業務分掌とは?分掌表の作り方5ステップ【テンプレ・記入例付き】

業務分掌とは、組織内の業務を部門や担当者ごとに分担し、それぞれの責任と権限を明確にする仕組みです。
この記事では、業務分掌表の作り方を5つのステップで解説します。書き換えるだけで使えるテンプレートと記入例、職務分掌との違い、形骸化させない運用ルールまで順に紹介します。
作成を任された総務・人事・経営企画の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
業務分掌の作り方【5ステップ】
業務分掌は、全業務の洗い出し、グループ化と線引き、担当・責任・権限の割り当て、文書化、承認・周知の5ステップで作ります。
担当だけを先に決めると業務の抜けや重複が残りやすいため、現在の業務を整理してから進めます。
以下では、架空の中堅電機メーカー「ABC電機」を例にします。

全業務の洗い出し・棚卸し
最初に、実際に回っている全業務を棚卸ししてください。日報・業務マニュアル・既存規程を確認し、資料で拾えない業務は担当者へのヒアリングで補います。
確認する項目は、業務名・頻度・現在の担当者・関係部署など。ABC電機の架空例なら、市場調査・製品企画・設計・製造・品質管理といった業務を書き出します。
自社で業務棚卸しやヒアリングに使っている実務票がある場合はその項目を優先し、兼任が多い会社では担当者単位で洗い出してから役割ごとにまとめます。
業務のグループ化と線引き
次に、洗い出した業務は、目的や扱う情報が近いもの同士でまとめ、各業務グループの主管部署を1つ決めます。
たとえば、経理部は請求書処理や経費精算、営業部は見積作成や受注管理というように線引きします。複数部署へまたがる業務は、主管部署と協力部署を分けて記載します。
同じ業務を複数部署が担当している場合は、受付・判断・実行などの工程ごとに役割を整理すると重複を減らせます。
担当・責任・権限を割り当てる
主管部署が決まったら、担当者と責任者を決め、何を、どこまで判断できるのかまで具体化します。
決裁権限や予算執行権限は社内の基準に合わせて記載します。請求や支払いなどでは、申請と承認を同じ担当者に集中させないルールも検討します。
責任と権限のどちらかだけが偏らないよう、「責任者」「実務担当」「承認者」の役割も確認してください。
業務分掌表・規程として文書化する
そして、決めた内容は業務分掌表や規程として文書化します。
規程は原則、業務分掌表は具体的な担当一覧として分けると、組織変更時も更新しやすくなります。
規程本文には目的・適用範囲・基本原則を書き、具体的な担当は「各部門の業務分掌は、別に定める業務分掌表による」として別表へまとめます。
規程整備の負担が大きい場合は、まず業務分掌表から始めても構いません。
承認・稟議と社内への周知
草案ができたら、各部門の責任者に担当範囲を確認してもらい、修正後に社内の決裁ルールに沿って承認・稟議を行います。
制定後は、説明会や社内ポータル、共有フォルダなどで最新版を確認できる状態にしまてください。
周知では、自分の担当がどう変わったか、判断に迷ったときの確認先まで伝えます。同じ質問が多く出る項目は、分掌表の書き方も見直します。
業務分掌表のテンプレートと記入例
業務分掌表は、少なくとも「部署・担当業務・責任者・権限・関連部署」の5項目を列に持つ表で作ります。行は業務のまとまり(グループ)単位で書き、1行に1業務グループを割り当てます。
更新日も加えておくと、組織変更後にどの版が最新かを確認しやすくなります。
| 部署 | 担当業務 | 責任者 | 権限 | 関連部署 | 更新日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 総務部 | 備品購入の申請受理と発注 | 総務部長 | 発注の承認 | 経理部 | 改訂時に記入 |
| 経理部 | 請求書の受領・処理・支払い | 経理部長 | 支払いの実行 | 各部門 | 改訂時に記入 |
| 営業部 | 見積作成・受注管理 | 営業部長 | 見積内容の承認 | 経理部 | 改訂時に記入 |
このひな形に、ステップ1で洗い出した自社の業務を流し込めば、分掌表のたたき台が完成します。
すぐに作成を始めたい場合は、業務分掌表のExcelテンプレートをダウンロードし、自社の部署名・担当業務・責任者・権限などに書き換えてください。
規程本文には目的や基本原則を書き、具体的な担当業務は業務分掌表で管理すると、組織変更時の修正範囲を抑えられます。
異動が多い会社では責任者を役職名で記載し、役職だけで最終責任者を判断できない場合は担当チームや補足欄を加えます。
規程本文の条文例まで確認したい場合は、業務分掌規程の作り方の詳細も参考にしてください。
業務分掌のメリットとデメリット
業務分掌を導入すると、責任の所在や引き継ぎ先を明確にできます。
一方で、担当範囲を厳しく分けすぎると連携低下や硬直化が起こるため、メリットだけでなく、起こりやすい問題と対処方法も一緒に整理しておきます。

メリット:責任の明確化・属人化防止・評価の適正化
| メリット | 現場で期待できる変化 |
|---|---|
| 責任と権限の明確化 | 誰が実行・判断・報告するかが分かり、確認先を特定しやすくなる |
| 属人化防止 | 担当が文書で残るため、異動・退職時の引き継ぎ範囲を決めやすくなる |
| 人事評価の適正化 | 担当業務が明確になり、成果や責任範囲を評価の材料にしやすくなる |
| 不正・ミスの抑止 | 実行・承認・記録などを分けることで、相互チェックを設けやすくなる |
自社の課題が「引き継ぎのしにくさ」なら属人化防止、「判断の遅さ」なら責任と権限の明確化というように、まず解消したい課題を導入目的として決めると、社内でも説明しやすくなります。
すべてのメリットを同時に狙う必要はありません。たとえば評価制度の見直しが目的ではない会社なら、人事評価まで細かく作り込まず、責任範囲と引き継ぎの整理を優先できます。
デメリットと対処:形骸化・硬直化を防ぐルール
個人の判断に任せず、起こりそうな問題と対処方法をあらかじめ運用ルールにしておくと対応しやすくなります。
| デメリット | 起こりやすい状態 | 対処の例 |
|---|---|---|
| 部門間の連携低下 | 担当の境界が壁になり、情報共有が減る | 部門横断で確認する場を決める |
| 業務の硬直化 | 担当外の仕事へ対応しなくなる | 緊急時の一次対応や代行ルールを決める |
| 想定外の業務への弱さ | 新しい業務の主管部署が決まらない | 規程外の業務を誰が割り当てるか決める |
| 責任転嫁 | 境界業務の最終責任者が曖昧になる | 境界業務にも主管部署を1つ設定する |
少人数の会社では厳密に分けすぎると業務が止まるため、通常時の担当と緊急時の代行を分けて設計する方法もあります。
分掌を作った後に「担当外だから対応しない」という状態が増えた場合は、線引きそのものではなく、例外時の連携ルールが不足していないかを確認します。
業務分掌と職務分掌・職務権限規程の違い
| 文書 | 対象範囲 | 粒度 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 業務分掌 | 組織(部署・チーム) | 組織単位 | 組織(部署・チーム)単位で業務を割り振る。目的は役割の明確化と効率化 |
| 職務分掌 | 役職・担当者 | 職務単位 | 1人の職務の中で業務を分離し、申請・承認・実行を別人にする。目的は不正・ミスの防止 |
| 職務権限規程 | 決裁者 | 権限単位 | 誰がいくらまで決裁できるか、権限と責任の線引きを定める |
まず作るのは業務分掌表。J-SOX・監査で職務の分離を求められたら職務分掌、決裁ルールの明確化が必要になったら職務権限規程と、必要な段階で追加します。
セグリゲーションは不正や誤りを防ぐために職務を分離する考え方です。詳細な内部統制設計は会社ごとに異なるため、ここでは違いの整理までに留めます。
業務分掌を形骸化させない運用・更新の仕組み
業務分掌は、作成した時点で終わりではありません。
実際の業務と文書のずれを防ぐには、更新ルールを決め、日常のタスク管理と導入初期の確認も行います。

更新ルール(頻度・責任者)を規程に書く
原則年1回の定期点検に加え、組織変更や新規業務の発生時に見直すルールを決めます。責任者も、人事・総務・経営企画など全社を横断して確認できる部署から定めます。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松裕介ルールを決めず、曖昧なままにしてしまうと、更新を忘れてしまいます。
「本規程は毎年4月に人事部門が点検し、組織変更または新規業務発生時は都度改訂する。改訂の責任者は人事部長とする」のように決めます。
見直しの時期と担当部署は、自社の組織変更の頻度に合わせて調整してください。
見直しでは、担当の偏りや不要になった業務、新しく増えた業務、承認で止まりやすい業務を確認しましょう。
タスク管理の仕組みで運用を回す
月次締めや契約更新など繰り返す業務は、担当・期限・進捗をチームで確認できる形にします。
最初は共有スプレッドシートでも運用できますが、期限通知が必要な業務ではタスク管理ツールを使う方法もあります。
ツール導入そのものを目的にせず、分掌表で決めた担当が日常業務に反映され、担当不在や期限遅れを確認できるかを基準にします。タスク管理ツールの比較・選び方はこちらで確認できます。
スーツアップは、分掌で決めた定例業務を日々のタスクとして管理できるチーム向けタスク管理ツールです。
導入初期は確認頻度を上げる
導入直後は、週次または月次で「担当が決まっていない業務」「複数部署で重複した業務」「承認待ちで止まった業務」を確認します。
問題が見つかったら、口頭で担当を変えるだけで終わらせず、その場で主管部署を決めて分掌表も更新します。
運用が安定し、問題が減ってきたら確認頻度を下げ、年次点検と組織変更時の見直しへ移行します。
内部統制・監査対応としての業務分掌
内部統制や上場準備では、業務分掌を作成しているかだけでなく、文書の内容と実際の担当が一致し、変更や承認の記録を確認できる状態にしておくことが重要です。
金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」では、統制活動に「権限及び職責の付与、職務の分掌等」が含まれるとされ、取引の承認・記録・資産の管理を別の担当者に分ける例も示されています。
監査やIPO準備を意識する場合は、少なくとも次の3点を説明できる状態にしておきます。
- 規程・分掌表の有無:部署ごとの担当、責任者、権限の範囲を文書で確認できる
- 実態との一致:文書上の担当と、実際に業務を行っている担当がずれていない
- 更新・承認の記録:組織変更時に、いつ何を変更し、誰が承認したかを追える
金銭を扱う業務では、申請・承認・実行・記録が一人に集中していないかも確認します。
必要な整備範囲は会社規模や上場準備の段階によって異なるため、自社の状況に合わせて分掌表の細かさを決めましょう。
J-SOXにおける職務分離の詳細設計は会社ごとに異なります。具体的な整備範囲は、監査法人・証券会社・内部統制の専門家へ事前に確認してください。
業務分掌に関するよくある質問
業務分掌を作る際に迷いやすい4つの疑問に回答します。
業務分掌表とは?
業務分掌表とは、各部署や担当者が担う業務の範囲・責任・権限を一覧で整理した表です。
部署・担当業務・責任者・権限などの項目は業務分掌表のテンプレートと記入例で確認できます。
業務分掌は誰が作るのか?
人事・総務・経営企画など、全社の業務を横断して確認できる部署が中心となり、各部署へヒアリングしながら作成するのが一般的です。
小規模企業では経営者が主導する場合もあり、最終承認は自社の決裁ルールに沿って行います。
テンプレートはある?
本記事の項目構造と記入例をひな形として使い、自社の部署名や担当業務に置き換えて作成できます。
業種固有の業務がある場合は、ステップ1で洗い出した業務と照合して必要な項目を追加してください。
見直しの頻度は?
原則年1回を目安にし、組織変更や新規事業の立ち上げなど担当範囲が変わったときは都度見直します。
頻度だけでなく更新責任者も決め、運用・更新の仕組みとして規程に残しておくと管理しやすくなります。
まとめ:業務分掌は棚卸しから始め、運用で育てる


業務分掌は、全業務の棚卸しから始め、分掌表として文書化し、運用で育てる仕組みです。作り方は5ステップ。洗い出し、グループ化、責任と権限の設定、文書化、承認と周知です。
分掌表はテンプレートを自社に書き換えれば今日から作れます。作って終わりにしないために、更新の頻度と責任者を規程に書き、日常のタスク管理の仕組みで運用を回してください。
分掌どおりに日々の業務が回っているかを見える化するなら、タスク管理ツールの比較・選び方をまとめた記事が参考になります。
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。







