丸山和雄(株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 代表取締役社長)と小松裕介(株式会社スーツ 代表取締役社長CEO )によるQ&A

当社では、2025年11月5日にゲスト講師に、株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 代表取締役社長の丸山 和雄氏を迎え、第19回目となるスーツアップ特別ウェビナー「事業承継後の中小企業のリアル」を開催しました。

本稿では、中小企業の皆様にとって有益な情報が満載だった本ウェビナーの内容を、ダイジェスト版としてお届けいたします。

後編は、ゲスト講師の丸山氏(株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 代表取締役社長)と当社代表者の小松(株式会社スーツ 代表取締役社長CEO)による対談の内容です。丸山氏のご経歴は以下のとおりです。

<株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 代表取締役社長 丸山 和雄>

大学卒業後、欧州の高級食料品を扱う食品専門商社で7年間、国内最大手の国際広告会社で15年/計22年間にわたり、マーケティング・営業スキルを習熟。
2006年よりオーナー経営ホールディング企業3社の経営に従事。
2011年より全国27都道府県で約250事業所を保有する運営会社の執行役員として事業所運営部門、事業企画部門に5年間従事。社内カンパニー代表執行役を兼務。その後、異なるファンド様3社の投資先企業の代表取締役を歴任。
2016年 医療器具・福祉用具の販売・レンタル事業を営む中小企業の代表取締役に就任。
2018年 23店舗を展開する専門店チェーン運営企業の代表取締役に就任。M&Aにより、Eコマース運営企業の代表取締役を兼務。
2022年 現職である株式会社横井製作所代表取締役に就任。
2025年 大阪・名古屋・東京の3拠点を展開する広告代理店株式会社アド・ウォークの代表取締役に就任。

前編のゲスト講師の丸山氏による講演「事業承継後の中小企業のリアル」はコチラから。

【まとめ】

  • ファンドやオーナーとの関わりを案件ごとに調整し、強弱とバランスを意識
  • 経験を通じて自己分析し、独自の経営スタイルを確立
  • 従業員とフラットな関係で対話し、エンゲージメントを醸成
  • 将来の後継者を見極め、段階的に育成して自立した体制を構築
目次

対談内容

PEファンドとの連携:投資フェーズに応じた多様な関係性

株式会社スーツ 小松裕介(以下「小松」といいます。):

エンゲージメントの醸成ということで、従業員とのコミュニケーションの重要性についてお話しいただきました。

一方で、ファンドとのコミュニケーションについてはどのようにされていますか?事業承継前や100日プランの時期など、具体的な事例も含めて教えていただけますか。

株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 丸山和雄(以下「丸山」といいます。):

企業によってコミュニケーションの取り方は異なりますが、まず、事業承継前については、ファンドによるプレゼンテーションの段階から同席し、私自身のバリューアップ方針を説明したうえで、経営を任せていただく依頼を受ける、というケースがありました。

一方で現在勤めている株式会社アド・ウォークのケースでは、すでに関わっていた株式会社横井製作所とファンドが同じという関係で相談をいただきました。前任の経営がうまく進まなかった経緯から、兼任という形で経営を引き受けてほしいというお話からのスタートでした。

100日プランの期間中についてもファンドによってさまざまで、担当者が週1で経営会議に参加したり、取締役会をリモートで見たりするケースもあれば、週2ペースで経理・財務・労務などの管理業務を手伝っていただくケースもあります。

株式会社横井製作所のケースでは月1回約1時間の定例株主報告を行うだけになっています。

このようにファンドによって、経営に深く関わる方針と一定程度委ねる方針に分かれると感じています。

前オーナーとの適切な距離感:スムーズな経営権委譲の要諦

小松:オーナー社長のトップダウン経営を振り返る際、改善点をあげることで分かりやすくなる一方、過去を否定しすぎると難しくなる局面もあると思います。

創業者として慕われているオーナーも多い中で、そのあたりのバランスはどのように取られているのでしょうか?

丸山:ファンドの方針もありますが、新たな経営者の就任発表から数か月〜1年程度は引き継ぎのためにオーナーが社内に残るケースがほとんどです。

私はオーナーの早期退任を望む意向をファンドに伝え、オーナーにアプローチしていただき、2か月ほどで退任していただいたことがあります。

また早期に退任されたものの、その後も頻繁に従業員に面会に来たり、週末に電話でアドバイスを受けたりするケースもあります。

オーナーの存在やこれまでの経緯を踏まえ、無下にはできないので、丁寧に対応しつつ、この場合もファンドを通じて行動を控えていただくように進めました。

事業承継後のオーナーとの関わりについては、ファンドの方針とオーナーの意向が異なるケースもあるので、その調整に難しさを感じることもあります。

挫折からの学び:自身の適性と「Well-being経営」への転換

小松:EXITまでの期間については、ファンドの方針などもあると思いますが、ある程度固まった段階で着任されていますか?見込みを修正することなどもあるのでしょうか?

丸山:社会情勢の大きな変化がない限り、概ね予定通りに進めてきました。

ただ、新型コロナの影響で計画が大幅に変更になったケースがありました。

上場を目標にバリューアップを進め、経営管理体制を整えている途中で新型コロナが流行し、業績低下によってコストを抑えた経営に切り替えざるを得なくなりました。

私はバリューアップは得意ですが、事業再生の経験はあまりなく、この会社についてはそのタイミングで退くことになりました。

この1社を除けば、基本的に当初のもくろみどおり、EXITまで進めてきたという印象です。

小松:バリューアップは得意とのお話がありましたが、社長としてのご自身の特性や得意・不得意に気づいたのはいつ頃でしたか?

丸山:最初に役員として経営に携わった2社では多くのことを学びましたが、得意・不得意についてはあまり認識していませんでした。

実際に社長になってみて、自分のやりたいことを一生懸命行い、満足感や達成感を得て、さらに社員も喜んでくれることが楽しいと感じました。

一方、社長2社目で減量経営を経験した時は大きな挫折を感じました。

新型コロナの影響があったとはいえ、ファンドとの決定事項を十分に実行できず、上場準備からいきなりコストを抑えた経営に切り替える必要があり、従業員も混乱しました。コスト削減して事業を再生させるという繊細さが自分にはあまりなく、得意分野ではないと実感しました。

この経験は嫌悪感すら覚えるものでしたが、3社目以降では、Well-beingやエンゲージメント醸成を重視した経営で成果を出すことができたのは、この挫折のおかげだと思っています。

従業員が幸せに、やりがいを持って仕事をするための環境作りをしないと、業績も上がらず、離職率が高くなり、慢性的に緊急対応が必要な状態になってしまうことを学びました。

2社目の挫折から得た学びを3社目以降の経営に生かせていると自己分析しています。挫折は大切だと感じています。

中小企業における信頼構築:フラットな対話と自己開示

小松:経営者を目指す方にとってとても貴重なお話だと思います。ありがとうございます。

次の質問ですが、丸山さんの経営は従業員との向き合い方が大きな特徴の一つかと思います。

私の印象では、大企業と中小企業では従業員の目線が異なっていて、大企業の従業員は自己実現を意識する割合が高い一方で、中小企業の従業員は給与や働きやすさなど生活面を重視する割合が高いと感じています。

中小企業ならではの従業員との接し方ややりがい・Well -beingに関してどのようなコミュニケーションを図られているのかを教えていただきたいです。

丸山:主に現在勤めている会社での話になりますが、どのような立場の人に対してもフラットに同じ目線で、分かりやすく質問することを意識しています。

私は質問するのが好きで、従業員に深掘りして聞いていくことで、自然と家族のことなど個人的な話も知ることができます。

結果的に誰よりも従業員のことをよく理解している状況になります。従業員も一度自分の話をすると心を開いてくれるようで、仕事に関しても本音を聞かせてくれたり、雑談してくれるようになったりします。

こうしたコミュニケーションは中小企業ならではの特徴と思います。

パワハラやコンプライアンスといった言葉がまだ一般的でなかった、大手企業に私が勤めていた時代では、従業員との関係性は全く違っていました。

常に立ち入ってはいけない範囲を意識しながらコミュニケーションを図っていました。

現在はコンプライアンスを守りながらも、信頼関係を築くギリギリのラインで従業員と向き合い、互いを理解しあっています。

最初は「東京から来たよくわからない人」という印象を持たれることもありますが、私の失敗談などを話すことで従業員も心を開いてくれるようになります。

従業員が大小問わず課題と感じていることをヒアリングし、社会に合うものに関してはスピード感を持って対応していくことがエンゲージメント醸成の第一歩だと強く感じています。

次世代へのバトンタッチ:プロ経営者が実践する後継者育成

小松:最後の質問になります。従業員とのコミュニケーションの中で、EXITのことはどのように伝えていらっしゃいますか?ファンドが変わると社長が変わることがありますが、その期限を意識しながら、どのように従業員とコミュニケーションされていますか?

丸山:現在、名古屋の会社は4年目に入りましたが、2年目のタイミングで、将来的に自前で社長を立てられるようにしたいという意向をファンドに伝えました。

次期社長や専務副社長の素質があるナンバー2、ナンバー3を見立てた段階でファンドに相談し、しばらく経ってから、見立てた従業員に私がいなくなる時期と、その頃には社長や役員に成長して欲しいと思っていることを伝えます。

初めは戸惑う様子もありますが、主に経営管理業務は外部の専門家もいるので全てをプロレベルで担う必要はないことを話し、自分のアドバンテージを活用して従業員との関係性を構築していくことに注力できるよう、段階的に具体的な業務を教えていくようにしています。

厳しすぎず甘すぎずの力加減も含め、社長や役員としてどう接していくかを伝えながら育成しています。

またファンドや次の株主との関わり方も重要なので、強すぎず弱すぎずという微妙な立ち位置を実際の会議の様子から学んでもらいます。

幹部社員にはこのように伝えていきますが、一般の従業員については全てが決定した後にお伝えする流れです。

小松:本日は貴重なお話をありがとうございました。

ご案内

本記事は、中小企業の皆様向けに開催したスーツアップ特別ウェビナーの内容をダイジェスト版としてまとめたものです。

当社では、毎月2回、中小企業の経営者やご担当者様に向けて、 日本経済の中心である中小企業等の経営改善に貢献できるようなテーマのウェビナーを主催しております。

過去のウェビナーでは、第一線でご活躍されている経営者や専門家の方々をゲスト講師にお迎えし、中小企業を取り巻く経営環境、マーケティング、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、労働生産性の向上に繋がるマネジメントシステムの構築、M&Aなど、多岐にわたるテーマでご講演いただいております。

今後のウェビナー情報や過去のアーカイブについては、当社WEBサイトをご覧ください。

【ウェビナータイトル】

「事業承継後の中小企業のリアル」(ゲスト講師:株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 代表取締役社長 丸山 和雄氏)
丸山 和雄(株式会社横井製作所/株式会社アド・ウォーク 代表取締役社長)と小松裕介(株式会社スーツ 代表取締役社長CEO)によるQ&A

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この記事を書いた人

スーツアップの広報担当です。スーツアップは、AIでかんたん、チームで毎日続けられるプロジェクト・タスク管理ツールです。表計算ソフトのような操作で、チームの「タスクの見える化」をして、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぎます。チームのタスク管理を実現することで、業務の効率化やオペレーションの改善が進み、大幅なコスト削減を実現します。

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