リーダーシップ往復書簡 081

リーダーシップ往復書簡 081

 

 

経営者にも一定数いるのですが、人を動かすためには、リーダーは怖くなければならないと誤解している人がいるように思います。日本人にありがちな「マッチョなリーダー像」をさらにダークで過激にした「怖いリーダー像」とでも言えばいいでしょうか。

若かりし頃、私は、メンターの方に、リーダーは愛され畏れられなければならないと教えられました。

文字どおり、「畏れる」は、自分より遥かに力のあるものを尊い、怖いと思う気持ちを表わす意味です。他方で、「怖れる」は、危険を感じて不安になる、恐怖心を抱く意味です。リーダーに求められているものは「畏れ」であって、単なる「怖れ」でないことに注意する必要があります。

リーダーは人を動かす際に、夢や共感の力でフォロワー自らが動くように導くべきであって、パワー(地位や立場に基づく影響力)や恐怖の力で強制するようなことがあってはなりません。

このようなコミュニケーションをすればするほど、フォロワーの心は離れていきますし、結果として、自身の影響力が著しく低下することになります。
それこそ組織を崩壊に向かわせてしまう経営者の特徴は、パワーに基づくコミュニケーションしかできない方です。フォロワーも人間ですので、パワーを利用して、例えばすぐに人を怒鳴りつけたり人事権の発動などをチラつかせたりするような恐怖によるコミュニケーションをする方についていきたいと思うわけがありません。

昨今では、フィアレス(Fearless)な職場、心理的安全性こそが学習・イノベーションの源泉であるということも言われ始めています。

リーダーは、まずはフォロワーの安心・安全を確保することが、彼らの能力発揮に不可欠であることを理解しなければならないと思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.81】
フォロワーに自信を持ってもらうために、リーダーはどうすればよいでしょうか?

 

<コメント>

本連載の重要なキーワードでもある「人は性善なれど弱し」。人間は平時であれば性善でいることができますが、窮地に追い込まれれば悪が顔をのぞかせます。

平時か窮地かの判断は、心理的な余裕から行われます。つまり、自分に問題解決できるという絶対的な自信があれば、平時と判断でき、周囲の人々に対してゆとりある性善なる対応を行うことができます。

そのため、ご質問の方のとおり、リーダーは、どのようにフォロワーに自信を持ってもらえばいいかが一つのポイントとなると思います。

自信の育み方は、大別すると2つあると思います。1つ目は、小さい成功体験を積み重ねて、少しずつ自分ができることを増やしていくことです。私たちは、子どもから大人となる過程で、まさにこのように小さな成功体験を積み重ねて大人になっていったと思います。

2つ目は、失敗しても、自分の居場所が確保されているということを知ることです。これは行動の成功・失敗に紐づいていない自信なので、より根源的な自信となります。何か失敗しても許される人間関係、友人や家族に愛された経験などは、まさに自信に繋がることだと思います。

私は、リーダーが、フォロワーの自信を育むに際して、この2つができるかが重要だと考えています。この自信の育み方は、子育てにも通じるものがあると考えています。

 

※この記事は、2021年4月17日付Facebook投稿を転載したものです。

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