総務の備品管理を仕組み化する5ステップ!台帳の作り方と効率化のコツ

備品管理とは、会社の物品を「所在・数量・状態」が常に分かる状態に保つ仕組みづくりのこと。

「あの備品どこにいった?」「気づいたらインクが切れていた」「棚卸のたびに台帳と現物が合わない」——備品管理がうまくいかない原因のほとんどは、担当者の頑張り不足ではなく“仕組みが決まっていないこと”にあります。

本記事では、総務が備品管理を安定して回すための流れを、洗い出し→ルール決め→台帳作成→ラベリングと運用→棚卸という5つのステップに整理しました。

特別なツールがなくても、この順番で手をつければ、担当者が代わっても崩れない管理の土台をつくれます。

登録不要でそのまま使える備品管理台帳のエクセルテンプレートも配布し、消耗品(在庫)の管理方式、専用ツールへの移行の目安、チームで運用を続けるコツまで、ツールを実際に開発する立場から具体的に解説します。

目次

備品管理を仕組み化する5ステップ【全体像】

備品管理を仕組み化する5つのステップ(洗い出し・ルール・台帳・運用・棚卸)の全体像
図1:備品管理は「洗い出し→ルール決め→台帳作成→運用→棚卸」の5ステップで積み上げる。

備品管理は「洗い出し → ルール決め → 台帳作成 → ラベリングと運用 → 棚卸」の5ステップで組み立てると、担当者が代わっても崩れない仕組みになります。

備品管理でつまずく職場の多くは、いきなり台帳づくりや便利ツール探しから始めてしまいます。

しかし本当に効果的なのは、その前に「何を・どのルールで管理するか」を決めること。

順番を守るだけで、後戻りの作り直しが大きく減ります。

5ステップの流れと、各ステップの目的

各ステップは前のステップの成果物を土台にします。
飛ばすと、後の工程で必ずやり直しが発生します。

まず全体像を押さえましょう。

下の5つは、独立した要素ではなく上から順に積み上げてはじめて成立する関係になっています。

台帳(②)は洗い出しとルール(①)が土台であり、棚卸(④)は台帳とラベル(②③)がなければ機能しません。

→ 表は横にスクロールできます

ステップやることこの工程のゴール
①洗い出し・ルール現物を全部出し、管理範囲と運用ルールを決める「何を・どう管理するか」の合意
②台帳作成管理項目と採番を決め、台帳(エクセル等)を作る全備品が1か所で一覧できる状態
③ラベリング・運用現物にラベルを貼り、貸出・購入・廃棄を記録する現物と台帳がつながる状態
④棚卸定期的に台帳と現物を突き合わせる台帳が“正しい”と信頼できる状態
⑤消耗品の在庫管理消耗品は数量で発注ルールを回す在庫切れ・過剰在庫が起きない状態

なお5番目の消耗品管理は、①〜④と並行して回す“もう一つの軸”です。

固定資産に近い「備品」と、使ったら減る「消耗品」は管理の考え方が違うため、本記事でも分けて解説します。

備品と消耗品の違い(10万円・1年が目安)

ざっくり言うと、繰り返し使う“モノ”が備品、使うと減る“ストック”が消耗品。
会計上は取得価額と使用期間で線を引きます。

一般に、取得価額が10万円以上、または使用可能期間が1年以上のものは固定資産(器具備品など)として扱われ、それ未満は消耗品費として費用処理されます。

この基準は税務上の減価償却資産の判定と結びついており、詳しくは国税庁の『少額の減価償却資産になるかどうかの判定』が参考になります。

ただし中小企業には、取得価額30万円未満の資産を一定額まで一括で損金算入できる特例もあり、実際の会計処理は自社の経理方針によります。

総務の備品管理では、この会計区分をそのまま「物理的な管理方法の切り替え点」として使うと整理しやすくなります。

→ 表は横にスクロールできます

観点備品(固定資産に近い)消耗品(ストック)
例PC・モニター・デスク・椅子・複合機・工具コピー用紙・インク・文具・電池・衛生用品
金額・期間の目安取得価額10万円以上 or 1年以上使う10万円未満 or 1年未満で使い切る
管理単位1点ずつ個体管理(誰が・どこで使用)数量でまとめて管理(今いくつ残っているか)
主な関心事所在・使用者・状態・返却在庫数・発注タイミング・切らさない
台帳での扱い備品管理台帳(資産台帳)在庫管理表(発注点・定期発注)

金額の基準はもう少し細かい段階もあります。

取得価額が10万円未満なら消耗品費、10万円以上20万円未満なら3年で均等償却できる一括償却資産、そして中小企業なら30万円未満まで一括で損金にできる特例、というように税務上の扱いが分かれます。

総務の現物管理では厳密な税区分まで意識する必要はありませんが、経理が資産計上する高額品と、費用処理する消耗品で台帳を分ける、という線引きの目安として使うと運用が整理できます。

同じ「文具」でも、高価な裁断機は備品、ボールペンは消耗品というように、金額と使い切るかどうかで分けると迷いません。

固定資産・リース品との線引き

備品台帳と固定資産台帳は目的が違います。
経理の固定資産台帳は“会計のため”、総務の備品台帳は“現物を回すため”です。

高額な備品は経理が固定資産台帳で減価償却の対象として管理します(取得価額に含める費用の考え方は『国税庁 No.5400 減価償却資産の取得価額に含める費用』を参照)。

一方、総務の備品管理台帳は「今どこにあり、誰が使い、壊れていないか」という現物運用のための台帳。

両者は目的が違うため、資産番号(経理)と管理番号(総務)を対応させておくと、突き合わせがスムーズになります。

リースやレンタルの機器は自社資産ではありませんが、返却期限や保守の窓口を総務が握る必要があるため、備品台帳に「所有区分(自社/リース)」の列を設けて一緒に管理すると抜けが防げます。

始める前に押さえたい3つの原則

完璧な台帳より、続く運用。
最初から作り込みすぎないことが、備品管理を定着させる最大のコツです。

①管理する範囲を欲張らない:まずは金額・重要度の高い備品と、切らすと困る消耗品に絞る。全部を等しく管理しようとすると続かない。

②ルールは「誰が担当しても同じ手順」を優先:担当者だけが分かる運用は、その人が休んだ瞬間に止まる。属人化させない。

③記録は「その場で・ついでに」:後でまとめて入力するルールは必ず破綻する。購入・貸出の瞬間に記録できる形にする。

ステップ①:備品を洗い出し、管理ルールを決める

備品の現状洗い出しと、購入・貸出・廃棄・責任者を定める管理ルール策定のイメージ図
図4:ステップ①は「現物の洗い出し」と「採番・責任者・フローのルール決め」から始める。

最初にやるのは台帳づくりではなく「現物の洗い出し」と「ルール決め」。
ここが備品管理の土台になります。

いきなり台帳を作り始めると、後から「この列も要る」「このルールが無い」と作り直しになります。

先に現物とルールを固めてから、台帳を作る順番が結局いちばん早い道です。

現物をすべて洗い出す

まずは会社にある備品を、部署・保管場所ごとに全部書き出しましょう。
ここで抜けると、台帳は最初から抜け漏れだらけになります。

洗い出しは、きれいにやろうとせず「まず全部書き出す」ことが大切。

保管場所を単位に回ると漏れにくくなります。

  1. 保管場所をリストアップ:倉庫・書庫・各フロア・各部署の棚など、備品がありそうな場所を列挙する。
  2. 場所ごとに現物を書き出す:品名・数量・だいたいの状態(良/要修理/廃棄候補)をメモする。
  3. 備品と消耗品に仕分ける:個体管理する備品と、数量管理する消耗品に分ける。
  4. 不要品を先に処分:壊れた物・使わない物は台帳に載せる前に廃棄し、管理対象を減らす。

洗い出しは「完璧」を狙わず7〜8割で先に進めます。
残りは運用しながら追加する方が、いつまでも始まらないという事態を防げます。

管理ルールを決める(採番・責任者・フロー)

誰が・いつ・何を記録するかを先に決めます。
ルールが無い台帳は、数か月で必ず現実と食い違います。

最低限、次の4点を決めておけば運用が回ります。

ここを口頭ではなく文章にして共有することが、属人化を防ぐ第一歩です。

  • 採番ルール:管理番号の付け方(例:分類コード+連番)を統一する
  • 責任者・管理部署:備品ごとに管理責任の所在を決める
  • 購入・廃棄フロー:上長承認→購入→台帳登録/廃棄→台帳から除外、の流れを固定
  • 貸出・返却ルール:持ち出し時は必ず記録、返却期限を設ける

属人化を避けるうえでは、「担当者が休んでも同じ手順で回せるか」を基準にルールを設計しましょう。

あわせて、保管場所そのものを整えておくと運用が一気に楽になります。

備品の定位置を決めて表示する、使ったら戻す、使わない物は置かない——といった整理・整頓のルール(いわゆる5S)が徹底されていれば、台帳と現物のズレが起きにくくなります。

逆に、どこに何を置くかが決まっていない状態でいくら台帳を作っても、現物が動き回ってすぐに合わなくなります。

ルール決めは「記録の手順」と「モノの置き方」の2点を押さえるのがコツです。

ステップ②:備品管理台帳をつくる【無料テンプレ付き】

備品管理台帳に入れる管理項目(管理番号・品名・保管場所・使用者・購入日・状態など)の一覧イメージ
図5:台帳は「探す・棚卸する・更新する」が楽になる項目をそろえるのが基本。

台帳の役割は「全備品を1か所で一覧できる状態」をつくること。
凝ったレイアウトより、必要な項目がそろっていることが重要です。

台帳はエクセル・スプレッドシート・専用システムのいずれでも作れます。

まずは多くの職場が使い慣れたエクセルで、必要な項目をそろえた簡単な台帳を作るところから始めましょう。

台帳に入れるべき管理項目

「探す」「棚卸する」「更新する」の3つが楽になる項目だけをそろえます。
列は多すぎても更新が続きません。

備品管理台帳に最低限そろえたい項目は次のとおり。

自社で不要な列は削り、必要な列だけに絞ると更新が続きます。

→ 表は横にスクロールできます

項目内容なぜ必要か
管理番号採番ルールに沿った一意の番号現物のラベルと台帳を結びつける
品名・型番何であるかを特定できる名称同種の備品を取り違えない
分類PC・什器・工具などのカテゴリ棚卸や集計をしやすくする
保管場所フロア・部署・棚番号所在をすぐに探せる
使用者・管理部署誰が使い、どこが管理するか責任の所在を明確にする
取得日・取得価額購入した日と金額耐用年数・更新時期・資産区分の判断
状態良好/要修理/廃棄予定など更新・修理の計画に使う
所有区分・備考自社/リース、貸出状況など返却期限や特記事項を残す

台帳を作るときの共通の注意点は、1行1備品を守り、セル結合を使わないこと。

セル結合や見た目重視のレイアウトは、並べ替えや絞り込み、集計を壊す原因になります。

分類や保管場所は自由入力にせず、あらかじめ決めた選択肢(プルダウン)から選ぶ形にすると、表記ゆれが防げて棚卸や集計が正確になります。

項目設計に迷ったら、『エクセルでデータ管理する方法』のページの考え方も参考になります。

採番ルールの決め方

管理番号は「見ただけで分類と場所が推測できる」形にすると、探す・棚卸するが一気に楽になります。

採番は「分類コード+連番」が基本形。

たとえばPCなら「PC-001」、什器なら「FN-012」のようにすると、番号を見ただけで種類が分かります。

必要なら保管場所コードを足して「1F-PC-001」とする方法もあります。

採番ルールは一度決めたら変えないのが鉄則。
途中でルールを変えると、過去の番号と混在して探せなくなります。

エクセルで連番を振る場合は、分類ごとにシートを分けず、1シートにまとめてフィルターで絞る方が棚卸で扱いやすくなります。

番号の桁数は将来の増加を見込んで3桁以上にしておくと安心です。

そのまま使える備品管理台帳テンプレート(無料)

下のテンプレートをコピー、またはエクセルでダウンロードして、自社の備品を上書きすればすぐに使えます。

ここまでの項目をまとめた備品管理台帳のひな型です。

まずはこの形で始め、運用しながら自社に合わせて列を足し引きしてください。

管理番号,品名・型番,分類,保管場所,使用者・管理部署,取得日,取得価額(円),状態,所有区分,備考
PC-001,ノートPC ThinkPad E14,PC,2F 情報システム,営業部 山田,2025-04-01,128000,良好,自社,-
FN-012,会議用チェア,什器,3F 第1会議室,総務部,2024-06-15,18000,良好,自社,-
OA-003,複合機 imageRUNNER,OA機器,2F 共用スペース,総務部,2023-10-01,0,良好,リース,月額リース・保守込
TL-020,電動ドライバー,工具,1F 倉庫,施設管理,2025-02-10,9800,要修理,自社,バッテリー交換要

↑をコピーして「bihin-kanri-daicho.csv」として保存し、エクセル/スプレッドシートで開けばそのまま使えます(文字化けする場合は文字コードを UTF-8 で開く)。列は自社に合わせて増減してOKです。

消耗品は同じ台帳に混ぜず、在庫数で管理する別表にするのがコツです。

在庫表の作り方は『エクセルで在庫管理表を作る方法』のページが参考になります。

ステップ③:ラベリングと貸出・入出庫の記録を運用に乗せる

現物へのラベル貼付(管理番号・QRコード)と、貸出・返却・購入・廃棄を記録する運用フローの図
図6:現物にラベルを貼り、貸出・返却・購入・廃棄をその場で記録して台帳とつなぐ。

台帳と現物をつなぐのがラベル。
そして、貸出・購入・廃棄を“その場で記録”できて初めて、台帳は正しさを保てます。

どれほど立派な台帳を作っても、現物にラベルがなく、動きが記録されなければ、数か月で台帳は現実とずれます。

ここが備品管理の“続くかどうか”の分かれ目です。

ラベルの貼り方(管理番号・QRコード)

すべての備品に管理番号ラベルを貼り、台帳と1対1でひも付けましょう。
QRコードにすると棚卸がスマホで完結します。

ラベルは「はがれにくい場所」「読み取りやすい向き」に統一して貼りましょう。

番号だけのラベルでも十分ですが、QRコードやバーコードにすると、読み取るだけで台帳の該当行を開ける運用にできます。

QRコード化のメリットは、棚卸と貸出記録が現物の前で完結すること。

スマホやハンディ端末で読み取れば、目的の備品の情報がすぐ開き、状態の更新や貸出の記録をその場で残せます。

数が数十点程度なら手書き番号でも十分ですが、拠点や部署が増えて棚卸に時間がかかっているなら、QR化を検討しましょう。

  1. 管理番号ラベルを作る:採番ルールに沿った番号を、ラベルシールやテプラで印刷する。
  2. 貼る位置を統一:本体の見やすい同じ位置(例:右下)に貼り、剥がれにくい素材を使う。
  3. QR化を検討:数が多い・棚卸を軽くしたいなら、番号をQR/バーコード化して現物に貼る。
  4. 台帳と照合:貼り終えたら、台帳の管理番号と現物ラベルが一致しているか確認する。

記入欄付きのラベル(点検日・使用者を書ける欄)にすると、棚卸時の確認漏れや重複確認を減らせます。

貸出・返却・購入・廃棄を記録する

「動かしたらその場で記録する」を徹底します。
後でまとめて入力するルールは、忙しい総務では必ず破綻します。

備品の状態が変わる場面は、貸出・返却・購入・廃棄の4つ。

それぞれで台帳を更新するルールを、フローとして固定します。

→ 表は横にスクロールできます

場面記録すること運用のコツ
貸出使用者・貸出日・返却予定日持ち出し=記録を必須に。返却期限を必ず設定
返却返却日・状態戻ってきたら状態を確認して台帳を更新
購入管理番号採番・取得日・金額承認→購入→登録をワンセットにする
廃棄廃棄日・理由台帳から除外し、資産なら経理へ連携

ここで効くのが「その場で・ついでに記録できるか」です。

紙やファイル配布だと記録が後回しになりがちなので、スマホからでも数タップで記録できる形にしておくと、更新が習慣になります。

ステップ④:定期棚卸で台帳と現物を一致させる

定期棚卸で台帳と現物を突き合わせ、差異を洗い出して更新する手順のイメージ図
図7:棚卸は台帳を基準に現物を照合し、差異を洗い出して台帳を正す作業。

棚卸は「台帳が正しい」と信頼できる状態を保つための健康診断。
年1回以上、決まったやり方で回します。

棚卸をしないと、台帳は少しずつ現実からずれ、やがて誰も信じない資料になります。

負担を抑えつつ確実に回す手順を決めておきましょう。

棚卸の頻度と手順

最低でも年1回、可能なら重要備品は半期ごと。
担当・期間・範囲を先に決めて、短期集中で終わらせます。

棚卸は範囲を区切って進めると負担が偏りません。

台帳を基準に現物を確認する方式が、抜け漏れを見つけやすくおすすめです。

  1. 計画を立てる:時期・担当・対象範囲(フロア/部署単位)を決める。
  2. 台帳を出力:確認用リスト(管理番号・品名・保管場所)を用意する。
  3. 現物を確認:ラベルを照合し、あり/なし/状態をチェックする。
  4. 差異を記録:台帳にあるのに無い・台帳に無いのにある物を洗い出す。
  5. 台帳を更新:差異の原因を確認して台帳を正し、次回への改善点をメモする。

棚卸の負担が重い職場ほど、一度に全部やろうとして毎回挫折しがち。

フロアや分類ごとに範囲を区切り、月ごとに少しずつ回す「循環棚卸」にすると、通常業務を止めずに年間を通して現物を確認できます。

重要度や金額の高い備品は頻度を上げ、安価な備品は年1回にとどめる、とメリハリをつけるのも有効。

大切なのは「完璧に数え上げること」より「台帳を信頼できる状態に保ち続けること」だと意識しましょう。

棚卸そのものの効率化は『棚卸をエクセルで効率化する方法』のページでも解説しています。

差異が出たときの対処

差異はゼロにはなりません。
大事なのは「なぜズレたか」を突き止め、記録の仕組みを直すことです。

台帳と現物が合わないときは、犯人探しではなく原因の特定を優先します。

多くは記録ルールの抜けが原因です。

  • 台帳にあるのに現物が無い:貸出記録の抜け、廃棄の未反映を確認する
  • 現物があるのに台帳に無い:購入時の登録漏れ。採番して追加する
  • 状態が食い違う:修理・故障の記録更新が漏れている

差異が見つかったら、その原因を台帳の備考や別のメモに簡単に残しておくと、次の棚卸のときに同じ問題を繰り返さずに済みます。

たとえば「貸出記録を忘れやすい部署がある」と分かれば、その部署の記録フローだけ簡素化する、といった具体的な改善につながります。

棚卸を『差異を数える作業』で終わらせず、『記録の仕組みを直す機会』として使うと、回を重ねるごとに台帳の精度が上がっていきます。

同じ差異が毎回同じ場所で出るなら、それは個人のミスではなく仕組みの穴です。
記録フロー自体を見直しましょう。

ステップ⑤:消耗品(在庫)の管理は3つの方式で回す

消耗品の在庫管理3方式(発注点方式・定期発注方式・ダブルビン法)の比較イメージ図
図8:消耗品は数量管理。発注点方式・定期発注方式・ダブルビン法から自社に合う方式を選ぶ。

消耗品は個体ではなく「数量」で管理しましょう。
切らさず・持ちすぎない状態を、発注ルールで自動的に保つのがゴールです。

コピー用紙やインク、文具のような消耗品は、備品台帳とは別に「在庫表」で数量管理しましょう。

発注のタイミングを人の勘に任せず、次の3つの方式のどれかでルール化すると、在庫切れも過剰在庫も防げます。

3方式に共通する考え方は、「切らすと困る量(安全在庫)」と「発注してから届くまでの日数」の2つを先に把握すること。

この2つが分かれば、いつ・いくつ発注すればよいかが機械的に決まり、担当者の記憶や勘に頼らずに済みます。

すべての消耗品を厳密に管理する必要はなく、切らすと業務が止まる定番品から適用し、うまく回り始めたら対象を広げていくのが現実的です。

発注点方式(定量発注)(手軽さ ★★☆ / 精度 ○)

在庫が決めた数(発注点)まで減ったら、毎回決まった量を発注する方式。
使う量が読みにくい消耗品に向きます。

発注点方式は「残りが◯個になったら△個買う」という単純なルールで回す方法です。

誰が見ても発注のタイミングが分かるため、担当者が変わっても運用が崩れにくいのが利点です。

発注点は『調達にかかる日数 × 1日あたりの平均使用量』に、切らすと困る度合いに応じた安全在庫を足して決めます。

コピー用紙やインク、電池のように「なくなると業務が止まる」定番消耗品と相性がよい方式です。

  1. 品目ごとに1日あたりの平均使用量と、発注してから届くまでの日数を調べる
  2. 発注点=平均使用量×調達日数+安全在庫(切らすと困る分)を計算する
  3. 棚やボックスに「ここまで減ったら発注」の線・カードを付ける
  4. 発注点に達したら、あらかじめ決めた発注量をそのまま発注する
  • コツ:発注点は棚に物理的な線を引く/記入欄付きラベルを貼ると、専門知識がなくても気づけます。
  • 相性がいいのは、使用量が月によってばらつき、在庫切れが業務に直結する定番消耗品。

定期発注方式(手軽さ ★★☆ / 精度 ◎)

「毎週金曜」など発注日を固定し、その時点の在庫を見て不足分だけ補充する方式。
多品目をまとめて回すのに向きます。

定期発注方式は、発注のタイミングをカレンダーで固定してしまう方法。

決まった曜日に棚を見て、基準の在庫数まで足りない分を発注します。

発注日が決まっているので「気づいたら切れていた」を防ぎやすく、複数の品目を同じ発注書でまとめて頼めるため事務負担も軽くなります。

一方で、発注間隔の分だけ多めに安全在庫を持つ必要があるため、保管スペースとのバランスを見て基準数を決めましょう。

  1. 発注のサイクル(毎週・隔週・毎月など)と担当・曜日を固定する
  2. 品目ごとに『次の発注日まで持たせたい基準在庫数』を決める
  3. 発注日に在庫を数え、基準数に足りない分を算出する
  4. 不足分をまとめて発注し、台帳に発注日・数量を記録する
  • コツ:発注日を定例会議やカレンダーの繰り返し予定に紐づけると、担当者が忙しくても抜け漏れ防止に。
  • 相性がいいのは、文具・衛生用品など品目数が多く、まとめて発注したいオフィス消耗品全般。

ダブルビン法(二棚法)(手軽さ ★★★ / 精度 ○)

同じ消耗品を2つの箱に分け、片方が空になったら発注する方式。
計算いらずで最も手軽に始められます。

ダブルビン法は、同じ品目を2つのビン(箱・引き出し)に分けて置き、片方を使い切ったタイミングで1箱分を発注する方法です。

数を数えなくても「箱が空いた=発注のサイン」になるため、エクセルの計算も細かい記録もいりません。

補充が届くまで2つ目の箱でまかなえる量を1箱分に設定しておくのがコツです。

まず一部の品目でこの方式を試し、うまく回ったら対象を広げると、備品管理の入口としてつまずきにくくなります。

  1. 対象の消耗品を2つの箱に同量ずつ分けて置く
  2. 1箱分が『発注してから届くまでに使い切らない量』になるよう調整する
  3. 1つ目の箱が空になったら、その場で1箱分を発注する
  4. 届いた分を空いた箱に補充し、常に2箱をキープする
  • コツ:箱の底に発注用のカード(品名・数量・発注先)を入れておくと、空にした人がそのまま発注できます。
  • 効果的なのは、計算やエクセル運用が負担な小さな職場、まず1品目から試したいとき。

エクセル管理の限界|専用ツールへ移行する目安

図9:個人のエクセル運用が限界に来たら、担当と期限つきでチームに見える化する仕組みへ。

エクセル台帳は、少人数・少数の備品なら十分。
しかし、人と物が増えると“更新と共有”で行き詰まりがちです。

エクセルでの備品管理ははじめの一歩としては現実的ですが、チーム規模が大きくなると運用が難しくなります。

切り替えの目安を知っておくと、判断を先送りせずに済みます。

エクセル備品管理が破綻する境界

備品が数十点を超える・管理者が複数になる・拠点が分かれると、エクセル運用は急に難しくなります。

エクセルでの備品管理は、次のような状況になると更新と共有の運用コストが跳ね上がります。

心当たりが増えてきたら、専用ツールへの移行を検討しましょう。

  • 同時編集で壊れる:複数人が触ると競合し、「最新版どれ?」問題が起きる
  • 更新が追いつかない:貸出・返却・棚卸の記録が後回しになり現実とずれる
  • 通知がない:返却期限・点検時期・在庫切れに誰も気づけない
  • 属人化する:複雑な関数を触れるのが作成者だけになる

こうした「エクセル運用が限界を迎える」局面は、備品管理に限らず多くの間接業務で共通です。

移行の考え方は『脱エクセルの進め方』のページも参考になります。

個人管理からチームで“見える化”する仕組みへ

鍵は「担当者の頭の中」にある情報を、チーム全員がいつでも見られる状態にすること。
これが属人化を解く出発点です。

備品管理が属人化するのは、運用を個人のファイルや記憶に頼っているから。

エクセルでの運用に限界を感じたら、チームでの共有・更新がしやすい専用ツールへの移行を検討しましょう。

移行の際に無理なく進めるコツは、いきなり全社・全備品を新しい仕組みに載せ替えようとしないこと。

まずは1部署・1カテゴリなど範囲を絞って試し、記録が続く感覚をチームでつかんでから対象を広げると、定着しやすくなります。

既存のエクセル台帳もすぐ捨てる必要はなく、当面は並行して使いながら、棚卸や発注といった“動きのある業務”からチーム管理に移していくと、現場の負担を抑えて切り替えられます。

備品管理の“やること”をチームで回すなら『スーツアップ』

私たちが開発・運営するスーツアップは、エクセルのような操作で、チームの「やることの見える化」をして、抜け漏れや期限遅れを防ぐチームのタスク管理ツールです。

棚卸・点検・発注・返却対応といった備品管理の“やること”を、担当と期限をつけてチーム全員に見える形で配れます。
・表計算ソフトのような操作で、担当者以外もすぐ使える
・自動の期限通知で、点検・返却・発注の抜け漏れを防ぐ
・定型タスクやAIのサポートで、毎月の棚卸・発注の段取りを仕組み化

「担当者の頑張り」ではなく「続く仕組み」で備品管理を回したいチームに向いています。

※ スーツアップは在庫・備品の物品管理システムそのものではなく、「点検・棚卸・発注・貸出対応などの“やること”を、担当と期限つきでチームに配って抜け漏れなく回す」ためのチームのタスク管理ツールです。 無料トライアルあり(最新の料金・機能は公式サイトでご確認ください)

よくある質問(FAQ)

総務の備品管理でよく寄せられる疑問を、実務の判断に使える粒度でまとめました。

自社のルールを決めるときの参考にしてください。

備品と消耗品は何を基準に分ければいいですか?

一般に、取得価額が10万円以上または使用可能期間が1年以上のものは備品(固定資産に近い)、それ未満で使い切るものは消耗品として扱います。備品は1点ずつ個体管理、消耗品は数量で在庫管理する、と分けると実務が整理できます。実際の会計処理は自社の経理方針や特例(中小企業の少額減価償却資産など)により異なるため、経理と基準をそろえておくと安心です。

備品管理台帳に最低限入れるべき項目は?

管理番号・品名(型番)・分類・保管場所・使用者/管理部署・取得日・取得価額・状態が基本です。加えて、自社/リースの所有区分や貸出状況を残せる備考列があると運用が回ります。列は多いほど良いわけではなく、更新が続く範囲に絞るのがコツです。本記事で無料のエクセルテンプレートを配布しています。

管理番号(採番)はどう決めればいいですか?

「分類コード+連番」が基本です(例:PC-001、FN-012)。必要なら保管場所コードを足して「1F-PC-001」とする方法もあります。連番の桁数は将来の増加を見込んで3桁以上にし、一度決めたルールは途中で変えないことが、探しやすさを保つ鍵です。

棚卸はどのくらいの頻度で行うべきですか?

最低でも年に1回は実施し、重要度の高い備品は半期ごとなど頻度を上げると安心です。台帳を基準に現物を照合する方式が抜け漏れを見つけやすく、QRコードのスマホ読み取りを使うと大幅に時間を短縮できます。差異が出たら原因を特定し、記録ルール自体を直すことが再発防止になります。

消耗品が毎回ギリギリで切れてしまいます。どうすれば?

発注のタイミングを人の勘に任せているのが原因です。「残りが◯個になったら発注する」発注点方式、「毎週◯曜に不足分を発注する」定期発注方式、「2箱に分け片方が空いたら発注する」ダブルビン法のいずれかでルール化すると、在庫切れを防げます。まずは切らすと困る定番品から適用しましょう。

エクセルでの備品管理は、いつまで続けて大丈夫ですか?

少人数で備品数が少なく、自分一人で更新できるうちはエクセルで十分です。備品が数十点を超える、管理者が複数になる、拠点が分かれる、返却期限や在庫切れの通知が欲しい、といった状況になったら、同時編集や自動通知に対応した仕組みへの切り替えを検討する目安です。

備品管理を担当者に依存せず回すには?

ルールと台帳を「担当者の頭の中」から取り出し、チーム全員が見られる状態にすることです。採番・記録・棚卸・発注の手順を文章化し、点検や発注などの“やること”を担当と期限つきで共有すれば、担当者が休んでも運用が止まりません。タスクの見える化に特化したツールを使うと、この共有を無理なく続けられます。

まとめ:備品管理は「作る」より「続く仕組み」にする

総務の備品管理は、洗い出し→ルール決め→台帳作成→ラベリングと運用→棚卸の5ステップで組み立て、消耗品は数量で発注ルールを回すのが基本。

どのステップも、一度に完璧を目指すより、小さく始めて運用しながら育てる方が確実に定着します。

最後にチェックリストで振り返りましょう。

備品管理の仕組み化チェックリスト
  • 備品と消耗品を分け、管理範囲を欲張らず決めた
  • 採番・責任者・購入/廃棄/貸出のルールを文章化した
  • 必要な項目をそろえた備品管理台帳(テンプレ)を用意した
  • 現物にラベルを貼り、台帳と1対1でひも付けた
  • 貸出・返却・購入・廃棄を“その場で”記録する運用にした
  • 年1回以上の棚卸で台帳と現物を合わせている
  • 消耗品は発注点/定期発注/ダブルビンのいずれかで回している
  • 人と物が増えたら、チームで見える化する仕組みへの移行を検討

覚えておきたいのは、備品管理のゴールは「完璧な台帳を作ること」ではなく「所在・数量・状態が、誰にでも常に分かる状態を保ち続けること」だという点です。

個人のエクセルで始め、チームで回す段階になったら見える化に特化した仕組みへ——役割を引き継ぐ発想で、無理なく続く備品管理を目指しましょう。

参考文献・出典

チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

2025年5月に、『1+1が10になる組織のつくりかた チームのタスク管理による生産性向上』を出版。

目次