、どこに投資すべきかを迅速に判断できるようになります。

この筋肉質な経営体質こそが、これから先を勝ち抜くための最強の武器になると、私は確信しています。

今すぐやるべき「引き算」の経営

最後に、筋肉質な企業として生き残るためのポイントを3つお話しします。

1つ目は採用競争から降りることです。

人材を採用することではなく、人がいなくても回る仕組み、省人化への投資へと発想を転換することが重要です。

2つ目は社内業務の「断捨離」です。

「オレ流」という負の遺産を手放し、SaaSという世の中の標準を導入し、業務をツールに合わせます。

これが将来AIに仕事を任せるための準備にもなります。

3つ目はプロへのアウトソースです。

バックオフィスを専門家に任せることで、コストを固定費から変動費化し、身軽な経営体質を実現できます。

「持たざる経営」こそが、最強の守りであり攻めです。

リュック一つでどこまでも速く走れる組織を目指していただきたいと思います。

チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

 

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この記事を書いた人

スーツアップの広報担当です。スーツアップは、AIでかんたん、チームで毎日続けられるプロジェクト・タスク管理ツールです。表計算ソフトのような操作で、チームの「タスクの見える化」をして、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぎます。チームのタスク管理を実現することで、業務の効率化やオペレーションの改善が進み、大幅なコスト削減を実現します。

お問い合わせ先:pr@suits.co.jp

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