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リーダーシップ往復書簡 096

 

 

古今東西、いつの世もヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)は成長物語です。主人公は、いつの間にか旅に出て、夢や目標を見つけて、仲間を集め、その仲間とともに困難に打ち勝ち、夢や目標を達成し、故郷に帰還する。
夢や目標を達成するためには、今のままではできませんし、今のままでは叶えることができないから、それが夢や目標になり得るのです。

現在と夢を叶える未来の差分を埋めなければ夢は実現しないのですから、ヒーローズ・ジャーニーが成長物語になるのは当然のことです。

今までの本連載においても、たびたび「成長」がキーワードになってきたように思います。リーダーが、正しくリーダーシップを発揮していれば、フォロワーは必ず成長します。リーダーとはフォロワーをはじめ他人を成長させる人なのです。そして、正しいリーダーシップはフォロワーに伝播し、リーダーは次のリーダーを育てるのです。

特に昨今はインターネットによって、単なる知識や情報のコモディティ化が著しい状況にあります。そのため、これからの時代に求められるのは、成人発達理論の「垂直的な成長」で言われるような、その人の認識の枠組みの変化によって、人の器の大きさが広がることや人間性が深まっていくことだと思います。

今や日本の全人口の平均年齢は48歳であり、人生100年時代を迎えています。社会人キャリア20年弱で今年40歳になる私ですら、まだ平均年齢に達するまで約10年あるのです。このような長丁場の人生の中で、早いうちにリーダーとして成長する機会を得られることは素晴らしいことだと思います。

早いうちに正しくリーダーシップを発揮しているリーダーの元でリーダーとしての「あり方」を学ぶことができれば、その後、その人がリーダーとなって、長い年月をかけて、大きな夢や目標を実現できるのではないかと思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.96】
私は、部下に対して、愛情を持って日々導いているつもりです。ここ数回続けて記載いただいている愛情とはどのようなものでしょうか?

 

<コメント>

愛情とは「like」ではなく「love」をイメージしています。もちろん男女の性愛とは違いますので、私はギリシャ語でいうアガペー(神の愛、無償の愛)を筆頭に、家族愛、親子愛、隣人愛のような様々な愛情のイメージを持っています。

リーダーシップの格言「Lead with love」ですが、上記のような愛情を持って、リーダーがフォロワーと接していくのは、忙しい毎日の中では、なかなか難しいのではないかと思います。

結婚式での牧師の「病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻(夫)として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」という言葉も、愛情の一つの形を理解するのに役立ちます。いついかなる時も、愛し、敬い、慈しむ。夫婦間でも大変なことですから、リーダーとフォロワーの関係でこれを成立させるには、リーダーは相当に頑張らなければなりません。

拙いながら私が愛情あるリーダーシップを発揮できるように気にかけているのは、フォロワーに対して決して見返りを求めないこと、何よりもフォロワーのことやフォロワー個人の成長を本気で考えること、率直なフィードバック、フォロワーを一人の人間として認め、敬い、気遣うこと、そして、喧嘩をしても離れないことなどです。

私は、案外、前段の最後に記載した喧嘩をしても離れないことが重要な気がしています。夫婦、家族、親子、友人などの関係と違って、リーダーとフォロワーが疎遠になるのは簡単です。冠婚葬祭で顔を合わせることもなければ、同窓会があるわけでもないからです。

ご質問者の方の愛情が何かとは違う答えかもしれませんが、つかず離れずで、リーダーとフォロワーで多くの時間を共にすることも愛情の一つの形のようにも思います。

 

※この記事は、2021年5月23日付Facebook投稿を転載したものです。

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