業務の見える化とは?4つの効果と実践方法を解説!

業務の見える化

「日々の業務が忙しくて全体の状況が把握しにくい…」
「部署間の連携がうまくいかないけどどうしたらいい?」

業務管理をするうえで、そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

業務の見える化をすることで、より効率的に仕事が進み、経営判断のスピードを上げることができます

この記事では、業務の見える化とは何か、そのメリットや具体的な方法について詳しく解説します。

管理者や経営者、効率的に業務を進めたい方はぜひ参考にしてください。

目次

業務の見える化とは

見える化

業務の見える化とは、組織内の業務内容・手順・進捗状況などを誰でも把握できる形で明示する取り組みです

誰が見ても直感的に理解できるように、仕事に関するあらゆる情報を図や文書にして可視化することをいいます。

具体的には、フローチャートやタスク管理表、マニュアルなどの活用により、業務の全体像を関係者間で共有が可能です。

見える化をすることによって関係者全員が現状を把握しやすくなるため、スムーズな意思決定や業務改善に役立ちます

また、業務の効率化や課題の早期発見にもつながるため、ぜひ押さえておきたいポイントです。

業務の見える化をする目的

業務の見える化には、以下の4つの主な目的があります。

  • 業務改善
  • 属人化の解消
  • 情報共有の円滑化
  • 人材育成・評価の効率化

その背景には、担当者しか分からない属人的な業務や、非効率な作業手順が組織内に存在しやすいという問題があります。

しかし、業務の見える化を行うことで、業務品質の底上げだけでなく、組織全体の再現性と生産性を高めるための基盤となります。

見える化・可視化・棚卸しの違い

「見える化」「可視化」「棚卸し」は似た言葉ですが、目的と対象が異なります。

見える化業務の流れや情報、課題を他者と共有できる状態にすることで、主に組織全体での改善や連携を目的とする
可視化数値やグラフなどを使って定量的に把握しやすくする手段で、業務効率や実績の分析に使われる
棚卸し業務内容や資産などを洗い出して整理する行為そのものを指す

たとえば、業務棚卸しは見える化の第一ステップになります。

このように、それぞれの言葉は段階的に関連しつつも、役割が異なる概念であるため、混同せず使い分けることが重要です。

業務の見える化を行うメリット

見える化

業務の見える化は、生産性の向上だけでなく、働きやすい環境作りやチームワークの改善にも大きく寄与します。

ここでは、業務の見える化をするメリットを4つご紹介します。

業務フローの最適化と生産性向上

業務の見える化を行う最大のメリットは、業務フローの無駄や重複を洗い出し、効率化できる点です。

可視化により、属人化していた作業や非効率なプロセスが明らかになり、改善ポイントを見つけやすくなります

たとえば、複数部門で似たような作業が行われていた場合、それらを統合・自動化することで大幅な時間短縮が可能です。

このように、見える化によって業務プロセスが整い、生産性の向上につながります。

部署間の連携向上・情報共有の促進

業務の見える化は、部署間の壁を取り払いスムーズなコミュニケーションを促進します。

各部門の業務内容や進捗状況が透明化されることで、他部署の状況を把握しやすくなり、連絡ミスや認識のズレが原因で発生するトラブルを防ぐことが可能です。

また、可視化することで各部署の役割や責任範囲が明確になるため、業務の分担がスムーズに進み、大きなプロジェクトの運営も容易になります。

見える化によって全体の進捗を俯瞰でき、全員がゴールに向けて足並みをそろえやすくなるメリットもあります。

人材配置や評価の適正化

業務の見える化は、公平で透明性の高い人事評価システムの構築に大きく貢献します。

従来の評価では、誰がどのような貢献をしたのかが曖昧になりやすく、不公平感が生まれがちです。

しかし、社員一人ひとりの業務内容・成果・貢献度をデータとして記録・可視化することで、客観的な評価基準を設定できるようになります

また、業務量が多い社員や、陰ながらチームを支える役割を担っている社員の努力も正当に評価できるため、適切な報酬を提供しやすくなります。

さらに、見える化された情報を活用することで、個々の社員の強みや成長領域を明確にし、適切な育成計画やキャリアパスを提示することが可能です。

DX推進やツール導入の土台

業務の見える化は、新しいツールやシステムの導入をスムーズに進める効果があります。

業務プロセスが明確になることで、どの工程に課題があり、どの部分に効率化の余地があるのかを具体的に把握が可能です。

たとえば、以下のように具体的な対応策が取れるようになります。

  • 手作業が多くミスが頻発している工程には自動化ツールを導入する
  • 情報共有が遅れている部分にはチャットツールやプロジェクト管理ツールを導入する

さらに、導入したツールの効果や変化を明確に測定できるため、運用の検証や継続的な改善を進めやすくなります。

見える化すべき4つの情報

見える化

業務の見える化を進めるうえで、特に注目すべき4つの情報があります。

これらを適切に可視化することで、業務効率やチームワークが大幅に向上します。

業務フロー

業務フローの見える化は、会社の仕事の流れを視覚的に理解するための重要なステップです。

具体的には、どのタスクがどのタイミングで発生し、誰がどのように関与しているのかを可視化します

これにより無駄な作業や重複している工程、ボトルネックとなっている部分を特定しやすくなり、効率化の機会を見出すことができます。

さらに、業務フローの可視化は、社員間の理解促進や新入社員の教育ツールとしても活用でき、業務の全体像を短期間で理解させることが可能です。

業務フローの可視化方法

全体像を誰もが簡単に把握できるように!

  • フローチャート
  • プロセスマップ

タイムスケジュール

各業務やタスクにどれくらいの時間がかかっているのかを可視化することで、時間管理の向上に直結します。

タイムスケジュールを見える化することで、どの作業に多くの時間が費やされているか把握し、業務改善やリソース配分の最適化が可能です。

繁忙期と閑散期のバランスを取ったり、重要度の高いタスクに適切な時間を割り当てたりといったことも結果的に容易になり、安定的な生産につながります。

タイムスケジュールの可視化方法

タスクの期限や進捗確認で納期遅れを防ぐ!

  • プロジェクト管理ツールの活用

タスクの進捗状況

タスクの進捗状況を見える化することは、プロジェクト管理の効率を大幅に向上させる鍵となります。

全体の進捗状況が見える化されていれば、遅延している部分や問題が発生しそうな箇所を早期に特定でき、迅速な対応が可能です。

さらに、進捗状況の可視化は、自分の貢献度を明確に認識でき達成感を得やすくなるため、チーム全体のモチベーション向上にも役立ちます。

タスク進捗状況の可視化方法

全体像や担当者の状況を簡単に把握!

  • ガントチャート
  • カンバンボード

ナレッジ

業務における知識やノウハウを見える化することは、組織全体のスキル向上につながります。

たとえば、過去の成功事例や問題解決の手順を共有することで、同じミスを繰り返さず、より効率的に作業を進めることが可能です。

さらに、ナレッジの見える化は新人教育の効率化や業務の質の均一化にも大きく貢献します。

蓄積された知識を共有することで経験の浅い社員でも短期間で成果を上げられるようになり、組織全体に情報が行き渡ることでクオリティアップを目指すことができます。

ナレッジの可視化方法

社員全員が情報にいつでもアクセスできる!

  • デジタルツールの活用
  • 社内Wiki

業務の見える化を進める方法

業務の見える化は段階的に進めることが効果的です。

ここでは、業務の見える化を進める手順について解説していきます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP

業務の棚卸しと洗い出しをする

業務の見える化は、まず「何の業務が存在するか」を把握するところから始まります。

現場の担当者ごとに業務内容をヒアリングし、業務の棚卸しを行いましょう

把握する情報例
  • 誰が何をどのように行っているのか
  • 属人化している業務はないか
  • 無駄や非効率な部分はどこにあるか
  • 人員の配置や所要時間は適切か

これらを、業務ヒアリングやワークショップを通じて現場の意見を収集しましょう。

この段階で、業務の種類・頻度・所要時間・関与メンバーなどを可視化することで、現状の問題点やボトルネックが見えてきます。

STEP

フローチャートを作成する

洗い出した業務を、流れとして図解化することで、全体像を把握しやすくなります。

フローチャートを作成することで、どの作業がどこで行われ、どのようにつながっているかが一目でわかるようになります。

特に複数部門が関わる業務では、業務の「受け渡し」部分に課題が潜みやすいため、チャート化は有効です。

図示することで、見落とされがちな無駄や遅延も発見しやすくなります。

このとき、目的に応じてデータや指標を選ぶようにしましょう。

目的例と情報例
業務の効率化
  • 業務フロー
  • タイムスケジュール
  • タスクの進捗状況
適切な人事評価
  • タスクの割り振り状況
  • 成果物の記録
  • 業務時間の記録
教育・研修の効率化
  • ナレッジ
  • 研修フロー
  • FAQやトラブル事例
STEP

情報の分類と整理をする

フローチャート作成後は、業務情報を「フロー情報(進捗・スケジュール)」と「ストック情報(手順・ノウハウ)」に分けて整理します

これにより、どの情報が更新を必要とするか、どこに共有・保管すべきかが明確になります。

その際、見える化に適したツールや手法を決定しておくのがおすすめです。

ツールや手法の例
  • TrelloやAsanaなどのプロジェクト管理ツール
  • デジタルボードやフローチャート作成ソフト
  • 社内Wikiやナレッジ共有ツール

適切なツールを選んだら、活用方法を事前に研修するようにしましょう。

STEP

マニュアル化して共有する

業務内容が整理できたら、業務マニュアルとして文章化・標準化し、全員が参照できるようにします。

マニュアルを作ると、誰でも同じように仕事ができるようになります

さらに、マニュアルは属人化を防ぐだけでなく、新人教育や業務引き継ぎの効率化にも役立ちます。

マニュアルにする情報例
  • 必要な情報が直感的に見えるデザイン
  • 手順の詳細な記述
  • FAQをまとめる
  • 注意点や失敗例の記載

フォーマットやテンプレートを統一して、誰でも使いやすい状態にすることがおすすめです。

定期的な更新も忘れずに行い、常に最新の状態を保つことが大切です。

STEP

定期的に見直しPDCAを回す

業務の見える化は一度やって終わりではなく、定期的な見直しと改善が必要です

PDCAサイクル(Plan・Do・Check・Act)を回すことで、常に業務の質を高めていくことができます。

改善方法の例
  • フィードバックの収集
  • 実際のデータで比較
  • 最新ツールへの移行

毎月のミーティングで、可視化後の進捗や課題を確認し、改善点を議論することがおすすめ。

業務の見える化をスムーズに進め、効率的で透明性の高い業務運営を実現しましょう。

業務の見える化を行うポイント

業務の見える化を成功させるためには、ただ情報を整理して共有すればいいというわけはありません。

効果を最大限に発揮するための3つのポイントを意識しましょう。

見える化の目的を明確に定義する

業務の見える化を効果的に進めるには、まずその目的を明確に定義することが不可欠です。

業務効率化・チームの連携強化・人事評価の透明性向上など、目的によって取り組むべき範囲や方法は変わります

たとえば、業務効率化を目的とするなら「どの工程に無駄があるのか」を明らかにすることがゴールです。

一方、チーム間の連携を強化したい場合は、各部署のタスクや進捗状況を共有する仕組みが求められます。

ゴールを見失わないためにも、目的設定をきちんと行いましょう。

誰でもわかるように情報をまとめる

業務の見える化において、情報をわかりやすくまとめることは重要な要素の一つです。

その際、簡潔で直感的に伝わる形にするのがコツです。

専門用語や複雑な表現を避け、誰もが理解できるシンプルな言葉と視覚的な表現を心がけましょう。

たとえば、手順を図解したり、業務フローをフローチャートで描いたり、タスクの進捗状況をカンバンボードで表示したりといった手段が効果的です。

さらに、情報をまとめるときは読み手の理解度や関心に応じて情報を選択できるように、段階別に情報を提供しましょう。

概要レベルから詳細レベルまでの階層を揃え、よくある質問や具体的な事例も交えることで、抽象的な概念をより具体的に理解できるようになります。

常に最新の情報を共有する

最新の情報を継続的に共有することは、業務の見える化でも大事な要素です。

リアルタイムで更新できる仕組みを取り入れることで、情報の鮮度を保ち、誰もが現状を正しく把握できる環境を作りましょう

たとえば、プロジェクト管理ツールの活用することで、タスクの進捗状況やスケジュールを簡単に更新でき、関係者全員が最新情報にアクセスできます。

これにより、状況の変化や予期せぬトラブルにもいち早く対応でき、組織全体の信頼感も向上します。

業務の見える化の行う際の注意点

業務の見える化は、注意点についても押さえておくことで、よりスムーズかつ効果的に実施できます。

情報が多すぎて混乱する

業務の見える化を進める中で、すべての情報を網羅しようとしすぎると、逆に現場が混乱する恐れがあります。

情報が過剰になると、重要なポイントが埋もれてしまい、かえって判断が鈍くなるケースもあります。

そのため、「目的に直結する情報」だけに絞り込んで可視化することが重要です。

たとえば、フローの中でボトルネックが発生しやすい箇所や、業務の遅延・ミスが起きやすい工程にフォーカスして整理しましょう。

“全部載せ”ではなく、“必要な情報を選ぶ”ことが成功の鍵です。

現場の抵抗やツールが定着しない

業務の見える化にはツール導入やルール整備が伴うため、現場スタッフの抵抗感が大きな障壁になることがあります。

「監視されている」「自分のやり方を変えたくない」といった心理的ハードルが定着の妨げになることも少なくありません。

そのため、導入初期から現場の声を丁寧に聞き、実務にフィットする運用ルールを共に作り上げることが重要です。

また、ツール導入時は「なぜ必要なのか」「何が楽になるのか」を具体的に共有し、段階的に慣れてもらう工夫も取り入れましょう。

人と仕組みの両面からアプローチすることが、見える化成功のポイントです。

業務の見える化におすすめのツール

業務の見える化はツールを使うことで精度を高められます。

ここでは、2つのツールの種類を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

グループウェア

グループウェアは、スケジュール管理やタスクの共有、社内コミュニケーションを一元化できるツールです。

代表的なサービスには「Google Workspace」や「Microsoft 365」などがあり、カレンダー・チャット・ファイル共有機能を通じて、業務の進捗状況をリアルタイムで「見える化」できます。

特に、部門間で情報共有が必要な組織にとって、グループウェアは業務効率化と連携強化の両面で効果を発揮します。

操作性が高く、PC・スマホどちらからでもアクセスできる点も現場導入に最適です。

自分の会社に最適なグループウェアが知りたい方は、「【2025年最新】おすすめのグループウェア比較|選び方・メリット・注意点も解説!」を参考にしてください。

スーツアップ

スーツアップは、中小企業向けの業務改善支援ツールで、業務の可視化・棚卸・改善提案までを一貫して支援できる点が特長です。

業務内容を「誰が・いつ・何を・どれだけ」行っているかを詳細に記録でき、属人化の排除や業務分担の最適化に役立ちます。

また、管理者が現場の課題を分析しやすいよう、レポート機能も充実しており、業務改善のPDCAサイクルを加速させます。

エクセルでは限界を感じている方や、業務棚卸を効率的に行いたい企業にとって、有力な選択肢といえるでしょう。

まとめ:業務の見える化で組織力を底上げしよう

業務の見える化は、業務効率の向上やミスの削減、人材評価の適正化など、組織全体のパフォーマンスを高めるための重要な取り組みです。

業務フロー・タスク進捗・時間管理・ナレッジといった情報を「見える化」することで、課題の早期発見や改善が可能になり、DX推進やツール導入の土台づくりにもつながります。

ただし、目的を明確にし、情報過多や現場の抵抗といった落とし穴を回避する工夫も欠かせません。

適切なツールを活用し、定期的に見直しながら改善を重ねることで、業務の透明性と組織の一体感を高めていきましょう。

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

2025年5月に、『1+1が10になる組織のつくりかた チームのタスク管理による生産性向上』を出版。

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