スーツアップは社長をリーダーにするタスク管理ツール

株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなど(以下まとめて「中小企業等」といいます。)の労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。本稿では、社長が社長の役割を果たしていないことや社長が組織に興味がないなどを示したうえで、私たちがスーツアップを通じてどのように社長の役割を変えようとしているのかについて記載したいと考えています。

経営支援クラウド「Suit UP」α版のサービス開始のお知らせ

 

【まとめ】

  • 社長の役割とは、未来を提示するリーダーシップと、スタッフ、組織、資金や業務を管理するマネジメント。多くの中小企業等の社長は、社長の役割を果たしていない。
  • 多くの中小企業等が企業価値向上を実現できない理由は、オーナー経営者が、社長の役割であるリーダーシップとマネジメントを放棄して、社長という肩書のまま株主をしているからである。
  • 社長は、日本のサラリーマンの優秀さに甘えず、もっと自分の会社の組織に興味を持って、積極的にマネジメントをしなければならない。
  • スーツアップは、マネジメントを簡素化・自動化し、社長がリーダーシップに専念できるようにするタスク管理ツール。
目次

1.社長が社長の役割を果たしていない

日本に法人数がいくつあるかご存じでしょうか?令和3年経済センサスによると法人数は178万社(会社以外の法人と個人経営を除く)あります。1社に1名社長がいると考えると178万人の社長がいるわけですが、この人数を民間経営の全ての従業者数の5,794万人で割ると3%という数字が計算できます。つまりは、働く人の3%は社長なのです。私は上場企業の代表取締役社長を辞めたあと、中小企業等の社長が集まる異業種交流会にいくつか参加したのですが、世の中にはこんなにも社長がいるのかと驚いたことがあります。学校のクラスが1クラス50名と考えると、社長は1クラスに1〜2名いる計算になります。

社員数の多い大企業に所属すると社長は遠い存在なのですが、中小企業等では社長は案外、身近な存在です。社員数が100名程度の規模の会社ならば、特に社長用の専用個室が用意されているということもなく、社長が同じフロアにいることも多いと思います。

それでは、社長の役割とは何でしょうか?私は、本来の社長の役割とは、経営戦略を立案し社内外に未来を提示してPRや営業活動を行うリーダーシップと、スタッフ、組織、資金の流れや業務を管理するマネジメントの2つに大別されると考えています。私はこの約10年間はスタートアップ支援も数多く手掛けさせていただきましたが、よく「0から1」と言われる全く何もないところから事業を興す起業家には強いリーダーシップが求められます。それに対して、2代目・3代目経営者は先代の社長が作り上げたビジネスモデルを守るというマネジメントを志向している方が多いように思います。経営者の難しいところは、成長ステージによって、その時々で、求められるスキルがリーダーシップやマネジメントと変わってくることです。

しかし、それ以上に問題なのは、私は、多くの中小企業等の社長は、社長の役割を果たしていないと考えています。つまり未来を提示するリーダーシップも発揮していなければ、自分の会社のマネジメントもしっかりしていない社長が沢山いるのです。

なぜそのような社長が多いのかというと、安定経営のオーナー経営者が多いからです。日本も資本主義が成熟化するにつれて、上場企業を中心に大企業においてはコーポレート・ガバナンス体制の強化と確立の議論が進み、株主と経営者の役割の分離が進んでいますが、中小企業等では逆にその2つの役割の混同が進んでいると思います。

学校の授業でも習いますが、統計的に見ると、日本にある会社の99.7%は中小企業です。そして、この中小企業では、過去の金融行政の歴史から銀行からの融資による資金調達が活発で、非上場企業に出資する少数株主はあまりおらず、これらの結果、過小資本、かつ、株主構成は創業者やその一族しかいないというオーナー企業が数多く存在しているのです。そのため、オーナー以外に少数株主がいなければコーポレート・ガバナンスは効かず、オーナーが公私混同や好き勝手な経営をしても、ビジネスモデルが確立して安定経営ができていて、銀行からの借入金の弁済が進んでいる限りは、第三者からは誰からも経営について指摘を受けることがないのです。

オーナー経営者が、社長の役割であるリーダーシップとマネジメントを放棄して、社長という肩書のまま株主をしている。これが多くの中小企業等が企業価値向上を果たせない原因ではないかと思うのです。

厳しく言うと、そういった一部のオーナー経営者は、自社のマネジメントは幹部社員に任せっきりで、ほんの少しのPR活動と営業活動を財界活動などで知り合った身近な人にする程度のリーダーシップだけで社長を名乗っているのです。

2.自分の会社の組織に興味がない社長

誤解をしてもらいたくないのは、経営者としてやる気のある・優れたオーナー経営者もいますし、社会活動にも繋がる財界活動もありそれ自体を否定するものではありません。しかし、日本の中小企業等の市場を良くするには、個々の会社の社長が、自社を良くするために社長の役割、社長に求められているリーダーシップとマネジメントを果たすしかないのです。

私はかれこれ約20年ほど中小企業等の経営に携わってきていますので、日々いろいろな社長と会食をしています。もちろんお会いする社長との距離感は千差万別で、長く親しい社長も沢山いますし、初めてお会いする方もいます。しかし、ほとんどの社長との会話は、景気、お金、競合他社の話であって、自分の会社の組織やオペレーションに興味がある人は本当に少ないように感じています。

それこそ、社長をはじめ多くのビジネスパーソンは、経営戦略に対して夢や幻想を抱いていて、経営戦略が悪いから会社が良くならないと勘違いしている方がいます。長年にわたり中小企業等の経営をしてきた私からすれば、組織力がないため、競合他社に先んじたような経営戦略を立案したところで実現できないと考え、より身近で面白くない経営戦略しか立案できないことは多々あるのです。アスリートに例えると、日々の筋トレやランニングなど基礎体力づくりをしないで、派手なパフォーマンスをしたいといった話と同じだと思います。

なぜ社長がこんなにも組織に興味がないのか。その原因は日本のサラリーマンの優秀さにあるのではないかと考えています。真面目なサラリーマンは、社長が「これをやっといて!」という雑な指示をしても、自らタスク設定して、そこそこの期限で、当該タスクの実行をしてくれるのです。しかも、さらに日本のサラリーマンが凄いのは、このタスクが、本来は自分が所属する部署の業務ではない等の場合であっても柔軟に対応できるのです。

漠然とした指示でも、自ら要件定義をして業務に邁進してくれ、なおかつ、組織に対する忠誠心の高いサラリーマンをこんなにも安価に雇うことができるのですから、日本の中小企業等の社長ほど楽な経営環境はないのではないかと思います。以前、海外で会社経営をする友人経営者からは、海外のスタッフならば、業務を明確にして、担当を決めて、いつまでといった期限をしっかりと明示しないとなかなか業務をしてくれないといった苦労を聞いたことがあります。

また、この日本のサラリーマンの優秀さが、結果として、労働生産性を落としているという事実にも目を向けなければならないと思います。それは現場スタッフの柔軟な対応は、必ずしも労働生産性が高いわけではないということです。例えば、日本の飲食店やホテルなどのサービス・オペレーションが挙げられると思います。特にマニュアルがないにも関わらず、お客様の状況に応じた親切な対応は「おもてなし」と言われ世界で高く評価されていますが、これもやりすぎてしまえば過剰なサービスになりかねず、会社の損益や労働生産性の観点からは正しいとは言えません。また、何といっても、現場スタッフの柔軟な対応により、組織が「それっぽく」回っていることで、社長をはじめとした管理職は危機感を抱かず、おざなりなオペレーションが改善されることなく放置されていくのです。海外企業のように、上司が厳しく指示しなければ仕事をしない部下や組織のほうが、よっぽどすぐにオペレーションの改善に着手しなければならないため、素早く問題解決されていくわけです。

このような状況下で、世界中でデジタル化・システム活用が進行しているのです。しっかりとした社長の下で標準化・マニュアル化されたオペレーションはシステム化がしやすいのです。システム化は、柔軟な対応とは全く別の観点である労働生産性の向上という観点で投資されていきます。

日本の社長は、サラリーマンの優秀さに甘えることなく、もっと自分の会社の組織に興味を持って、積極的にマネジメントをしなければならないのです。

3.社長をリーダーにするタスク管理ツール

前述のとおり、マネジメントとはスタッフ、組織、資金の流れや業務を管理することです。そして、それは、合理的・論理的に考えられた「仕組み化」であり、標準化・マニュアル化であり、システム化なのです。

経営理念やビジョンに向かって、お金を集めて、スタッフを雇い会社を組織化し、業務を役割分担して分業することで習熟度を高めて労働生産性を高め、お客様に対して高品質な商品・サービスを提供することで対価を得る。これが株式会社なわけですが、ITがここまで発展していなかった世の中では、「仕組み化」そのものの構築も大変な作業でしたし、スタッフ間の情報共有も、決められた仕組みやマニュアルの運用が正しくされているかのモニタリングも大変でした。しかし、ひとり1台のノートPCが当たり前になった令和の世の中では、業務管理ツールやSFA(営業支援ツール)などのSaaSも豊富にあり、マネジメントの簡素化や自動化は進んでいきます。

私たちはスーツアップで社長をリーダーにしたいと考えています。スーツアップは全社タスク管理を実現するツールなので、マネジメントの効率化のためのシステムではないかと思われるかもしれませんが、私たちが実現したいことは社長のマネジメントからの解放なのです。

繰り返しますが、社長の役割はリーダーシップとマネジメントです。そのため極端な話、マネジメントに関する業務がなくなれば社長はリーダーシップにかかる業務だけを行えばよくなります。経営戦略を立案し社内外に未来を提示してPRや営業活動を行うというリーダーシップは、システム化することが難しい人間的な活動です。

スーツアップでは、専門家とAIによるタスク雛型を実装し、業種業態や職種ごとのベストプラクティスのタスク雛型を提案するなど、タスク設定すら自動でできるような世界観を目指しています。近い将来、過去の学習データから最適な担当者や期限などの提示もできるようになるでしょう。そうなると、社長が全社的なタスク管理をしなくても、効率的に会社組織がマネジメントされるようになると思います。

それでは社長がスーツアップの中で、どのようなリーダーシップを発揮することになるのか。それは、過去データからでは推測できない社長の新しい発想や人間同士の繋がりから生まれるタスクの設定と、そのタスクを実行するスタッフたちに対する感謝と励ましの声がけなのではないかと思うのです。世のため人のため、お客様のため、スタッフのためにタスク設定をし、「みんな、がんばろう!」と叱咤激励をする。これが社長に求められるリーダーシップになるのではないかと思います。

スーツアップでは、このように社長の再定義をしたいと考えています。全社タスク管理というマネジメントをシステム化することで、よりマネジメント業務を、簡素に、また、自動化することで、社長がリーダーシップに専念できるようにして、社会の発展に貢献していきたいと考えています。

 

【関連ブログ】
1.スーツアップで実現する全社タスク管理のメリット
2.スーツアップは「経営支援クラウド」から「実現支援クラウド」へ
3.スーツアップによって実現できる7つのこと


※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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