職務権限規程のサンプル【条文例つき】作り方と書き換え方を解説

職務権限規程を作るときに迷いやすいのは、誰にどこまでの権限を持たせ、どのような条文にすればよいかという点です。
この記事では、従業員数十名規模の中小企業を想定した全文サンプルを先に示し、そのあとに作り方や他の規程との違いを整理します。
職務権限規程とは、社長・部長・課長などの職位ごとに、担う職務・権限・責任の範囲を定めた社内規程です。この記事では、中小企業がそのまま書き換えて使える条文例(サンプル)全文と、作り方・他の規程との違いをまとめています。
【サンプル】職務権限規程のテンプレート(全文)
以下は、従業員数十名規模の中小企業(職位は社長・部長・課長の3層)を想定した職務権限規程の全文例です。社名・職位名・部門名を自社に合わせて書き換えれば、そのまま使えます。

第1章 総則(目的・用語の定義)
第1条(目的)この規程は、当社の業務執行に関する各職位の職務、責任および権限を明確にし、業務の組織的かつ能率的な運営を図ることを目的とする。
第2条(用語の定義)この規程における用語の定義は、次のとおりとする。
- 職位とは、組織上の地位をいい、本規程では社長・部長・課長をいう。
- 職務とは、各職位が組織上担当すべき業務をいう。
- 責任とは、各職位が担当する職務を遂行し、その結果について負うべき義務をいう。
- 権限とは、責任を遂行するために与えられた命令・決定・承認その他の行為を行う権能をいう。
作成のポイント:第2条の職位名は、自社の組織に合わせて置き換えます。役員や主任などの職位を置いている場合は、実際の組織図と一致させてください。
第2章 責任および権限(権限の形態・代行・委任)
第3条(職位の責任・権限)各職位には、明確な責任の範囲及びその責任遂行に必要な権限が与えられる。
第4条(権限の形態)主な権限の形態は、次のとおりとする。
- 命令とは、所管する業務について、下位の職位または担当者に具体的な行動を指示することをいう。
- 決定とは、自己の権限の範囲内で、業務上の方針または処理方法を最終的に定めることをいう。
- 承認とは、他の職位または担当者が起案した事項について、その内容を認め実施を許可することをいう。
第5条(権限行使の基準)各職位は、法令、定款、社内規程および上位職位の方針に従い、別表に定める範囲内で権限を行使しなければならない。
第6条(権限の行使者)権限は、原則として当該職務を処理する職位にある者が自ら行使する。
第7条(権限の代行)権限を行使すべき者が出張、休職その他の理由により権限を行使できない場合は、直属の上級職位がこれを代行する。代行者は、必要に応じて権限者へ処理内容を報告する。
第8条(権限の委任)職務の一部を他の者に委任する場合は、その遂行に必要な権限を併せて委任する。受任者は、委任された職務の処理結果を委任者に報告しなければならない。
作成のポイント:命令・決定・承認の名称は、自社で実際に使っている用語にそろえます。代行や委任の順序も、実際の職位構成に合わせて調整してください。
第3章 基本職務と別表(職務権限表)
第9条(社長の職務)社長は、会社の業務を統括し、経営上の重要事項を決定するとともに、各部門の業務執行を指揮監督する。
第10条(部長の職務)部長は、社長の方針に基づいて所管部門を統括し、部門の業務計画を立案するとともに、所管業務の遂行について責任を負う。
第11条(課長の職務)課長は、部長の指示に基づいて担当課の業務を管理し、日常業務の遂行および所属社員の指導について責任を負う。
第12条(職務権限表)各職位が行使できる権限の範囲は、別表の職務権限表に定める。
第13条(規程の改廃)本規程の変更・廃止は、当社の定款および決裁ルールに従い、必要な承認を得て行う。
附則 本規程は、所定の施行日から施行する。
作成のポイント:社長・部長・課長の3層を想定した例です。職位が2層の場合は不要な条文を削り、4層以上の場合は実際の責任範囲に合わせて条文を追加します。
別表は、権限事項と職位を対応させると確認しやすくなります。
| 権限事項 | 課長 | 部長 | 社長 |
|---|---|---|---|
| 日常業務の処理 | 決裁 | 監督 | 報告を受ける |
| 部門方針の決定 | 起案 | 決裁 | 報告を受ける |
| 経営上の重要事項 | 起案補助 | 起案 | 決裁 |
| 金額基準を伴う契約・発注 | 自社基準に従う | 自社基準に従う | 自社基準に従う |
各条の作成ポイントと書き換え方
- 第1条:目的は大きく変えず、自社で重視する「責任と権限の明確化」「業務運営」の表現に合わせます。
- 第2条:社長・部長・課長を、自社で実際に使っている職位名へ置き換えます。
- 第3条から第6条:権限の形態や行使方法は、自社で使う命令・決定・承認などの用語とそろえます。
- 第7条・第8条:代行・委任を認める範囲と報告方法を、既存の決裁ルールに合わせます。
- 第9条から第11条:職位名と部門構成を実際の組織図に合わせ、責任範囲が重ならないようにします。
- 第12条:権限の明細は別表にまとめ、組織変更時に見直しやすい形にします。
- 第13条・附則:改廃の決裁者と施行日は、自社の定款・関連規程を確認して決めます。
職務権限は職位ごとに定めるため、一般職など別の職位を設けている場合は、その職位の責任と権限も別表に追加してください。
規程を作ったあとの運用の仕組み化はこちらで解説しています。
職務権限規程の作り方
職務権限規程は、現状の業務を整理したうえで、権限と責任を決め、文書化する流れで作成します。
作成後の周知や更新まで含め、次の6ステップで進めます。
現状の業務フローと職務分掌を洗い出す
まずは、現状把握からスタートです。
組織内の全体像を把握し、どのような業務がどの部門や担当者によって進められているのかを把握します。
組織図を作成することによって、職務内容や重要度が見えてきますよ。
権限の範囲と責任を明確にする
次に、各従業員がどのような権限を持ち、どこまで責任を負うのかを明示します。
決定権や報告義務などを職務ごとに明確に定め、職務記述書に落とし込んでいきましょう。
労働法規に違反していないか確認する
職務規程は、必ず法令に準拠している必要があります。
労働基準法やその他関連法規との整合性を確認し、法的リスクを最小限に抑えましょう。
社内のコンプライアンス担当者や法務部と連携しながら内容を精査してください。
文書化する
規程の内容を分かりやすく明確な言葉で文書化します。
誰が読んでも理解できる表現を心がけましょう。
組織内のドキュメントテンプレートに沿って、一貫性のある内容にまとめてください。
関係者に周知する
作成した規程は、全関係者に周知することが必要です。
説明会や研修会を開催して、規程の目的や重要性を伝えることも効果的ですよ。
イントラネット(内部ネットワーク)で、公開して常に確認できる環境を整えましょう。
適宜更新する
市場環境や技術の進展、法改正などに対応するため、定期的な見直しの仕組みを構築します。
組織の変化に合わせて内容を更新し、規程と実際の業務がずれない状態を保ってください。
見直しの時期と担当部門をあらかじめ決めておくと、更新漏れを防ぎやすくなります。
別表(職務権限表)の作り方
別表は、縦軸に権限事項、横軸に課長・部長・社長などの職位を並べ、誰が起案・承認・決裁するのかを整理します。
契約、発注・支出、人事、重要文書、新規事項などから自社で必要な項目を選び、運用できる数に絞ると管理しやすくなります。
金額基準を設ける場合は、「一定額未満は部長決裁、一定額以上は社長決裁」のように区切り方を決め、具体的な金額は取引規模や既存の決裁ルールに合わせて設定します。
誰が承認するか(施行と改定のルール)
規程を正式に施行・改定する際の決裁者は、会社の機関設計や既存の決裁ルールに合わせて決めます。
社長決裁とする例もありますが、取締役会の決議が必要かどうかは、自社の定款や関連規程を確認したうえで条文に明記してください。
規程で決めた承認や周知の流れを、紙やメールで回すと漏れが起きます。稟議・承認のワークフローを仕組み化するなら、スーツアップを無料で試すことができます。
このサンプルは自社に使える?(業種・規模別の判断)
検索結果には、民間企業向けだけでなく、自治体や介護事業所の職務権限規程も見つかります。
この記事のサンプルは民間の中小企業を想定しているため、制度上の要件がある組織では、用語や承認ルールをそのまま流用せず読み替える必要があります。
民間企業と自治体・介護事業所の規程の違い
民間企業では社内の意思決定ルールに合わせて権限を設計しますが、自治体では条例や訓令など、組織固有のルールに基づく用語が使われます。
介護事業所では指定申請などで責任体制に関する書類が求められる場合があるため、必要書類や記載内容は申請先の手引きを確認してください。
自社に合わない場合の確認ポイント
サンプルが自社に合わない場合は、次の3点から見直します。
- 職位の層数:社長・部長・課長の3層と、自社の役職構成が合っているか確認する。
- 部門構成:サンプルの部門名ではなく、自社の実際の組織図に合わせる。
- 権限事項の粒度:細かすぎて運用しにくい場合は、日常業務と重要事項を分けるなど整理する。
目的、用語の定義、代行・委任の基本的な骨格は残し、実際の組織とずれる部分だけを調整すると作り直しを減らせます。
職務権限規程と他の規程との違い
職務権限規程には似た名称の規程が多く、目的を整理しないまま作ると内容が重複しやすくなります。職務権限規程を策定する目的は、職位ごとの職務と権限を明確にし、組織内の役割分担や内部管理を整理することです。
決裁権限規程・稟議規程との違い
職務権限規程は職位ごとの権限と責任の全体像を定めるのに対し、決裁権限規程は決裁基準、稟議規程は上申や回付の手続きを定めます。
| 項目 | 職務権限規程 | 決裁権限規程 | 稟議規程 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 職位ごとの権限と責任を明確にする | 案件ごとの決裁者を明確にする | 稟議の申請・回付・承認手続きを統一する |
| 定めるもの | 職務・責任・権限の原則 | 金額や案件区分などの決裁基準 | 稟議書の作成方法や承認経路 |
| 対象 | 職位と担当業務 | 決裁が必要な案件 | 通常の権限を超えて上申する案件など |
金額基準を細かく設計する場合は、決裁権限規程や別表で整理し、この記事では各規程の役割の違いまで押さえておきましょう。
就業規則との違い
混合されがちな就業規則と職務規程ですが、目的と内容に明確な違いがあります。
| 項目 | 就業規則 | 職務規程 |
|---|---|---|
| 目的 | 労働条件や職場の基本ルールを定める | 職務ごとの権限・責任・業務内容を明確にする |
| 内容 | 就業時間・休暇・給与・福利厚生・安全衛生など | 部署やポジションごとの具体的な業務・責任 |
| 対象 | 全社員 | 特定の職務・ポジション |
| 法的義務 | 労働基準法により周知義務あり | 法的義務はないが、組織運営上重要 |
就業規則は、労働条件や職場の基本ルールを規定し、すべての社員に共通する事項を取り扱うものです。
労働基準法に基づき、社員への周知が義務づけられている就業時間・休暇・給与・福利厚生・安全衛生などを含みます。
一方、職務規程は、特定の職務やポジションごとの権限や責任、業務内容について細かく定めたものです。

各部署ごとの業務範囲や個々の社員の役割を明確化することで、組織の効率的な運営を実現できますよ。
就業規則と職務規程は、それぞれ役割が異なり、どちらも組織運営に欠かせません。
社員それぞれが職場のルールを守りつつ、自分の担当業務を理解し、責任を持って職務を遂行することが重要です。
職務分掌規程との違い
職務分掌規程は、組織内での「業務分担」を明文化した規程で、誰がどの業務を担当し、どの部門がどの機能を担うかを定めたものです。
これに対し、職務権限規程は「誰がどのような権限を持つか(承認・決裁など)」を明記した文書であり、職務分掌規程とはセットで整備されることが一般的です。
両者を明確に区別して整備することで、業務の重複や責任の不明確化を防ぎ、組織の統制と効率性が向上します。
職務権限規程が必要とされる場面
職務権限規程が必要になる場面は、大きく分けて社内の責任・意思決定を整理するときと、監査・内部統制・各種申請への対応が必要なときです。
責任の所在と意思決定を明確にするため
責任の所在や決裁者が曖昧だと、トラブル時の対応が遅れ、日常業務でも確認のたびに判断が止まりやすくなります。職務権限規程で「誰が責任を持つか」「誰が決められるか」を明確にしておけば、クレーム対応など緊急時でも担当者と決裁者を確認しやすくなります。
監査・内部統制・申請で求められる場面
外部向けに責任体制の説明が必要になる場面として、次のような例があります。
- 許認可や指定申請で、組織体制や責任者の権限を示す資料が必要になる場合
- 助成金・補助金などの審査で、組織の管理体制を確認される場合
- 取引先のコンプライアンス審査で、責任体制の説明を求められる場合
- 監査・J-SOX・ISOなどへの対応で、責任と権限を文書化する場合
必要な書類や提出方法は審査・申請ごとに異なるため、実際の要件を確認してから整備してください。
規程の整備とあわせて組織力を強化する方法も参考になります。
職務権限規程に関するよくある質問
最後に、職務権限規程について、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
職務権限規程の作成は義務?
職務権限規程の作成自体は、すべての企業に法律で義務付けられているわけではありません。
ただし、内部統制やコンプライアンス体制を整える観点から、上場企業や大企業では実質的に必須とされています。
また、J-SOX(金融商品取引法)の対応や、ISOなどの認証取得を目指す企業では、明文化が求められることも多くあります。
職務権限で起こり得る課題は?
職務権限の設定が不明確であったり曖昧だったりすると、業務上の責任の所在が不明になり、トラブルやミスの際に迅速な対応ができません。
また、権限が集中しすぎると不正の温床となる可能性があり、逆に分散しすぎると意思決定が遅れる原因になります。
さらに、職務権限の内容が現場実態と乖離している場合、従業員が混乱し業務効率が低下するリスクもあります。
まとめ
職務権限規程は、職位ごとの権限と責任を明確にし、誰が何を判断するのかを組織内で共有するための規程です。
- まずは全文サンプルの職位名・部門名を自社に合わせて置き換える。
- 別表で、業務ごとの起案・承認・決裁の担当を整理する。
- 施行・改定の承認ルールを決め、関係者へ周知したうえで運用する。
最初から細部まで作り込むより、サンプルをたたき台にして実際の運用と合わない部分を更新していく方が進めやすくなります。
規程を整えたら、次は稟議や承認の流れを仕組み化する番です。
チームでのタスク管理の仕組み化で困ったときは、スーツアップがおすすめです。
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

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見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

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