標準化とは？意味や効果は？目的をわかりやすく解説

業務フローや作業内容を見える化し統一することで、チームで仕事を行う上で重要なポイントになる、業務の標準化。

しかし、「標準化とは何かよくわからない」という人は、多いかもしれません。

本記事では、標準化の意味や効果、目的をわかりやすく解説します。

「標準化のやり方やメリットを知りたい」という人は、ぜひ本記事を参考に理解を深めてください。

標準化とは？

標準化とは、誰でもいつでも同じように業務を遂行し、同程度の成果を上げられるような体制を整えること。

たとえば、各業務に対するマニュアルやフォーマットを作ったり、必要な情報やツールを共有したりします。

標準化の対象は、大きくて分けて「業務フロー」と「タスク」の2種類です。

標準化の目的

標準化を行う主な目的は、以下の3つです。

作業の効率化や品質の均一化ができると、生産性や利益率、働きやすさの向上にもつながりますよ。

結果的に、企業や該当する事業分野の成長を促すことも期待できます。

中でも属人化の防止は、とくに近年課題としている企業が多いようです。

人手不足の解消や若手の育成には、属人化を防ぐことが欠かせません。

業務を標準化する手順

標準化を行う際は、適切な手順を踏んで効果が出せるようにしましょう。

業務を標準化する5つのステップを紹介します。

標準化の目的を明確にする

まず、標準化を行う目的を明確にすることが第一歩です。

なぜ標準化を行うのかによって取り組み方が異なるので、現状の課題を把握し標準化の目的を設定しましょう。

たとえば、「ムリ・ムダ・ムラ」のうち「ムリ」をなくしたいなら、チームメンバーの業務量の見える化が必須。

作業手順を統一した上で分担を均等にすることで、メンバーがムリを感じることなく業務を進められます。

また、具体的な数値目標を掲げることも効果的ですよ。

各作業の所要時間をどのくらい短縮したいのか、同じ所要時間で生産量をどのくらい増やしたいのか…。

目的を明確にした上で、標準化をする方向性を決めください。

現場の業務を把握する

標準化の目的が決まったら、現場の業務を把握しましょう。

チーム全体のプロジェクトや各担当者が抱えるタスクを洗い出し、業務の内容や量を可視化します。

同じ業務でも、担当者や実施するタイミングによってやり方や所要時間、品質や生産量が異なる場合は、要注意。

原因を分析するため、実際に業務に取り組んでいる現場の担当者にヒアリングすることも欠かせません。

標準化する業務を選定する

現場の業務を洗い出して整理ができたら、標準化を行う業務を選定しましょう。

標準化することで効率化や品質の均一化が大きく期待できる業務を選ぶのがポイント。

若手の従業員でも作業手順書を読めば作業でき、品質も保てるような場合は、標準化のメリットを感じやすいです。

一方、使用するツールの扱い方や関係する情報の集め方を学ぶ必要がある場合は、標準化に時間がかかることも…。

各業務が標準化に適しているかどうかを判断し、優先度が高い業務から標準化してください。

業務フローを設計・マニュアル化する

標準化を行う業務を選んだら、業務フローを作成し、マニュアル化を行いましょう。

標準化する業務は、効率や品質を考慮して適切なフローを設計します。

以前までのフローで改善すべき点がないか、手順書通りに進めて目的を達成できるかなどを検討しつつ作成しましょう。

また、注意事項やルールなどもフローやマニュアルに組み込んでおくのがおすすめ。

ミスや手戻りが発生しないようにすると効果的な標準化に近づきますよ。

定期的に見直す

標準化した業務のフローや手順書は、定期的に見直すことが欠かせません。

業務を標準化しても、効果が上がらなかったり、期待していたほどではなかったりすることも…。

標準化の目的や業務の選定が正しくない場合もあります。

業務フローや手順書の修正だけでは不十分かもしれないので、根本的に見直すことを意識しましょう。

また、新たな気づきがある場合はその都度反映し、別の課題が出てきたら標準化の方向性を修正することも必要です。

Plan（計画）・Do（実行）・Check（評価）・Action（改善）を繰り返して、より精度を高めていってください。

標準化のメリット

多くのメリットがある標準化ですが、業務内容やチームの形態によって得られるメリットは異なります。

一般的なメリットを把握しておきましょう。

業務が効率化される

標準化のメリットの1つは、業務を効率よく進められるようになること。

作成した業務フローやマニュアル・手順書が適正なら、スムーズに作業に取り掛かれます。

ムダな時間やコストを費やすことなく、不要な生産物を作ることもありません。

時間やコスト、従業員の労力や資材などを効率よく活用できます。

業務を効率化することで、生産性や利益率、従業員のモチベーションなどの向上につながるはずですよ。

業務の品質が均一化される

標準化された業務は、いつ誰が取り組んでも一定の品質を確保できます。

比較的時間に余裕があるときと繁忙期で時間のないときでは、品質に違いが出てしまいがち…。

しかし、標準化ができていれば、基準以上の品質を保ちやすいです。

作業のタイミングだけでなく、担当する従業員の経験値や習熟度、認識の違いも、標準化によってカバーできます。

初めて取り組む作業や慣れていない作業でも大丈夫。

ほかの従業員に教わらなくても、マニュアルやフォーマットに沿って進めることで一定以上の成果を出せますよ。

組織運営がしやすくなる

業務の標準化は、組織の運営にも有効です。

現場の従業員だけでなく、マネージメントする立場の従業員や経営層も、業務のフローや手順を理解できますよ。

お互いにコミュニケーションを取りやすくなるのもポイント。

課題の分析や解決策を検討、従業員の評価をする際にも役立てられるはずですよ。

また、標準化によって従業員教育を効率化できる点も、組織運営にとって大きなメリットです。

標準化のデメリット

メリットの多い標準化ですが、場合によってはデメリットが生じることも…。

標準化を実行する前に、デメリットとなる可能性についても確認しておきましょう。

柔軟に対応できなくなる

業務を標準化すると、柔軟な対応が取りにくくなる可能性も…。

より効率よく作業ができたり、品質を上げられたりする場面があっても、業務フローに反する行動は取りにくいです。

また、常に標準化された業務フロー通りに過ごしていると、臨機応変に対応できない可能性が出てきますよ。

前例のない事象や急な変更が発生したときにも対応できるように、ある程度の柔軟性が必要です。

マニュアルを作成する際や従業員を教育する際は、柔軟性を損なわないように工夫しましょう。

マニュアルに依存してしまう

標準化のために作成したマニュアルが、かえって作業性を下げてしまうこともあります。

マニュアルがあることで自身で考える習慣がなくなると、ミスや遅延につながってしまうことも…。

また、マニュアルに誤りがあったり、解釈が複数あったりすると、大きなトラブルとなる可能性も出てきますよ。

マニュアルを作成するのも活用するのも従業員です。

だからこそ、マニュアルの定期的な見直しや従業員同士のコミュニケーションを忘れないでください。

業務がマンネリ化する

標準化によって、業務がマンネリ化する可能性があります。

マニュアルに従って同じ作業をこなしているだけだと、モチベーションが低下してしまう従業員もいるかもしれません。

自身の能力を発揮する場がないと感じてしまうのは、望ましくない状況です。

また、すでに標準化されていることで、新しい意見を聞き入れない風土ができてしまうのもNG。

抵抗感が出てきやすいことに注意し、定期的な見直しやコミュニケーションの充実を心がけましょう。

標準化についてよくある質問

もしまだ標準化という言葉にピンと来ていないとしたら、疑問が出てくることもあるかもしれません。

標準化について理解を深めるためにも、よくある質問と回答例を紹介しておきます。

【まとめ】標準化についてわかりやすく解説！

標準化の概要や、業務を標準化する手順、標準化のメリット・デメリットについて解説しました。

業務の標準化とは、いつでも誰でも同じように作業を進め、一定以上の品質を確保できるように環境を整えること。

業務を標準化することで、効率化を図れるだけでなく、組織運営もしやすくなります。

ただし、マニュアルに頼ることで依存心が生じたり、業務がマンネリ化したりする可能性もあるので、注意しましょう。

定期的に見直しすることも含めて、業務の実態に合わせて工夫しながら、うまく取り入れてくださいね。