スーツアップによって実現できる7つのこと
株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなど(以下まとめて「中小企業等」といいます。)の労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。全社タスク管理とは、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、個人・部署・経営に至るまで会社全体のタスクを「見える化」し管理する経営管理手法です。
本稿では、「道具としてのスーツアップ」と題して、スーツアップによって実現できることを明らかにした上で、様々な利用者がスーツアップを利用するとどのような効果が得られるかについて記載したいと考えています。前編では、スーツアップによって実現できることを明らかにします。
経営支援クラウド「Suit UP」α版のサービス開始のお知らせ
【まとめ】
- スーツアップは、①組織の構築、②コミュニケーションのデザイン(主に会議体の整備)、③全社的なタスクの「見える化」、④各部署のタスクの「定型化」、⑤全社的なタスク管理、⑥各部署のタスクの「標準化」、そして、⑦適正なコーポレート・ガバナンスを実現します。
- スーツアップは、会社単位でのタスク管理が導入できない、スタッフのタスク設定・更新が続かず運用できないという2つの問題を解決。
- タスクの「見える化」によって、中小企業等によくある、人にタスクが紐づいてしまっているために起きるタスクの「ブラックボックス化」を防ぐことができる。
1.スーツアップによって実現できること
スーツアップは、中小企業等に対して、かんたんに全社タスク管理を導入し、継続的にタスク設定・更新ができるツールです。
本来はシステムは道具であり手段です。しかし、一人一台が当たり前になったスマートフォンやPCの普及とともに、もはや私たちはシステムなしには生きられないぐらい、毎日何かしらのシステムとともに生活するようになりました。きっと今後スーツアップも普及して多くのユーザーが使うことになれば、多くの人の生活の一部になっていって、本来想定していた使われ方ではない使われ方をしたり、周りの人が使っているからなんとなく使っていたりといった人が増えていくのだと思います。そのため、本稿では、スーツアップを使うと何が実現できるのか、また、どういった人がどのようにスーツアップを使用することを想定しているのかについて明確化したいと思います。
スーツアップによって実現できることは、①組織の構築、②コミュニケーションのデザイン(主に会議体の整備)、③全社的なタスクの「見える化」、④各部署のタスクの「定型化」、そして、⑤全社的なタスク管理です。さらに「Wiki」をしっかりと活用すれば⑥各部署のタスクの「標準化」を実現することができ、また、①~③及び⑤によって⑦適正なコーポレート・ガバナンスを実現することができます。
スーツアップのターゲットですが、主にスタッフ数が10名以上100名未満の中小企業等としています。これはスーツアップの全ての機能をすぐに使用できるのが中小企業等というだけで、必ずしもスタッフ数が10名未満の小規模事業者や100名以上の大企業において、スーツアップが導入の効果を発揮しないということではありません。スタッフ数が10名未満の小規模事業者の場合は、組織の設定時に少し未来の組織規模が大きくなった組織図を思い描いて設定をしておくと、新しいスタッフが入社がした場合でもスムーズに対応することができると思います。また、100名以上の大企業の場合は、一人の管理職スタッフで把握するスタッフ数やタスク数には限界がありますので、管理対象が100名程度のスタッフ数となるように部署単位で切り分けて管理を行うことを推奨しています。なお、この場合の100名には、営業マンや工場スタッフなど新たなタスク設定が求められておらず、特定のタスクの実行のみを行っているスタッフは含めなくて構いません。
スーツアップは、会社単位でのタスク管理が導入できない、スタッフのタスク設定・更新が続かず運用できないという2つの問題を解決できるようにシステム開発されています。前者の全社タスク管理の導入ができない点については、タスク管理画面をエクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトのインターフェースに近づけることで学習コストを減らし、スタッフの誰しもがその日からすぐに使用できるようにしています。後者のスタッフのタスク設定・更新が続かない点については、タスク設定項目を最低限に絞ることで簡素化し、例えば「定型タスク」では個別タスクの自動生成を実現するなど一部については入力作業そのものも自動化しています。また、スタッフの一人ひとりの責任感だけでは会社のためにタスク設定・更新を続けることは難しいという現実に鑑み、予め会社組織と社内のコミュニケーションを設定させることでチームでのタスク管理をしやすくできるように工夫しています。
次に①~⑦についても説明をしてまいります。
① 組織の構築
スーツアップでは、タスク管理ツールにも関わらず、全社的にタスク管理を行うならばしっかりと部署を整備してからタスク管理を行った方が効率的であることと、前述のとおり、中長期的にタスク設定・更新を続けるためにはチームで支え合わなければ上手くいかないことなどから、組織の設定画面を用意しています。
多くの中小企業等では、目先の仕事をまわすことを優先した結果、特定のスタッフが特定の仕事を行うというように、人にタスクが紐づいてしまっています。そのため、社長一人を頂点として他は全スタッフが同格で横並びの組織の「鍋ぶた型組織」であるなど組織そのものがほとんどない会社であったり、かろうじて組織図があったとしても、スタッフ数が総勢20名程度にも関わらず本部があるなど会社規模に比して部署数や階層が多くあり過ぎたり、課員がいないのに課長がいたりするなど、しっかりとした組織の構築ができていない中小企業等がほとんどなのです。
IPOを目指すスタートアップの場合でも、N‐3(株式上場の申請を行う期から3期前)になって、主幹事証券やIPOコンサルタントなどのプロフェッショナルが関与して初めて組織の構築がされることも多いように思います。
スーツアップでは、全社タスク管理を始める前に、組織の設定をしてもらいます。「1+1=2」ではなく「3」にも「5」にも「10」にもするために組織があります。しっかりとした組織の構築をせずに、中長期的な企業価値の増大は見込めません。
なお、自社スタッフだけで組織の設定ができない場合は、当社の有料サービスになりますが「全社タスク管理導入コンサルティング・サービス」、もしくは、そのうちの「組織構築コンサルティング」を受けていただくことをお勧めいたします。
② コミュニケーションのデザイン
スーツアップではコミュニケーションの設定画面を用意しています。具体的には1ヶ月の会議体を設定することができます。スーツアップでは、全社的に、個人、部署やプロジェクト単位でタスク管理を行いますが、タスク設定・更新作業については、定例会議のその場で管理スタッフと一般スタッフが一緒になって入力することを推奨しています。
全社タスク管理を導入・運用するからには、会社のトップである社長の声が届かない、または、効率よく行き届かないというわけにはいきません。先ほどのとおり、チームで働く意味を最大化するには、各部署が勝手にバラバラに業務をこなしているというわけにはいかないのです。
定例会議のその場で入力作業をすることを非効率に思われる方もいるかもしれませんが、個人スタッフの自主性に任せた結果、全社タスク管理というマネジメントシステムが機能しないぐらいならば、少し効率が悪い時間が生じたとしても、タスク設定・更新作業が持続できた方が良いのです。
①で構築した組織に息を吹き込むのは、他部署との連携であり情報共有です。組織図を作って組織の構築が終わりなのではなく、コミュニケーションをデザインして、それぞれの組織が会社全体の目線で機能することが必要です。
中小企業等だと、目先の仕事をまわすことや売上を追いかけることに必死で、社内のコミュニケーションを疎かにしている幹部スタッフも多い印象を持っています。定例会議を設定しても、社長や管理職スタッフが参加しないのでは、自らが組織を壊しているのと変わりません。
③ 全社的なタスクの「見える化」
スーツアップは、全社タスク管理を実現するツールで、全社的に、会社にとって必要となるタスクを網羅して設定し「見える化」することができます。スーツアップに設定されたタスクは、個人、部署・プロジェクト、経営及び全社という単位で表示することができます。
基本的には、スーツアップでは、会社に所属する全てのスタッフが、他部署であれ経営に関する内容であれ、全てのタスクを閲覧できるようにしています。会社の業務として行っているタスクであれば他のスタッフに見られて困ることはないという考えからです。
実際に仕事そのものに口を出すかどうかはさておき、他人に見られているとなれば、自分の仕事に、組織に規律が生じます。
また、このタスクの「見える化」によって、中小企業等によくある、人にタスクが紐づいてしまっているために起きる弊害であるタスクの「ブラックボックス化」を防ぐことができるようになります。
長年にわたり特定のスタッフが同じタスクを担当していると、そのスタッフ以外はそのタスクがどのようなものなのか、どのようなやり方なのか把握できなくなるのです。そのスタッフからすれば、自分しかできないタスクがあれば社内における存在感・発言力は増しますし、例え社長であっても抱え込んで見せない方が合理的なのです。
担当者によってタスクの「ブラックボックス化」をされてしまうと、その担当者をそのタスクから外すことは本当に難しいのです。その担当者は慣れていない他のタスクはやりたくありませんし、多くの場合、他の担当者はそのタスクはその担当者の領域だと認識していて、誰しも軋轢を生じさせてまで、他のスタッフのタスクを奪いたいとは考えません。最悪のケースは、「ブラックボックス化」されているタスクが、その会社のボトルネックとなってしまっている場合です。その場合は会社の経営陣としては、当該スタッフとケンカをしてでも、そのタスクの担当から外さなければなりません。それでなければ会社全体が沈んでしまいます。
スーツアップではタスクの「見える化」を実現することができますので、この「ブラックボックス化」を防ぐことができます。
なお、スーツアップでは、分析画面を用意しており、ワークスペース全体、部署、プロジェクト及びユーザー単位で、タスクの実行状況について統計的に把握もできるようにしています。
④ 各部署のタスクの「定型化」
スーツアップのタスク管理画面では「非定型タスク」と「定型タスク」に大別して管理できるようにしています。「定型タスク」は、毎週、毎月と繰り返し同じタスクを同じ担当者が行う「定期タスク」と不定期ながら同じタスクを同じ担当者が行う「不定期タスク」の2つにさらに分類できます。「定型タスク」は個別タスクの自動生成も可能となっています。「定期タスク」は予め決めたタイミングで、また、「不定期タスク」はタスクが完了して完了チェックボックスにチェックを入力したタイミングで、それぞれタスクが自動生成されます。
なぜチームで働くと効率が良いかというと、分業によって、同じ担当者が、同じタスクを繰り返すことによって習熟度が上がり、業務効率が上がるからです。そのためには、まさにタスクの「定型化」が必要になります。
中小企業等にスーツアップを使ってもらい、最初に全社のタスクの洗い出しをしてもらうと、多くの会社は「非定型タスク」ばかりに入力が偏ってしまいます。この「非定型タスク」を「定型化」して「定型タスク」にしていくことが中長期的な競争力の獲得になります。
なお、もしかすると中小企業等は人にタスクが紐づいてしまっていると説明をしたので、知らず知らずのうちに「定型化」がされていると思われる方がいるかもしれません。しかし、残念ながら、多くの場合、その担当者だけができるやり方、タイミングが維持されるだけで「定型化」と呼ぶには程遠い場合がほとんどです。
⑤ 全社的なタスク管理
スーツアップを導入すれば、全社的なタスク管理を実現することができます。これによって、個人、部署・プロジェクトなどの単位で、会社に必要となるタスクを把握し、担当者と期限を設定して、マネジメントサイクルをまわすことができるようになります。
ターゲットに記載をしたとおり、スタッフ数が10名から100名未満の中小企業等であれば、組織のトップである社長がやる気を出せばスーツアップで十分に全てのスタッフのタスク状況を把握することができます。
⑥ 各部署のタスクの「標準化」
スーツアップは「定型タスク」については「Wiki」の入力項目を用意しています。この「Wiki」に、そのタスクのマニュアルなどを貼り付けることによって「標準化」を実現することができます。
今まで記載をしてきたとおり、スーツアップはあくまで全社タスク管理ツールであって、全社的なタスク管理を実現しますが、個別のタスクのやり方など詳細まで把握・管理するものではありません。しかし、「④ 各部署のタスクの「定型化」」の先にあることは、個別タスクの「標準化」であり「システム化」であり、「仕組み化」なのです。
せっかく全社にあるタスクの洗い出しをして、タスクの「定型化」まで踏み出すのであれば、次は、そのタスクを習熟度が低いスタッフでもできるようにする「標準化」、さらには、スタッフの手を煩わせることのなくタスクそのものも無くせるように「システム化」まで意識して、タスク設定・更新ができるようになることが望ましいと思います。
⑦ 適正なコーポレート・ガバナンスの実現
スーツアップは適正なコーポレート・ガバナンスの実現に貢献します。コーポレート・ガバナンスとは、日本語では企業統治と記載され、会社を統治するためのルールや慣行、プロセスの仕組みのことをいいます。適正なコーポレート・ガバナンスによって、経営者による不祥事を防ぐなど、経営者の行動を適切にチェックし、会社に規律をもたらす役割を果たします。また、経営者がステークホルダーとの間で良好な関係を築き、透明性と責任を確保することができるようになります。
スーツアップは、全社タスク管理ツールですが、今まで記載をしてきたとおり、組織の構築、コミュニケーションのデザイン、タスクの「見える化」や「仕組み化」を実現するのです。これらが実現できてしまえば、経営者やスタッフは不正などできるわけがありません。
私たちは、経営理念や経営戦略の実現のために、会社というチームで協力し合いながら日々、働いています。そのためには役割分担をして組織を構築する必要がありますし、その組織を機能させるためには、組織間同士や組織内でのコミュニケーションをデザインしなければなりません。さらには会社全体で、個人、部署・プロジェクト、経営などの単位で、会社として必要なタスクを洗い出して、タスクの状況を「見える化」するのです。全スタッフのガラス張りの下で、密接なコミュニケーションがあれば、スタッフ同士で支え合うことができ、この会社において不正ができるとも、しようとも思わないのではないかと思います。
なお、事後的に解釈を加えることができる会計や活動評価のために集計されたKPIデータと違って、タスクは実行そのものに直接的に関わる一次データのため、不正がしづらいという特徴もあります。
このようにスーツアップでは適正なコーポレート・ガバナンスの構築にも貢献できると考えています。
(続く)後編 スーツアップの導入がオススメな会社(5パターン)
【関連ブログ】
1.プロジェクト管理やタスク管理で本当に大事なこと ~ なぜスーツアップではこの機能が採用されたのか ~
2.チームで働くとは何か ~ 全社タスク管理を行ったほうが良いと考える10の理由 ~
3.スーツアップは社長をリーダーにするタスク管理ツール
【道具としてのスーツアップ】
前編 スーツアップによって実現できる7つのこと
後編 スーツアップの導入がオススメな会社(5パターン)
※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。