Suit UP

組織構築と社員教育もできるタスク管理ツール ~ 株式会社fonfun 代表取締役社長 水口 翼さん ~

 

投稿日:2023年12月1日 / 更新日:2024年1月30日

 

株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなどの労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。全社タスク管理とは、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、個人・部署・経営に至るまで会社全体のタスクを「見える化」し管理する経営管理手法です。

今回は、スーツアップのα版リリース日である2023年9月27日に、全社でのご導入をご決定くださいましたスーツアップの初めての有料顧客である株式会社fonfun(東京証券取引所スタンダード上場企業、以下「fonfun」といいます。)の代表取締役社長の水口翼さんにユーザーインタビューをさせていただきました。インタビュアーは株式会社スーツ代表取締役社長CEOの小松裕介、インタビュー日は2023年11月20日です。

 

【まとめ】

 

組織構築と社員教育もできるタスク管理ツール

 

――― 水口社長は2023年6月開催の定時株主総会で代表取締役社長に就任していますが、これまでの経緯とfonfunについて教えてください。

 

私は青山学院大学の在学中に学生結婚をして、妻と私の二人分の学費と家族を養うお金を稼ぐために21歳の時に個人事業で起業しました。学生起業でしたがそれ以降、会社を潰すことなくサイブリッジグループ(以下「サイブリッジ」といいます)の経営をしています。サイブリッジは2004年の設立以来、IT企業を中心に上場企業等を取引先とする大小様々なM&Aを実施し、業容を拡大させながら、現在では20社以上の企業群を形成しています。またベトナムを中心としたオフショア開発を10年以上に渡って行っており、国内にて様々な大手企業のソフトウェア開発の実績を有しています。このような中、2023年春に上場企業のfonfunをTOBしまして、同年6月からfonfunの代表取締役社長に就任いたしました。

当社(fonfun)は、1997年設立で、携帯電話の普及に伴って業容を拡大したネット企業で、2002年9月に株式上場して以来、東京証券取引所スタンダード(上場当時は大阪証券取引所ナスダックジャパンのヘラクレス)に上場しています。社員数は約30名で、事業内容はショートメッセージの配信サービス「fonfun SMS」を中核とするSMS事業や、携帯電話のメールの送受信サービス「リモートメール」を展開するリモートソリューション事業などを営んでいます。

 

――― 今回スーツアップを全社導入していただいたわけですが、今まで組織に対して何か実施してきたことはありますか?

 

先ほどのとおり、私は5か月前にfonfunの代表取締役社長に就任しました。当社は30名ぐらいの小さな組織なのですが、就任当初は部署が4つしかない状態にも関わらず、社内の状況把握や部署間での情報の共有があまりなされていない状態でした。もちろん上場会社なので職務権限規程や業務分掌規程などの各種規程は定められているものの、それぞれの部署が何をやっていて、誰がどんなタスクを抱えていて、当社が展開する事業の中でどういう業務をやっているのかが可視化されておらず、マニュアルなどの整備も不十分でした。企業経営上、組織の役割や役職者の権限に基づいて、各メンバーに業務が割り振られて、各々がきちんと期限を遵守して業務を推進することが必要だと思うのですが、社長に就任し、現場の状況把握を行うために、各メンバーが行っている業務の把握をしようと思ったときに、これが非常に困難だったわけです。

ソフトウェア開発の部署で着任前から既にプロジェクト管理ツールの「Backlog」(以下「backlog」といいます。)が導入されていたため、全社でこのbacklogに入力をしていって業務を把握しようとしました。しかし、backlogはタスクの期限を設定して業務完了までのプロセスや進捗を把握するにはよいのですが、単純な作業や業務の可視化、それらを踏まえた全体的な改善を必要とする段階では、設定できる項目数が多く、入力ボリュームが重たいと感じていました。当社は、人員構成でいうとエンジニア中心ではなく営業中心の会社で、営業スタッフが全社の半数を占めているので、彼らがやっていることや今後の改善タスクを期限管理して進めるには、スーツアップのほうが、簡単で、かつ、目的に即しているのではないかと考えて、導入することを決定しました。

 

――― 水口社長の新体制になってからタスク管理の必要性が指摘されたわけですが、サイブリッジでタスク管理をしていたとか、どういった背景があってタスク管理の必要性を感じられたのでしょうか?

 

サイブリッジでも同じくbacklogでタスク管理をしていました。backlogでは、ソフトウェアの受託開発など、クライアントから受託する有期限のプロジェクトであればその性質上、運用内容、タスクや目的が明確で、プロジェクトごとに管理がしやすいと感じています。一方で、社内のタスクについても、backlogに登録をして運用を試みたこともあるのですが、チェックする管理担当がいないとなかなか回らないことがありました。サイブリッジは非上場企業かつ100%私が株式を持つオーナー経営です。私がタスク管理をしっかりやっていたときは社内タスクや経営課題などもbacklogでタスク管理がまわっていました。10年ほど前は毎朝必ず15分間、責任者全員を集めて、タスクの進捗を確認するミーティングをして、毎日のタスクの進捗確認をしていたのですが、最近はそれぞれ現場任せになっている状況でした。改めて、上場企業であるfonfunの経営を担うことになり、上場企業として求められる内部統制をしっかりと効かせ、リスクマネジメントをしながら四半期毎に決算数値を意識し業績向上をするためには、当たり前のことが当たり前にできる組織体制を構築をして、タスク管理をしなければならないと感じています。

 

――― このような状況で、他にもいろいろなタスク管理ツールがあると思いますが、なぜスーツアップの導入をしようと考えたのでしょうか?ソフトウェア開発の部署以外の皆さんが使っているシステムはあったのでしょうか?

 

fonfunでは過去に全社タスク管理という観点でのツールは特に入れていませんでした。SFA(営業支援システム)は「Knowledge Suite」、チャットツールは「Chatwork」(以下「Chatwork」といいます。)を使っています。Chatworkにもタスク機能がありますが、全社ルールとしての運用はしていませんでした。

タスク管理ツールの導入にあたって様々なツールを検討しましたが、先ほどのとおり、ツールは使いこなして、目的を達成できなければ意味がありません。サイブリッジ時代からの経験もあって、入力項目が多いと最初は良くてもいずれ運用がまわらなくなることはある程度予想していました。そのため、運用を考慮して入力項目をあえて必要な事項だけに絞っているスーツアップのコンセプトには共感するところがありました。また、スーツアップがエクセルやスプレッドシートのような表計算ソフトのインターフェースに似ているところも学習コストが少なく合理的だと思います。当社のメンバーも、導入初日から説明なく、感覚的にスーツアップを使いこなしていました。

また、スーツアップを使うとメンバーの学習に繋がるところも良いと考えています。タスクの分類も非定型タスクと定型タスクに分かれているため「仕組み化」やマニュアル作成を意識することになります。会社にある全てのタスクの可視化を部署ごとに行うことができるため、部署ごとの役割を意識するのはもちろん、ビジネス全体の中で自分の役割を知ることができるのも社員教育になると考えています。スーツアップは組織やコミュニケーションを前提としたタスク管理ということで、「上場企業だからやらなければならない」「IPOを目指すためにやらなければならない」といった形だけの内部統制構築と違って、より実効性ある組織構築ができるのではないかと期待しています。

スーツアップの全てのタスクを可視化することについては、オープンな企業文化の醸成にも繋がりますし、オンライン全盛の時代にコミュニケーションの活性化にも繋がるものと期待しています。経営としてもそのような活用ができるようにツール以外の部分でも「仕組み化」をしていきたいと考えています。

非上場企業のサイブリッジと違いfonfunは上場企業なので、特に組織や権限などをしっかり規定して、誰が誰のタスクを管理しなければならないのかなど、「ツリー構造」(※ ツリー構造とは、データ構造の一種で、ある階層に属する一つのデータから、下位階層に位置する複数のデータが枝分かれした状態で配置されている構造のこと)で業務を進める必要があることを改めて認識しました。スーツアップの魅力は、組織とタスクが紐づいているところだと思います。

私自身がそうなのですが、非上場企業のオーナー経営者の場合、よく「鍋ぶた型組織」(※ オーナー社長一人を頂点として、その他スタッフは横並びで同格の組織のこと)と言われるように、オーナーは、管理職を飛び越して、直接、一般スタッフに気になったことを聞いてしまったり、指示をしてしまったりしてしまいがちです。

経営手法は様々でそれぞれ良し悪しもありますが、fonfunは上場企業なので、今回Suit UPを使うことで組織の構築ができていくことは、自分自身にとっても非常に勉強になっています。今後、会社の規模が拡大し組織が大きくなっていく中で、今のメンバーが組織の中核となって、このタスク管理の仕組みを回す側になってくれることも期待しています。

 

――― fonfunでは、スーツアップの運用方法はどのように行っていますか?

 

現在は、ソフトウェア開発の部署のbacklogと併用して、タスク管理ではスーツアップを使用しています。全社についてはスーツアップです。スーツアップについては、スーツアップの運用で推奨されているように、定例会議でその場でタスクの更新を行うようにしています。例えばコーポレートソリューショングループなどでは、グループ長がグループのタスクを毎週の定例会議で更新しています。DXソリューショングループはソフトウェア開発の部署で、もともとbacklogでタスク管理が運用されていたこともあって、スーツアップを併用している状況になっています。クラウドソリューショングループは自社プロダクトの部署です。マーケティング施策や、SFAで行っているお客様管理以外の部分である営業の各種施策の管理をスーツアップでしています。内部監査室は現在、年間の監査スケジュールなどに基づいてタスクのアップデートをしています。また、会社としてISMSの全社取得を進めているので、こちらはスーツアップにあるプロジェクト設定を活用してタスク管理をしています。

スーツアップはクラウドで複数人で同時に編集作業ができるので、定例会議でその場で全員でスーツアップの部署タスク一覧を見ながら更新をしています。

 

――― 先日、全社会議で、私から全社タスク管理とスーツアップについてご説明をさせていただきましたが、社員の皆様の反応はいかがだったでしょうか?

 

考え方によってはとても当たり前のことではあると思うのですが、外部の専門家から、組織と連携したタスク管理を行うことのご説明いただいたのは、目から鱗が落ちる思いだったメンバーもいたのではないかと思います。特に当社は近年、新卒採用を進めていたこともあって、当社のマネジメントシステムが当たり前のように感じていた若手社員も沢山いたのではないかと思います。そのため、とても良い刺激になったのではないかと思います。

全社タスク管理の導入を通じて、全社のタスクが可視化されることで、「仕組み化」やマニュアル化への意識が生まれ、困っている社員がいたらフォローし合うような企業文化の醸成をしたいと考えています。タスクの期限を守ることの意識も持たせたいと思いますし、そもそものタスク設定を全社員がしっかりできるようにしたいです。

上場企業の経営は、内部統制の観点からも組織構築が求められており、私自身もスーツアップでの全社タスク管理の運用を通じて、改めて組織構築について勉強をしています。

自分たちでタスク設定をしていくこともリーダーシップだと思います。そういった積極的な社員が増えていくといいと思いますし、私自ら率先してタスクを設定して、社員みんなに声掛けするなどをして、fonfunを良い会社にしていきたいと思います。

おかげさまで、全社会議でご説明をいただいた後は、社員もスーツアップの項目の意味や意図を考えるようになったのではないかと思います。まだまだタスク設定の巧拙は社員によって差がありますし、タスク更新に対する意識、そして、タスクの期限を遵守する意識が乏しい社員がいるなど、課題もたくさんあると思います。先ほども申し上げましたが、やはりシステムは使いこなさなければ会社のシステムの導入目的を実現することはできませんし、良い会社にすることはできません。全社タスク管理ツールであるスーツアップを導入したからには、全社的にしっかりとした運用をしていきたいと思います。

 

――― 最後に今後のfonfunの事業展開と、スーツアップの活用について教えてください。

 

当社では2023年9月に新中期経営計画(プロジェクトフェニックス)を発表し、M&Aを主軸にした経営方針を掲げています。今後は事業・会社を買収して、グローバルで展開していきたいと考えていますが、その中で、新しく買収した会社のメンバーのタスク管理をスーツアップでしていきたいと考えています。仕事を可視化し、仕事の担当者を明確にして、期限を決め、事業展開と成長をしていけるようにしたいと考えています。そのため、まずはfonfunでスーツアップを活用したフレームワークを確立したいと考えています。

まだ社内でスーツアップを活用して仕事を進めることが完全には定着できていません。「Aさんだったらできる、Bさんだったらできない」という状況が生じたままでは。M&Aした会社からしても、「自分たちには、全社タスク管理をやって欲しいと言われているけど、fonfun本体でまだできていないじゃないか」と指摘を受けてしまいます。そうはならないように運用の精度を高めていきたいと考えています。

M&Aをした会社の業種業態で効率的なタスク管理ができるようになったら、同じ業態を買収するなどM&Aのロールアップ戦略も考えたいと考えています。スーツアップはPMI(※ 買収後の経営統合作業)への活用もできると思いますし、スーツアップをうまく使うことで、M&Aの効率化を図りfonfunグループの企業価値向上に努めていきたいと考えています。

 

(聞き手:株式会社スーツ代表取締役社長CEO 小松)

 

【関連ブログ】

1.スーツアップで実現する全社タスク管理のメリット

2.スーツアップの導入方法について

3.スーツアップで実現する全社タスク管理の導入・運用方法

4.チームで働くとは何か ~ 全社タスク管理を行うべき10の理由 ~

5.「100日プラン」とスーツアップでの全社タスク管理

 

※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。

その他のブログ