リーダーシップ往復書簡 036
リーダーシップ往復書簡 036
引き続き、リーダーが理解し身に着けるべきインテリジェンスについてご紹介したいと思います。
前回に「情報保持者は、情報開示相手に対して、その情報の全部または一部を、自分のタイミングで、共有することができます。」という情報の取り扱い方をご紹介しました。
リーダーは、倫理的に、どの程度まで、情報コントロールすることが許されるのでしょうか?
例えば、社内政治が激しい会社があって、ライバルにダメージを与えるために、虚偽のうわさ話を流すとしましょう。
これは皆さんの倫理観からすると、許されるでしょうか?
もしくは、ライバルにダメージを与えるために、最終的に会社が損をする情報であっても、あえてそのライバルには伝えずに、黙っていたとしましょう。未必の故意のような状態です。
それでは、こちらはいかがでしょうか?
リーダーに、情報が集まって、自由に情報コントロールができ、その結果、人が動かせるようになると、どうしても倫理的な問題に直面します。
リーダーが、純粋なリーダーシップに基づき、信頼から情報をたくさん得られる場合だけならまだしも、現実的には、リーダーが組織のその地位にあるために得られる情報も沢山あるわけです。
こういった地位によって得られるパワーの使い方ほど、難しいものはありません。
リーダーは、目標・目的のために、しっかりと情報を活用しなければならないわけですが、一般的な倫理観を逸脱して、あまりに政治的だと、中長期的な観点では、周囲の人から評価を下げることになるでしょう。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
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【Q.36】
どうすればインテリジェンスのスキルを高めることができるでしょうか?
<コメント(前編)>
本件ですが、私が諜報機関にいたわけでも、調査会社、外交官やメディアにいたわけでもありませんので、あくまで私のスキルアップ方法を記させていただきます。
情報収集スキルの向上ですが、オープン情報取得と人との接触による情報取得があります。
前者については、メディアとインターネットからオープン情報をかき集めて、大量に読み込むが大事です。新聞読み比べなどをすると、情報の中に事実と評価があることを意識することができるようになると思います。あと、とにかく読むスピードを上げることが肝要です。情報は意思決定と直結していますので、予め情報が頭の中に入っていることは、2020年現在においても、非常に価値のあることです。また、今の時代ですので、インターネットの検索スキルも高い方がよいでしょう。情報やコミュニケーションに関するテクノロジーについては、常に感度が高くなければなりません。
人との接触による情報取得については、コミュニケーション能力、中でも、質問力、傾聴能力と雑談力を高めなければなりません。相手側から情報を引き出さねばなりませんから、質問する力と傾聴する力が大事になります。
私は、その手前にある大事な能力が、雑談力だと考えています。そんなに都合よく、ピンポイントで、自分が欲しい情報にはたどり着けません。それこそ他愛のないコミュニケーションから初めて、相手側に不快な想いをさせることなく、本当に必要な情報にアクセスできるようにならなければなりません。
質問者の方が望まれるインテリジェンスのスキルの高める方法とは違うかもしれませんが、常日頃から情報提供者と人的ネットワークを構築することも大事なことです。
専門家であったり、それこそ情報を取り扱うプロフェッショナルである記者、政治家秘書や外交官であったり、様々な人と胸襟を開いたような人間関係を構築したほうがよいでしょう。これは一朝一夕でできることではありません。
前提ですが、人の口に戸は立てられないのです。産業スパイのような世界ですが、例え秘密保持契約があったとしても、確たる証拠までは流出しないにしても、親しい人間関係を通じて、情報が抜けていくことは多分にあることなのです。それこそ、2000年代には、日本の大企業の幹部社員が、中国でハニートラップに狙われているというような話は、まことしやかにささやかれていたように思います。
また、情報提供者の地位や立場によっては、情報の見返りを金銭とするわけにはいかない方も沢山います。その場合は、情報の御礼は情報とすることが多いわけですが、そのあたりの”お作法”についても理解をする必要があると思います。そもそも、情報についても、各種法令が整備されています。国家公務員は情報漏洩自体が違法ですし、企業間でも営業秘密については不正競争防止法があります。
(回答が長くなったため、次回に回答を続けます。)
※この記事は、2020年6月13日付Facebook投稿を転載したものです。