第1回スーツアップ特別ウェビナー「中小企業向けBtoBマーケティングの最前線」

当社では、2025年1月22日(水)に、ゲスト講師にマーケティングスタジオのポップコーン株式会社の代表取締役社長の大澤 陽平氏を迎え、「中小企業向けBtoBマーケティングの最前線」と題して、スーツアップ特別ウェビナーの初回セミナーを開催しました。

本稿では、中小企業の皆様にとって有益な情報が満載だった本ウェビナーの内容をダイジェスト版としてお届けいたします。

第1回目は、ゲスト講師の大澤氏による講演「中小企業向けBtoBマーケティングの最前線」です。大澤氏のご経歴は以下のとおりです。

<ポップコーン株式会社 代表取締役社長CEO 大澤 陽平>

2013年4月に新卒でDeNAに入社。DeNA時代には創業からの事業部にて歴代レコードの営業数字を達成。DeNAのEC事業を譲渡されたKDDIグループに参画し、KDDIへの事業売却の過渡期まで在籍。2017年に退職し、その後は知人からメディア運営について教わり、立ち上げたメディアは1ヶ月で10万PV、3ヶ月で300万PVまで成長。2018年には「ユーザーと徹底的に向き合いたい」という想いから、ポップコーン株式会社を創業。設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。メディア事業だけでなく、上場企業とのマーケティングDX事業を多数手掛ける。

【まとめ】

    • ターゲットとなる見込み顧客の分類をイメージしながら、どのようなマーケティング施策をするのかを考える
    • マーケットや商圏、需要やニーズが適切か検討
    • 狙っているターゲット層に合わせてシステム構築や設計を検討
    • コストを抑えたマーケティングも可能
    • 顧客部分のリサーチは体感に落とし込む
    • 自社とターゲット層のバランスを考慮したツール作成
目次
チームのタスク状況が分からない。
これに多額のコストが発生していることを知っていますか?

チャネルの概念と着眼点

まず概念的なお話をします。BtoBマーケティングのゴールは、受注確度の高い見込み顧客を営業スタッフに繋げることです。そのため、BtoBマーケティングはあくまで営業活動の一環であると意識することが重要です。


マーケティング施策に関しては、ターゲットとなる見込み顧客のボリューム(人数)や関心から考えた方が整理しやすいと思っています。もちろん商品・サービスに興味を持ってもらえない潜在層の人も多くいます。

このような潜在層に対するアプローチは大規模な展示会、SEOや広告、アナログな手法であればDMやFAXなどもありますが、これらも見込み顧客の細分化・分類をイメージしながら、どのようなターゲットに対して、どのようなアプローチを行うのか、チャネルを決める必要があります。

BtoBマーケティングではマーケティング施策そのものが目的になってしまっている話をよく聞きます。しかし、あくまでマーケティング活動は営業活動や事業活動の一環です。

戦略がない中で大規模なマーケティング施策への投資だけが先行してしまったり、目的がはっきりしないままマーケティング活動を始めてしまったりすると、BtoBマーケティングに投資しても思ったような効果は出ません。

特に中小企業によるマーケティングでは、漠然と結果を期待していきなり大きな投資をするのは、企業経営の観点からも健全ではないので、改善しなければなりません。

具体的な事例を使って説明します。弊社が支援しているお客様にチャットボットを提供している企業があります。システム開発への投資を積極的に行っていることから、カスタマーサクセスなど営業リソースが限られている状況でした。今後もサービスを作ることに優先的に工数を充てていきたいとの経営方針があったため、営業活動全体のコストをいかに抑えて、リードを作っていくのかをすり合わせていきました。

当時はまだチャットボットが普及していなかったため、ITリテラシーの高い人の中から、顧客ターゲットにできないか検討しました。調査の結果、自社ECの拡張機能を探してる層はリテラシーが高く、顧客がチャットボットを自身で使いこなせそうだと考え、ターゲットに設定しました。

そのターゲット層であれば、契約後はお客様自身でチャットポットを学習しながら使いこなすことができ、会社の負担も軽減できると考えました。

具体的なマーケティング施策はオウンドメディアの運営をしました。調査によると、自社ECの拡張機能を考える層はShopifyの利用者層が多いことが分かりました。Shopifyを日本国内のECサイトで運用するためのHowToメディアを作成し、その中でチャットポットや当該企業の紹介などを自然に情報発信していきました。

他の事例では、エンタメ系の企業の支援もあります。売上規模が大きい企業でしたが、新規営業やリード開拓が特定の役員に依存しており、属人化している状況の改善を希望していました。

ターゲットは老舗の大企業の役員ということだったので、信頼できるメディアでの情報を信頼するタイプをペルソナに設定しました。

具体的なマーケティング施策としては、オウンドメディアとして芸能人の調査レポートを行うランキングメディアを運用し、3年ほどかけて、その内容を地方新聞などを中心に転載されるような施策を実施しました。

その結果、「業界ネタとして聞いたことがある」と相談をもらえる状態を実現し、それをフックとした営業活動ができるようになりました。


BtoBマーケティングでは、具体的なマーケティング施策から話を始めるのではなく、何を実現したいのか、何を事業として行っていきたいのかに着眼点を決めて、マーケティング施策を検証していくことが重要です。

何をもって検証していくのかは、主に2つの観点から検討できます。

1つ目は、マーケットや商圏の設定が適切なのかです。先ほどのエンタメ系の企業の事例では、大手企業にアプローチしたいということで、最初はSEOを目的としたオウンドメディアを制作して欲しいという話でした。しかし、エンタメ系の記事を検索をする人はゴシップとして「見たら満足」という人も多いので、商圏として本当に適切なのかどうかを考える必要がありました。

企業として実現したいことの明確化や調査をした結果、自社のメディアだけでなく、新聞社などの信頼できるいろいろな媒体に記事の転載を狙っていくのが良いという仮説からマーケティング活動をしました。

オウンドメディアやSNSを施策として選択した場合、そこで獲得した人が本当に営業のターゲットになるかについて検討が必要です。

2つ目は、需要やニーズとして適切なのか、お客様が想定した動きになっているかです。WEBマーケティングをはじめとしたマーケティング施策に思考が偏りすぎてしまうと、メディアに大きな投資をすれば営業活動の負担が無くなるイメージになってしまうなど、期待感が先行してしまうケースがあります。もちろん、実際には営業活動の負担が無くなることはありません。

高級な商材やBtoB商材の場合、いきなり高額な商材をアプローチするのでなく、何かドアノックとなるような軽い商材を作って、そこから取引を作っていくことも必要なので、多角的に検討した上で仮説を設定することが必要になります。

作り手のエゴでお客様が動くことはありません。想定顧客が自然と使ってくれるものが必須だと考えています。

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自社に相性の良いターゲットに合わせてシステム構築


ここでは、このウェビナーを主催している株式会社スーツ様における弊社のBtoBマーケティングのサポート事例を紹介します。

スーツ社は2024年6月にベンチャーキャピタルから2億円の資金調達をして、チームのタスク管理・プロジェクト管理ツール「スーツアップ」の開発をしています。

「スーツアップ」は主な顧客として中小企業を想定しています。そのため、中小企業にも浸透しているエクセルのUI/UXであれば、決してITリテラシーの高くない中小企業のスタッフの方でも抵抗感なく使用できると考え、エクセルやスプレッドシートのようなインターフェースを採用しています。

そのためシステム開発は、エクセルやスプレッドシートの開発に近く、システムの技術要件が高く、現在もシステム開発に関しては継続して機能開発しているところなので、時間がかかるSEOやコンテンツマーケティングの施策を早めにスタートさせることになりました。

まずオウンドメディアを制作するにあたって、「お客様はどのような場合に資料請求やお問い合わせなどを行うのか」について議論をしました。

漠然と「お問い合わせはタスク管理ツールを試したい時に発生する」と考えましたが、それだけでは有効なリードに繋がる要素が不足しているように感じました。

特にタスク管理に悩みを持つ個人の方からの問い合わせは、結局のところ、個人利用で完結してしまうことが予想されました。これではチーム利用で効果を発揮するスーツアップの特長を活かすことができないため、個人ではなく、会社や組織への導入に繋がる記事制作をすることを検討しました。

また、オウンドメディアに必要不可欠となるPVやUU数などのアクセス状況、コンバージョンのマネジメントについても、個人利用に関する問い合わせの対応は営業コストを圧迫する要因にしかならないと考えました。

一方で、オペレーションの改善に課題を持っていることや、スーツアップの代表的な機能であるタスクひな型に興味を持っていることは有効なリードの獲得の要素になると考え、問い合わせについては、そのお客様が何を重視しているのかを調査した上で、オウンドメディアの設計をスタートしました。

調査の結果、問い合わせの条件としては、以下の3点を考えました。

  • 「スーツアップ」の導入に相性の良い企業であること
  • 決裁者からの検索や問い合わせであること
  • オペレーションの改善という課題をチームで持っていること

「スーツアップ」のターゲットとしては、エクセルやスプレッドシートのようなインターフェースにメリットを感じるような中小企業を考えました。

新しい流行りのデジタルツールをどんどん使っていくようなITリテラシーが高い企業ではなく、ITリテラシーがさほど高くない、けれどもオペレーションの改善をしたい企業、日常業務に「スーツアップ」を活用してくれるような企業をターゲットにしています。

また、オペレーションの改善に悩んでいる企業は、ネット検索をする時点で改善の需要が顕在化していることが多いので、SEO対策を施したオウンドメディアを作成することで悩みにアプローチできると考えました。

お問い合わせにおける良質なコンバージョンとは、キーワード設計に加えて、PVから問い合わせしてもらうためのCTA検証にも転用できること、さらにスーツアップの強みが活きる問い合わせだと考えています。

具体的には、知識や経験が不足している業務において有効なタスクのひな型を、中小企業の経営層に「自分たちに向けられたサービスである」と感じてもらえることが重要だと思っています。

これらの仮説をもとに、中長期的な視点において、集客効率が高いことからオウンドメディアはSEOを中心に構築、数値に関してはアクセス解析ツールを使用して分析して、記事単位で仮説検証を行うなど具体的な施策を実施しています。

記事の読者ターゲットの一つに、エクセルに関連する業務課題について調べている人を考えているため、「エクセル タスク管理」や「エクセル ToDoリスト」などのキーワードで検索した際に「スーツアップ」のオウンドメディアが上位に表示されることを実現しました。

「スーツアップ」でタスク管理をする方が「業務効率が上がる」や「タスク管理が簡単になる」というスーツアップの魅力をそれぞれのコンテンツで訴求する記事を作り、コンバージョンに繋げることを進めています。

実際の数字としては、約3ヶ月経過した時点で、月間約3万PVを達成しており、しっかりとトラフィックが発生しています。このようにしっかりと仮説を立てた上でマーケティング施策の設計をして実行していくのが重要です。

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小さく始めて成功すれば拡張していく

BtoBマーケティングでは、マーケティング会社を2種類に分類できると考えています。1つはSEOやWEB広告など、ソリューションありきの提案をする会社で、もう1つは総合広告代理店に代表されるように、ソリューション自体を手広く持っていて、規模の大きい、マーケティング設計全体からの提案をする会社です。

私は、中小企業向けにカスタマイズした提案できるマーケティング支援業者が少ないと考えています。

マーケティング会社としてただ儲けだけを優先させるなら、商品・サービスをパッケージ化して、施策実施後の実績・効果を気にせずに、ガンガン売ってしまうこともできるでしょう。

悪質なマーケティング会社を減らすには顧客リテラシーを上げていくのと同時に、マーケティング会社のモラルも改善していかないといけないように感じます。

中小企業は予算が少ないということもありますが、これは本質的な問題ではないと思います。昨今、プラットフォームが「情報の発信者は誰か。その人はその領域の専門家なのか。」を見るようになってきています。

スーツ社の事例でも、何よりスーツ社はタスク管理ツールやプロジェクト管理ツールを提供する会社であるということが、タスク管理やプロジェクト管理に関する記事の効果が出やすくなる要因だと考えられます。

事業会社は、昔に比べて予算投下した時の効率が良くなってきているので、まずは小さく始めて、上手く行った施策をどんどん拡張していく方法を採るべきです。

生成AIが出てきて中小企業のBtoBマーケティングにも影響が出ています。今後、究極的にはGoogleで検索をする行為がなくなることもあり得ると思いますし、コンテンツの見られ方や使われ方なども変わるかもしれません。

但し、現時点ではプラットフォーマー各社がコンテンツの作り手が誰であるのかを評価するようになっており、従来からのマーケティングの基本原則は変わりません。企業の大小問わずBtoBマーケティングは、事業会社が推進しやすい仕組みになる気がしています。

動画やSNSに関しても、業界によっては効果的だと思います。例えば、飲食店や流通・小売などの店舗ではInstagramのアカウント運用を簡易的に行い、新店エリアでのターゲティングをしてから展開するマーケティング戦略は有効です。そういう意味では、Google以外のSNSや生成AIも多様化していく可能性があります。

BtoB企業のマーケティング施策の「型」はできているように思うので、コストを抑えたいならInstagramの施策が1番やりやすいと思います。そのエリアごとにローカルで当てていくようなマーケティング施策は5〜10万円くらいと低予算で小さく始められるため、中小企業でも取り組みやすいです。

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体感に落とし込むリサーチ

スーツ社のチームのタスク管理・プロジェクト管理ツール「スーツアップ」のマーケティングで難しかったところは、顧客想定やリサーチの部分です。

私自身はネット企業からキャリアをスタートさせた人間なので、タスク管理をエクセルやスプレッドシートのようなインターフェースで行うことは、自身のユーザー感覚ではしっくりと来るものではありませんでした。

コンテンツマーケティングを作るときは自分の感覚やロジックで理解するのは重要ではなく、「体感に落とし込む」までリサーチをしなければなりません。

例えば女性をターゲットとした記事コンテンツを見ている時に、男性の視点を感じ、ライターがまるで女性のフリをしているようだと感じることがあります。「じゃない感じ」がにじみ出るとコンテンツマーケティングは効果が出なくなるので、「体感に落とし込む」ためのリサーチには時間をかけました。

中小企業と大企業とでは、BtoBマーケティングの考え方そのものは根本的に変わらないと思います。

大企業の場合、多くは市場規模が大きいので、「どこのお客様をターゲットにするか」や「再現性をどのようにするか」によって投資額が違ってくるとも思います。しかし、マーケティング施策に関する投資額以外のマーケティング戦略の立案など考え方は企業規模で変わりません。

スーツ社のマーケティングの今後の展開は2つを想定しています。1つはBtoBマーケティングの観点で、今後のコンバージョンをどう上げていくかです。現状はオウンドメディアを中心とした議論になってしまっているので、ここからどう拡張していくかを検討していきます。

2つ目はYouTubeなど動画系チャネルを作っていくことです。オウンドメディアは中小企業の経営者など多くの顕在している見込み顧客がターゲットになっていますが、それ以前の、業務に悩みを抱える潜在層をターゲットとして掘り起こし、ファン化したり興味を持ってもらったりするための施策として長尺の動画系コンテンツは適していると考えています。

他にもスーツ社の「売り」を強化するために、職種や業種に関するタスクひな型を作り、「スーツアップ」を利用するメリットを表に出していくようなマーケティング戦略やプロダクトづくりをしていきたいです。

BtoBマーケティングの成功のポイントは営業のための手段を作ることです。営業がなくてはマーケティングも成り立ちません。「何のためなのか」が要件定義できている状態から始めることを強くお勧めします。

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チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

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この記事を書いた人

スーツアップの広報担当です。スーツアップは、チームでかんたん、毎日続けられるプロジェクト・タスク管理ツールです。表計算ソフトのような操作で、チームの業務を「見える化」して、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぎます。チームのタスク管理を実現することで、業務の効率化やオペレーションの改善が進み、大幅なコスト削減を実現します。

お問い合わせ先:pr@suits.co.jp

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