チームのためのタスク管理と正しいタスク管理の方法

チームのためのタスク管理と正しいタスク管理の方法

 

投稿日:2023年12月28日 / 更新日:2024年2月3日

 

株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなど(以下まとめて「中小企業等」といいます。)の労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。全社タスク管理とは、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、個人・部署・経営に至るまで会社全体のタスクを「見える化」し管理する経営管理手法です。本稿では、改めて何のためにタスク管理を行うのかを考え、続けてタスク管理の方法について記載をしたいと考えています。

経営支援クラウド「Suit UP」α版のサービス開始のお知らせ

 

【まとめ】

  • タスク管理のポイントは、まずは、個人で担当となっているタスクは、所属する会社や、部下・上司、取引先やお客様などの他人から影響を受けることを理解すること。
  • タスク管理で大事なことは、タスクそのものを管理するだけではなく、自分と他人との関係を踏まえてタスク管理をすること。
  • タスク管理は、直接的には自分のタスクの期限の遵守や業務の効率化のためだが、最終的にはお客様のため、一緒に働く仲間のため、チーム・会社のためにしている。
  • タスクそのものに関連する管理項目を増やしても、タスク管理ができるようにはならない。
  • タスク管理では、特に難しいことができる必要はなく、組織全体で、会社が定めたルールを守る、期限を守るなど当たり前のことを当たり前にできる組織力が重要。

 

1.チームのためのタスク管理

 

私たちは学校を卒業して会社に就職して社会人になると「仕事をする」ことになりますが、多くのビジネスパーソンは、学校でも職場でも「仕事の進め方」について、一度も教えてもらったことはないのではないかと思います。

教育熱心な大企業であれば研修が充実していたり先輩が手取り足取り「仕事の進め方」までも教えたりしてくれるかもしれません。しかし、中小企業等では、多くの会社が「OJT」(On the Job Trainingの略語、実務を通して知識やスキルを身につける人材育成方法)を掲げているものの、実際はただ単に教育制度を用意していないだけの会社ばかりで「仕事の進め方」を教えてくれる会社などないのではないかと思います。

私は約20年近く中小企業等の経営の仕事をしてまいりました。業種業態、社歴に事業規模と様々な会社の経営に携わらせていただきましたが、ずっと同じ会社にいるビジネスパーソンからすると信じられないかもしれませんが、沢山の会社を見ると職人技のように抽象度高く、経営戦略、組織、仕事の仕方や「仕事の進め方」について捉えることができるようになります。そして、この「仕事の進め方」の一つが今回のテーマのタスク管理です。

タスク管理は、スタッフ各々が勝手にしている会社もあれば、一部の部署の管理職やプロジェクトの責任者がしっかりしていて組織的にタスク管理を導入・運用していたり、会社のトップである社長自らが旗振りをして全社的にタスク管理を導入・運用していたりする会社もあります。このような記載をすると、タスク管理は三者三様のように思われるかもしれませんが、私の経験では、どの会社も同じような論点で悩みを抱えているように思います。

そもそもタスク管理とは何でしょうか。一般的には、タスク管理とは個人が抱える小さな作業や課題、いわゆるタスクを管理することを言います。しかし、タスク管理を必要とするビジネスパーソンは、多くは会社や組織に所属していて、個人だけで完結、解決することができないタスクを抱えている人ばかりです。そのため、私はタスク管理のポイントは、まずは、個人で担当となっていて管理したいと思うタスクは、所属する会社や、部下・上司、取引先やお客様などの他人から影響を受けることを理解することなのではないかと考えています。

タスク管理は、突き詰めていけば、自分が実行しなければならないタスクの内容把握と、そのタスクの期限の管理です。しかし、この本来は管理項目も少なく簡単なはずのタスク管理を難しくしているのは、複数のタスクがある時に優先順位をどうするのかということと、前述のとおり、タスクは所属する会社や、部下・上司、取引先やお客様などの他人から影響を受けることの2つが原因だと思います。

そのため、タスク管理を上手に行うには、会社の中で自分の置かれている状況や自分を取り巻く他人の状況をしっかりと把握していなければなりません。タスク管理でよく見られる間違いですが、プロジェクト・タスク管理ツールなどによくある、タスクそのものに関連する管理項目を増やしたところでタスク管理ができるようになるわけではないのです。私からすれば、例えばタスクの実行時期を細かく定めてガントチャートにしたからといって、タスク管理がしっかりできるようになることなどあり得ません。

タスク管理で大事なことは、タスクそのものを管理するだけではなく、自分と他人との関係を踏まえてタスク管理をすることだと思います。タスク管理が下手な人は、自分だけの世界に閉じこもってしまっている人が多い印象です。組織の中でタスク管理を行うためには、タスクに関する情報を、社内外から情報収集しなければなりません。具体的には顧客との打ち合わせ、定例会議やビジネスチャットツール上での社内でのやりとりを通じて、これらの情報をアップデートしていかなければならないのです。

SNSなどを見ていると、個人の観点・視点だけでタスク管理をしようとしている方がいるようですが、多くのビジネスパーソンは会社に所属して他人との関係性の中で毎日タスクを実行していると思います。そのため、タスク管理は何のために実施しているのかというと、それは、直接的にはもちろん自分のタスクの期限の遵守や業務の効率化のためではあるのですが、最終的にはタスク管理は、お客様のため、一緒に働く仲間のため、チーム・会社のためにしているということを意識しなければならないと思います。

私たちが推奨する全社タスク管理は、一般的に捉えられているこの個人をベースとしたタスク管理を会社組織で考えようというものです。むしろ、ビジネスパーソンの大半の人は、個人で山にこもって芸術作品の制作をしているわけではありませんから、この全社タスク管理のように会社組織をベースにタスク管理を考える方が理に適っているのではないかと思います。

全社タスク管理では、個人、部署・プロジェクト、経営などの単位で全社的にタスク管理を行うのですが、優良企業になればなるほど、タスク管理など「仕事の進め方」については全社的に標準化・マニュアル化、場合によっては個別の会社に最適化されたシステム構築までされています。優良企業が「仕事の進め方」に力を入れるのは、チームで仕事を進めていく上で、仕事が一定レベルの品質でしっかりと期限までに実行されていることが重要だからです。

なお、プロジェクト管理という言葉もありますが、プロジェクトは、会社と比較して、一般的に、人数規模が小さいこと、スタッフの所属組織が様々であるなど構成メンバーに柔軟性があること、また、会社と違い事業の継続を前提としていない期間限定であることなどが挙げられます。

 

2.タスク管理の方法

 

私は、講演会などでもご説明をさせていただくのですが、良い会社とは何かというと組織力がある会社だと考えています。この組織力とは、特に難しいことができるということではなく、組織全体で、会社が定めたルールを守る、期限を守るなど当たり前のことを当たり前にできる、組織的に「凡事徹底」ができる力のことを言います。

タスク管理には、まさにこの組織力が求められていると思います。個人でのタスク管理であれば、チームのために、自分が実行しなければならないタスクの内容把握と期限の管理をすることになります。また、私たちが推奨する全社タスク管理であれば、個人、部署・プロジェクトなどの単位でタスクを設定し、そのタスクの担当者と期限を決めて、担当者が期限までにそのタスクを実行することになります。これらは決して難しいことではなく、一つひとつを丁寧に設定し実行していくことが求められるだけです。

このようにタスク管理は決して難しいことではありませんが、改めて具体的な方法を記載すると、以下のように3つに分けられるのではないかと思います。

 

目次

(1)個別のタスクの把握

 

まずは個人として、組織や他人から求められている個別のタスクの内容把握をしなければなりません。前述のとおり、そもそもタスク管理を必要とする多くの場合は、個人だけで完結していることは少なく、組織や他人との関係性を意識してタスク設定をする必要があると思います。

ここで、そもそも行うべきタスクの認識がズレてしまうと、その後のタスク管理自体が意味をなさなくなってしまうため、くれぐれもミスがないようにしなければなりません。また、タスクの内容が曖昧模糊な場合、実行に移すことができないため、タスクの内容を明確にする必要があります。

実務上では、部署の同僚や上司などと相談しながらタスクの把握をすることが一般的だと思います。Suit UPにおいては、部署やプロジェクトごとでの定例会議の実施と、その場でのタスク設定を推奨しています。

 

(2)複数のタスクの優先順位の設定

 

次に個別のタスクを複数個全て網羅して整理した後、これら複数あるタスクの実行にあたって優先順位を設定する必要があります。

ビジネスパーソンの多くがタスク管理を必要とする理由は、日々の業務の中で複数個のタスクを抱え続けているからだと思います。前項のとおり、個別のタスクの把握をしていくことを繰り返すと、複数のタスクを把握することができます。

タスク管理では、自分が抱えているこの複数のタスクを全て把握して、網羅して整理することが重要になります。これは抱えているタスクの実行にあたって優先順位を設定する必要があるからです。なお、マルチタスクという言葉がありますが、実際には人は複数のタスクを同時に実行することはできず、優先順位をつけて素早く処理しているに過ぎません。

タスクの優先順位は、そのタスクの重要性や期限などから総合的に判断してつけていくことになりますが、これは個人の好き嫌いで優先順位をつけるのではなく、組織や他人との関係性から影響を受けることになります。例えば、タスクの「依存関係」のように、Aタスクを開始するためにはBタスクの終了が必要となるタスク間同士の関係がある場合に、もし自分がAタスクの担当であれば、Bタスクの担当との連携は不可欠だと思います。

もちろん個人の裁量の中で複数のタスクの優先順位を決められる場合もあると思いますが、このように多くの場合は、他人との連携が求められると思います。そのためには、正しく状況把握をする必要があり、組織内での緊密なコミュニケーションが重要になります。

 

(3)タスクを実行して、タスクを更新する

 

最後に、前項の優先順位に従って、一つずつ個別のタスクの実行をしていきます。スムーズにタスクが完了・終了していけばいいのですが、繰り返しになりますが、多くの場合はビジネスパーソンは他人との関係性の中でタスクを実行しています。そのため、場合によっては、自分の都合とは関係なく、他人の影響で期限を超過してしまうなどのこともあると思います。その場合は、タスクの更新が必要になります。

タスクの更新は、設定した個別のタスクが完了・終了する、状況の変化によって設定した個別のタスクを変更する、新たな個別のタスクを追加する、複数のタスクで考えた場合に優先順位を変更するなどが挙げられます。

以上のように、(1)~(3)を繰り返すことによって、タスク管理が実現できるわけですが、これらは一つひとつを考えてみれば決して難しいことではありません。「凡事徹底」して着実にこのタスク管理を継続できるかどうかの方が難しいと思います。

また、本稿で繰り返し記載をしていますが、タスク管理は決して個人で閉ざしたものではなく、組織や他人との関係性を考慮しなければ、実現できるものではありません。そもそもタスク管理は組織や他人の影響を受けるものだと捉えなければ、自分の思い通りにタスク管理ができずにストレスが溜まるばかりではないかと思います。

 

(4)タスク管理のTIPS

 

最後に、タスク管理のTIPSを3つご紹介したいと思います。タスク管理の方法は、インターネットで検索していただくと情報があふれています。人生100年時代となって社会人生活も長くなることが予想されていますので、若い時分から自分に最適な「仕事の進め方」、タスク管理の方法を確立すると良いのではないかと思います。

 

① タスクに関する管理項目を増やしすぎない

 

スーツアップのシステム開発でも気をつけていますが、タスクに関する管理項目を増やしすぎないことが大事です。

前述のとおり、そもそもタスク管理は組織や他人からの影響を受けるものですから、その外部との関係性を管理しようと思えば、タスクに関する管理項目は増えるばかりです。例えば、タスクの期限だけではなくそのタスクの実行に着手する始期、タスクの進捗状況、タスクの内容や実行方法の詳細などです。

タスク管理はタスクの実行のための管理であって、くれぐれも管理そのものが重いタスクになってしまっては本末転倒と言わざるを得ません。

 

② タスク管理になるべく時間を使わない(速やかに終了できるタスクは終了させる)

 

タスク管理が本来の目的ではありませんから、管理対象となる個別のタスクは少なければ少ないほど良いことは言うまでもありません。そのためには、速やかに終了できるタスクは終了させることが大事です。

長いもので私も20年超の社会人経験となりましたが、一般的に仕事ができると評価される人は、時間をかけずに自分だけで出来るタスクはどんどん終わらせていく人が多いように思います。

個別のタスクが終了して管理するタスクの数が減っていけば、タスク管理そのものの作業を減らすことができます。いかにタスク管理が上手でも、最終的にはタスクの実行こそが周囲の人たちから求められていることをしっかりと認識する必要があります。

 

③ タスク管理の方法をルール化し、習慣化する

 

タスク管理の方法は、自分なりのやり方をルール化し、そして、習慣化することが大事です。

タスク管理そのものの必要性や有用性については疑問はないと思います。そのため、どのようにタスク管理をすれば効率が良いのか、また、自分に合ったやり方なのかを考えて、タスク管理の方法をルール化することが大事です。

ルール化したら、それを繰り返すことで、習慣化することができます。習慣化までできてしまえば、個人のその時の感情や周囲の状況に左右されずに、決められた行動、すなわちタスク設定や更新作業を繰り返し行うことができるようになります。

 

【関連ブログ】

1.プロジェクト管理やタスク管理で本当に必要なこと ~ なぜスーツアップではこの機能が採用されたのか ~

2.優秀なビジネスパーソンの定義は「凡事徹底」ができる人に変わった

3.チームで働くとは何か ~ 全社タスク管理を行ったほうが良いと考える10の理由 ~

 

※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。

 

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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