優秀なビジネスパーソンの定義は「凡事徹底」ができる人に変わった

株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなど(以下まとめて「中小企業等」といいます。)の労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。全社タスク管理とは、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、個人・部署・経営に至るまで会社全体のタスクを「見える化」し管理する経営管理手法です。本稿では、全社タスク管理の導入のポイントとなるスタッフみんなによるタスク情報の入力と、その情報入力に対するスーツアップの考え方について記載したいと考えています。

経営支援クラウド「Suit UP」α版のサービス開始のお知らせ

 

【まとめ】

  • デジタルが急速に広がり、優秀なビジネスパーソンは、「凡事徹底」でミスなく日々の入力作業をひたすらできる人に変わった。
  • システムを正しく運用するためには膨大な入力作業をしなければならず、それは「データ入力地獄」というような状態。
  • スーツアップは、「凡事徹底」ができない人でも使え、かんたんにタスク管理に関する情報の入力・運用が持続できる全社タスク管理ツール。
目次

1.令和の優秀なビジネスパーソンは「凡事徹底」ができる人

本稿を書いている時点(※ 2023年11月)で、デジタルが世界を覆いつくそうとしていることについて、違和感のあるビジネスパーソンはいないと思います。全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する電子商取引市場規模の割合を指すEC化率は B to C でまだ10%弱であるものの、広告費についてはテレビ・新聞・ラジオ・雑誌のメディア4媒体への広告金額の合計をインターネット広告が上回り、そして、インターネット普及率は全世代でも約8割、13歳~59歳では9割を上回っているような状況です。

このようにデジタルが広がるばかりの昨今の状況で、特に2020年に新型コロナウィルス感染症問題が生じてから、私は優秀なビジネスパーソンの定義が変わったと思っています。

私の考える優秀なビジネスパーソンとは「凡事徹底」ができる人です。「凡事徹底」は、近年に創作された四字熟語で、当たり前のことを徹底的に突き詰めて行うことを意味します。

1918年(大正7年)創業のパナソニックの創業者で経営の神様・松下幸之助は、教育方針として、この「凡事徹底」を掲げていました。松下幸之助は、整理・整頓・清潔・清掃・しつけの5Sに始まり、道を歩く時はポケットに手を入れない、靴を脱いだらまっすぐに揃えるといったような日頃の身の回りのことをきちんと行う習慣を身につけさせるなど「凡事徹底」で人を育てました。この約100年前に創業された会社の創業者が掲げる行動様式は、デジタルとの親和性が非常にあるのです。

デジタルの世界は0か1だけで表現される合理的・論理的な世界です。なぜこの令和の時代に、パナソニックの創業者の松下幸之助が重要性を語った「凡事徹底」が求められるかというと、現実の世界とデジタルの世界を繋ぐには「凡事徹底」が必要なのです。

そう、誰かが入力作業をしなければ、現実の世界からデジタルの世界の扉は開かれないのです。

正しい情報が入力できてしまえば、あとはシステムが処理をしてくれて、合理的・論理的な答えを返してくれます。しかし、入力された情報が間違っていれば間違った答えになってしまうわけです。

この情報の入力が難しいのは、少しのミスもあってはならないのです。エンジニアの皆さんがプログラミングを組んでシステムを動かすときに、ミスがあったらシステムが動かないのと同じように、システムを動かすために必要となる入力情報も同様なのです。

一度、正しい情報を入力すれば、カレンダーアプリのリマインド機能によってオンラインミーティングのURLが自動的に配信されたり、デジタルマーケティングによって購買履歴に基づいて特定のお客様に自動的にメールが配信されたりして、業務の効率化や売上の拡大が自動的に見込まれます。しかも、システムの場合は、このような業務の効率化や売上の拡大は一度きりではなく、将来にわたり自動的に繰り返し行うこともできるのです。

そのためデジタルが急速に広がるこの世界では、まさに「凡事徹底」でミスなく日々の入力作業をひたすらできるビジネスパーソンがいることが、ビジネスの拡大に大きく寄与するのです。

2.データ入力地獄

私も過去の中小企業等のバリューアップの際に、SFA(営業支援システム)の導入をしようとしたことがあります。その結果は残念ながら惨憺たるもので、会社幹部・営業スタッフの納得・賛同を得てシステム導入までは進んだものの、途中からスタッフの未入力が増えてしまい、結局、運用を持続させることができませんでした。

SFAが運用された結果、顧客データが蓄積されて様々なマーケティング活動に利用できること、日々の営業活動が綺麗にビジュアル化されグラフになること、そして、このシステムが運用され続けた会社が好業績であることなど、導入検討時にはこんなにも素晴らしいシステムがあるのかと思わされたわけですが、大きな落とし穴がありました。

それは入力項目が多過ぎるのです。

前述のとおり、システムを正しく運用するためには、現実の世界とデジタルの世界を繋ぐことが必要です。誰かが正しく入力作業をしなければデジタルの世界の扉は開かれません。まさに優れたSFAを運用していくためには、営業マンが日々、膨大な顧客に関する情報を入力し続けなければならないのです。

今までは営業トークで勝負していた営業マンも、このデジタル化の波によって、それだけでは評価されなくなってきています。今の時代は、短期的に営業成績を上げるだけではなく、SFAに膨大な顧客データを入力し続けて、組織・システムへの中長期的な貢献ができなければ高い評価を得ることはできないのです。

しかし、冷静になって考えると、私の経験のように、システムを導入した多くの企業が、スタッフが日々のデータ入力をし続けることができなくて、システム運用の継続ができなかったという話を聞くのは異常な状況だとも思います。本来はシステムはあくまで手段であり道具です。そのシステムに人間が振り回されているような状況です。

もちろんシステム会社もこの「データ入力地獄」には気が付いていて、入力方法を自動化できないか、簡素化できないか、入力項目そのものを減らせないかなど、日々、この地獄から抜け出す方法を考えています。

入力方法の自動化ならばGPS(全地球測位システム)を用いて自動的に居場所を入力するようにする。入力方法の簡素化ならば音声入力を用いて打ち合わせの会話を自動的にテキスト化して要約するようにする。そして、そもそもデータの取捨選択・優先順位をしっかりとつけて、不必要な入力項目を減らすという方法が考えられています。

3.スーツアップはかんたんな入力・運用が持続できるを目標に

当社が提供するスーツアップでは、「やさしいテクノロジー」を掲げ、中小企業等に対する全社タスク管理の導入を目指しています。

そのため、より多くの中小企業等のスタッフの皆さんにスーツアップを使ってもらうためには、「凡事徹底」が苦手な人であっても、タスクに関する情報の入力を持続できるようにしなければならないと考えています。そして、他のシステムでよく見られる「データ入力地獄」にも陥らないようにしなければなりません。

そこで、私たちは、中小企業等のスタッフの皆さんがタスク情報の入力を持続できるように、3つの観点から工夫を凝らしています。

1つ目は、私たちが推奨する全社タスク管理の特性を考えて、改めてタスク管理において本当に必要な情報は何なのかを考え、運用に必要となる最小限の入力項目まで減らしました。その結果、スーツアップのタスク管理画面の全タスク画面では「大項目・中項目」「タスク名」「概要」「重要度」「責任者」「担当者」「期限」「通知設定」「非公開設定」「Wiki」及び「備考」の11項目だけになっています。特に私たちは、タスク管理では「タスク名」「担当者」「期限」の3つだけを入力すれば一定の成果を出すことができると考えています。

2つ目は、前項で紹介した最小限まで減らしたこの入力項目への情報入力も、できる限り、自動化や簡素化をして、とにかくかんたんに入力できることを目指しています。まず入力インタフェースを、マイクロソフトのエクセルやグーグルのスプレッドシートなどほとんどのビジネスパーソンならば一度は使ったことがある画面にしました。これによって、スーツアップを使うために新たに時間を割いて学習を行う必要はありません。次に、例えば「重要度」「責任者」「担当者」はプルダウンで選択を行うことができるだけでなく、いわゆるコピペ(「Ctrl+C」「Ctrl+V」のショートカットキー)でも入力を行うことができるようにするなど、1つ1つの項目もできる限りかんたんに入力をできるようにしています。今後、タスク設定そのものも各職種、部署や業界の標準となるタスクの雛型を提供することで、自分で時系列に応じた手順や論理的な項目の洗い出しなどを行うことをせずとも、かんたんにタスク設定ができるようにすることを考えています。

そして、3つ目は、チームで支え合ってタスクに関する情報の入力を持続できるようにしています。私たちは、中小企業等の労働生産性を実現する全社タスク管理は、決してスタッフ一人の責任感や努力では実現できず、チームの力でサポートし合わなければ持続できないと考えています。そのため、スーツアップでは、全社でタスク管理を運用する前提として、組織とコミュニケーションの入力画面を用意しています。部署やプロジェクトなどの組織ごとにタスク管理ができ、また、1ヶ月間に開催される定例会議を可視化できるようにしており、その定例会議でタスク設定の同時編集を行うことができるようにしています。タスク管理に必要となる入力項目を最小限まで減らし、また、その入力を自動化や簡素化するだけではまだ足りないと考えて、タスク管理を運用するための組織とコミュニケーションの設計もシステムに組み込んだのです。

このように、今の時代の優秀なビジネスパーソンは「凡事徹底」ができる人であり、また、多くのユーザーが苦労している「データ入力地獄」を踏まえて、スーツアップでは、ごく普通の一般的なモチベーションのビジネスパーソンでも、タスク管理に必要となる情報入力を持続できるように設計をしているのです。

やはり大事なことは、あくまでシステムは道具であり、使うのは人だということだと思います。私たちは、このスーツアップを、中小企業等の労働生産性の向上のために、全てのスタッフの皆様にとってタスクに関する情報を入力しやすく、持続して運用できる全社タスク管理ツールにしていきたいと考えています。

 

【関連ブログ】
1.学習コストを下げる、見慣れたインターフェース
2.スーツアップは「経営支援クラウド」から「実現支援クラウド」へ
3.チームのためのタスク管理と正しいタスク管理の方法


※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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