リーダーと考える経営の現場・第1回 はじめに

リーダーと考える経営の現場」では、経営の現場で起きていることを、改めてリーダーシップの観点から捉えなおすことによって、読者の皆さんとともに、会社に関わる全ての人のリーダーシップのあり方について考えていきたいと思います。

今後、本連載を読んでいただくことによって、読者の皆さんが、それぞれの会社でそれぞれリーダーシップを発揮していくようになり、多くの人にリーダーと評されるようになることを願っています。そのため、本連載のタイトルは、あえて「読者の皆さんと考える経営の現場」ではなく「リーダーと考える経営の現場」とさせてもらいました。

早いもので私が経営の仕事に携わってから10年以上になりますが、どっぷりと経営の仕事をしている中で気が付いたことがあります。

それは、経営の現場で起きていることは、その人にリーダーシップがある・ない(もしくは、リーダーシップ的思考の強い・弱い)によって、まったく同じ事象が起きていても、まったく違うように見えているということです。

たとえ同じような方向性で会社を良くしたいと考えており、日々一丸となって努力をしている素晴らしい「経営者」・「管理職」・「一般スタッフ」のチームワークがあったとしても、リーダーシップがある・ないによって、違う景色が見えているのです。

最初は、私も、ただ単純に「経営者」・「管理職」・「一般スタッフ」という立場の違いから、経営の現場で起きていることに対して、捉え方が違うものだと思っておりました。しかし、実際に多くの人にヒヤリングをしてみると違うのです。「経営者」であっても「一般スタッフ」のような話をする人はいるし、「一般スタッフ」であっても「経営者」のような話をする人がいるのです。そこにあるのは、立場の違いではなく、その人がリーダーシップの観点から物事を捉えているかどうかなのです。

経営の現場で起きていることは、会社を取り巻く様々な立場の人たちによって、様々な評論が加えられていきます。様々な立場の人たちが、それぞれの立場で意見を言うのは当然です。しかし、同じベクトルの人たちであっても、リーダーシップの考え方のある・なしは、物事の捉え方に大きな影響を与えます。当たり前ですが、物事が全く違うように見えていれば、徐々に行動も変わっていくものです。ここに経営の難しさがあります。

このような経験の中で、私は、経営の現場で起きていることを、改めてリーダーシップを軸に捉えなおしたら、会社経営の本質をより理解することができるのではないかと思ったのです。本連載では、様々な経営の現場を、リーダーの目線から考えていきたいと思います。

「リーダーシップ」と「経営」という2つのキーワードが出てくると、本連載の読者ターゲットが経営者だけのように思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、それは違います。本連載の読者ターゲットは、会社に関わる全ての人です。会社に関わる全ての人とは、社内スタッフである「経営者」・「管理職」・「一般スタッフ」だけではなく、社外である取引先、株主、お客様、そして地域社会の人々をも含まれています。

私は、現在の日本社会において、「リーダーシップ」の捉えられ方には多くの誤解があると考えています。その代表例が、前述のリーダーシップ=経営者の問題という考え、つまりはリーダーシップとは経営者にだけ必要なものであって、(経営者の指示に従うサラリーマンなど)それ以外の人々にはあまり必要ではないという考えではないかと思います。

私は、若い時分から縁あって、「サラリーマン経営者」として、様々な会社経営に関与してまいりました。その過程で、上場企業の代表取締役社長を務めたり、伊豆シャボテン公園グループといった老舗レジャー施設の企業再生をしたり、貴重な経験をさせてもらいました。そして、現在は、代表取締役を務める株式会社スーツで、今までの会社経営の経験を活かし「プロ経営者」として、時価総額100億円以下の会社を中心に、業種業態・成長ステージ問わず様々な会社の経営支援をしています。

そのため、本連載の内容は、私はリーダーシップの学術的な専門家ではありませんので、経営の現場を通じて身に着けたリーダーシップの見地から、経営の現場を捉えなおしたものであるということが正確な表現になろうかと思います。

今後、本連載では、次回以降「リーダーシップ」の考え方について、ほんの少し私の考えを記載させていただいた後に、経営の現場で起きていることを、読者の皆さんとともに、改めてリーダーシップの観点から捉えなおしていきたいと考えています。それによって、読者の皆さんが、新しい「気づき」を得るきっかけとなり、実際に会社生活でリーダーシップを発揮してもらうようになって、より良い会社生活に繋がればと考えています。

今後、「リーダーと考える経営の現場」では、皆さまの期待に沿えるような連載をしていきたいと思います。

 

「リーダーと考える経営の現場」

第1回 「はじめに」
第2回 「リーダーシップに立場は関係ない」
第3回 「マネジメントとリーダーシップの違い」
第4回 「人は性善なれど弱し」
第5回 「自責と他責」
第6回 「人として正しいことを」
第7回 「リーダーは自然体」
第8回 「サーバント・リーダーシップ」
第9回 「愛され畏れられる存在」
第10回 「傲慢な存在」
第11回 「子どものように叱る」
第12回 「奇跡を起こし、神となれ」
第13回 「Lead with love」
第14回 「リーダーシップの旅 前半」
第15回 「リーダーシップの旅 後半」

 

※この記事は、WEBメディア「The Urban Folks」に連載されている2018年1月7日公開の「リーダーと考える経営の現場・第1回 はじめに」 を加筆・修正したものです。

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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