リーダーシップ往復書簡 098
リーダーシップ往復書簡 098
どうすれば本物のリーダーになれるか。私がリーダーシップについて情報発信をし始めてから既に3年以上が経っていますので、大企業の管理職、PEファンドやVCファンド勤務の方、スタートアップの経営者など様々な人から度々この質問をされてきたように思います。
本連載でも何度も記載をしているとおり、本物のリーダーとは、必ずしも政治家や経営者など地位に就いているものではありません。
東日本大震災が起きてしばらくした時にたまたま同席して聞いていたのですが、私のメンターの方が、代議士に対して、リーダーシップについて話をしていました。話の内容は「今の時代、二世議員・三世議員がいて、食べていくための職業としての政治家もいるが、君は職業として政治家をしているのか?それともリーダーとして世のため人のために貢献していきたいのか?」といった主旨でした。
リーダーとは職位ではありませんから、目指すべきものではなく、行動の結果として、リーダーになるのです。
これは前々回に記載したヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)でも、多くの物語はそのようなストーリーとなっています。主人公は最初から意識してリーダーになってはいないのです。それこそ、ひょんなことから旅に出て、途中で夢や目標を掲げて、リーダーに成長していくのです。
それでは、どうすれば本物のリーダーになれるか。
リーダーを目指したい人は、とにかく一歩足を進めて、安住の地から離れて、旅に出なければなりません。そして、リーダーになるからには、自分のことばかり考えるのではなく、世のため人のため、他人のためを考えなければなりません。無私の心があなたを本物のリーダーへと近づけるのです。
今の世の中ですので、日本国内でチャレンジするのであれば、生き死にの問題に直面するようなことは考えづらいです。暴論のように聞こえるかもしれませんが、一歩踏み出して、その夢や目標を叶えるための旅に出ることが大事です。スタートアップ業界でよく聞く、まさに「起業しろ」だと思います。
次に、世のため人のためになる夢や目標を掲げることが大事です。フォロワーがついて来たいと思うような夢や目標を掲げなければリーダーではありません。二世議員・二世経営者だって、祖業や今までのステークホルダーを大事にしながらも、新しい夢や目標を掲げることができます。
リーダーシップの旅に出れば、旅の途中で幾多の苦労や困難があるかもしれませんが、いつか本物のリーダーになることができると思います。案ずるより産むが易しです。一度しかない人生で、リーダーになりたいならばチャレンジしてみることをお薦めします。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
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【Q.98】
毎回、感心しながら本連載を読ませていただいていますが、実際の社会人生活において実践する覚悟が決まりません。どうすればよいでしょうか?
<コメント>
私は以前テレビドラマの台詞などで使われた「死ぬこと以外かすり傷」という軽い考え方が嫌いです。ご質問者の方のように、真面目に考えれば躊躇逡巡するのが普通だと思います。
リーダーシップの「あり方」を実践するには、今まで長い間かけて身につけてきた経験や概念などの「垢」を落とさねばなりません。
本連載も約100回近く記載をしてきましたが、私がリーダーシップを語る際に気を付けていることは、分かりやすいように社会人・組織人として馴染のある事柄を取り上げながらも、リーダーとしての考え方、つまり一般的な考え方とは少し違うアングルでの考え方・見方を提供することです。リーダーの考え方とは、より人間的であり、より本質的なモノの見方なのです。
実践する覚悟ですが、前述のとおり、案ずるより産むが易しと思う一方で、私は無理に腹を決める必要はないとも考えています。
どんなに疲れた人であっても、たっぷりと休養さえとれば、また何かやりたいと思うものです。リーダーシップも同様で、リーダーシップ自体がより人間的で本質的なことなので、いつか実践したいと思うものだと考えています。
それこそ、リーダーシップは、私たち人類の遺伝子レベルに組み込まれているものなのではないかと思います。小さい子どもたちですら自然とリーダーシップを発揮しています。
リーダーシップには、清水の舞台から飛び降りるような覚悟は不要です。いつか世のため人のため誰かのために、リーダーシップを発揮したいと思う日が来たら、その時は覚悟を決めて、一歩踏み出してもらえればいいのではないでしょうか。
※この記事は、2021年5月23日付Facebook投稿を転載したものです。