Suit UP

「100日プラン」とスーツアップでの全社タスク管理

 

投稿日:2024年1月26日  / 更新日:2024年2月4日

 

株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなど(以下まとめて「中小企業等」といいます。)の労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。全社タスク管理とは、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、個人・部署・経営に至るまで会社全体のタスクを「見える化」し管理する経営管理手法です。

本稿では、大企業のM&A担当者、プライベート・エクイティ・ファンドのスタッフや中小企業等のバリューアップをしているプロ経営者等のプロフェッショナルに向けて、「100日プラン」とスーツアップでの全社タスク管理について記載したいと考えています。

経営支援クラウド「Suit UP」α版のサービス開始のお知らせ

 

【まとめ】

 

1.中小企業等の「組織力」

 

空前のM&Aブームが到来しています。中小企業の事業承継が日本経済全体の社会課題となっているためです。それでは中小企業のM&Aを行う場合、買い手は対象会社である中小企業のどこに着目して買収を行うのでしょうか?過去からの業績の安定性、高い技術力、営業チャネルや顧客基盤など様々あると思います。

本項では、中小企業等の「組織力」に焦点を当てたいと考えています。一般的に、ミドルキャップやラージッキャップと言われる大企業のM&Aにおいては、なかなか「組織力」が論点となることはないかもしれません。一方で、中小企業等のM&Aでは、特にスタッフ数が50名以下の中小企業等では「組織力」が不足していることも多く、これによってM&Aが進まないことも往々にしてよくあるのです。

もし対象会社に「組織力」がなく、その会社の経営者やスタッフ個人に依存した経営をしている場合、安定性のある業績も悪化してしまうリスクがありますし、高い技術力、営業チャネルも顧客基盤も引き継ぐことができないリスクがあります。

この中小企業等の「組織力」ですが、大企業しか就業経験がない方には想像もつかない世界が広がっています。一般的に、中小企業等では、チームで働くための仕組みづくりがなされていません。本来、チームで仕事をするということは、そのスタッフの個性に着目せずとも組織的に仕事がまわることが望ましいわけですが人に仕事が紐づいてしまっているのです。長年にわたり、同じスタッフが特定のタスクを担当しており、それ以外のスタッフが当該タスクのやり方を一切把握していないなどはよくあることなのです。

ビジネスとは、目の前にいるお客様に対して、商品・サービスを提供して、その付加価値に対して対価をいただくことです。目の前のお客様にしっかりサービス提供をしてさえいればビジネスは成り立つのです。それが必ずしも組織的な対応でなくても、将来にわたって継続性がなくても、ましてや会社にとって効率的でなくても、それはお客様にとっては一切関係のないことなのです。

そのため、中小企業等では、先にスタッフがいて、そのスタッフがお客様が満足してくれる程度に”それなり”に仕事をこなしてくれれば、会社としては合格点としてしまうことが多いのです。組織を作ってお客様に対してサービス提供することは、中長期的に大事なことであることは理解していますが、目先の仕事と比べて、優先順位が劣後しているのです。

そうなると、個々のスタッフが、お客様のためという目的の下、特定のタスクを繰り返すことになり、いつしか当該タスクのやり方は属人化していき、そのスタッフの専売特許となっていくのです。

一度こうなってしまったら、余程のことがない限り、そのスタッフを外すことはできません。一般的なビジネスパーソンであれば、軋轢を生じさせてまで、そのスタッフの当該タスクのやり方を可視化しようとしたり、担当替えをしたりはしないのです。一方で、そのスタッフには、自分が担当している特定のタスクのやり方を「ブラックボックス化」することにインセンティブがあります。なぜなら、当該タスクが自分にしかできない仕事であったり、自分しか対応できない高度な仕事であったりした方が、社内での自分のプレゼンスが高まるからです。

中小企業等で組織の構築ができない大きな理由の一つは、創業期に目先のお客様や売上を優先させた結果、いつしか特定のスタッフと、会社が組織を構築するということについて、利益相反が生じてしまっているからだと思います。その結果、このようなスタッフに配慮した、いびつな組織が出来上がるのです。

また、経営戦略、競合の商品・サービス、資金調達や景気など様々ある経営の論点の中で、この「組織力」は軽視されがちです。私も20年近く中小企業等の経営に関わらせていただいていますが、社長同士の集まりがあっても、この「組織力」が話題になることはほとんどないのではないかと思います。どんなに素晴らしい経営戦略を立案しようとも、「組織力」がなければ実行することができないにも関わらずです。

私たちは、この「組織力」を構成する要素は、①組織の構築、②コミュニケーションのデザイン、③タスク管理、④スタッフのスキルとモチベーション、そして、⑤企業文化だと考えています。中小企業等の現状について、以下に、項目ごとに記載します。

 

① 組織の構築

 

中小企業等では、形式的にも、別紙として組織図が添付されることの多い組織規程、組織が何の業務を行うかを定める業務分掌規程、そして、役職者がどのような権限を有しているのかを定める職務権限規程なども制定されておらず、チームで働くために合理的な組織が構築されていないことがほとんどだと思います。

「1+1=2」ではなく「3」にも「5」にも「10」にもするために組織があります。組織の構築をしっかりとせずに、中長期的な企業価値の増大は見込めません。

 

② コミュニケーションのデザイン

 

組織を正しく機能させるためにはコミュニケーションをデザインしなければなりません。チームで働くためには情報の流れをコントロールすることが必要です。適時適切な情報共有と、時にはあえて情報を分断するなど、組織の共通の目的の下で必要となるルールを作る必要があります。

具体的には組織内のレポートラインを定義し、定例会議、ビジネスチャットツールやカレンダーツールを整備します。また、報告書の雛型を用意し、会議においては議事録を作成するなどをします。

中小企業等では、前項のとおり、人に仕事が紐づいてしまっていて、スタッフ間で連携して仕事に当たることが少ない場合も多く、組織内でコミュニケーション・ルールが定められてないこともよくあります。

しかしながら、チームで効率よく役割分担してタスクをこなしていくためには、コミュニケーションのデザインをしないわけにはいきません。

 

③ タスク管理

 

中小企業等では、全社的なタスク管理以前に、部署やプロジェクトなど所属する複数人のスタッフで業務を推進する場合であっても、タスク管理が行われていないことがよくあります。社長をはじめ、管理職スタッフが、部下の管理という本来の管理職の仕事を放棄していることもよくあると思います。

別稿でもたびたび記載をさせてもらっていますが、日本のサラリーマンは優秀で、上司の雑な指示でも、上手にタスクの要件定義をしてくれて、そこそこの品質と期日で、当該タスクを実行してくれるのです。しかしながら、このような仕事の進め方が本当に効率の良い業務の推進方法であるわけがありません。

なお、前述のとおり、中小企業等では、人に仕事が紐づいてしまっているため、管理職スタッフも担当スタッフも、双方がなれ合って、楽をしているという見方もできるかもしれません。

しっかりとタスク管理を行えば、どこの部署に所属するスタッフが、何の仕事を担当していて、いつまでに行うのかを全て把握することができます。タスクの「見える化」を実現することができれば、チームで助け合ってタスクを実行していくことができるようになります。タスク管理により、労働生産性の向上と人件費の最適化を図ることができ、企業価値の向上を実現することができます。

 

④ スタッフのスキルとモチベーション

 

「組織力」には、組織を構成する個人の総和であるという側面が全くないわけではないと思います。大企業のようにビジネスモデルとマネジメントシステムがしっかりしていれば、個々のスタッフの能力差など大した話ではないかもしれません。しかし、多くの中小企業等ではこれらを構築していくことが重要な仕事なわけです。そうなるとスタッフのスキルとモチベーションが低いことが問題になってしまいます。

特にビジネスにおいてITの重要性がこれだけ増すと、ITを使いこなせるか否かで労働生産性に天と地ほど差ができます。長年にわたり中小企業等の経営をしてきた私の感覚では、文章を読むこと・書くことや論理的な思考能力といった基礎的なビジネススキルの重要性はますます増していると思います。これらはITツールを使いこなすために必須な能力になります。

中小企業等のスタッフは、残念ながら、総じてこれらのスキルが低いことが多いように思います。これは生まれながらの能力差ではなく、中小企業等に所属するスタッフの多くが、例えば大学受験や資格取得のための勉強などを通じて能力開発を行ってきていないことなどが原因の一つではないかと言われています。

また、スタッフのモチベーションも「組織力」に大きな影響を及ぼします。モチベーションが高ければ、一つひとつのタスクをしっかりと行います。別稿でも記載をしましたが、ITの重要性が増した今のビジネスシーンでは、細々とした入力作業など「凡事徹底」が求められます。決して難解な仕事が沢山あるわけではなく、しっかりと一つひとつのタスクを確実にこなす、それこそシステムのような正確性と継続性が求められるわけです。このような細かい作業を継続して行うということは、仕事に対するモチベーションがなければ続けられるものではありません。

 

⑤ 企業文化

 

最後に、企業文化が重要になります。部署や役職など立場は関係なく物事を言える風通しの良い企業文化、何に対しても明るくチャレンジする企業文化、そして、ひたすらに改善を繰り返すことができる企業文化など、「組織力」を語る上で企業文化は欠かせない要素です。

人間は社会的な生き物で、組織に所属する大半のスタッフの雰囲気に流されるのです。例えば、その会社にとっては当たり前になっているルールがあるとします。その場合、後から入社したスタッフは、その会社に溶け込もうと、他のスタッフと同様に、自然とそのルールを遵守するようになるのです。

もちろん良い企業文化だから、チームで協力し合える組織を構築できるということもあるかもしれませんし、逆に、優れた組織があるから良い企業文化を育めるということもあると思います。「組織力」を向上させる上で、どのように良い企業文化を醸成するかは大きなポイントです。

 

2.「100日プラン」とスーツアップでの全社タスク管理

 

「100日プラン」とはM&Aによって経営権が変わったタイミングから100日に行うべき計画のことをいいます。

M&Aにより会社の意思決定者が新しい大株主の下で経営を任せられる経営陣(以下「新経営陣」といいます。)に変わることで、今後、経営陣・スタッフはもちろんのこと、お客様や協力会社など会社を取り巻く全てのステークホルダーに影響が生じます。そのため、ステークホルダーの多くは、期待と不安の入り混じった感情を持っており、新経営陣がどのようなキャリアで、性格で、経営哲学を持っていて、何を発言するのか、そして、今後この会社をどのように経営していくのかに注目しているのです。

このような状況下で、新経営陣と会社のスタッフとの間で、ビジョンや経営戦略を共有して、具体的なタスクに落とし込んでいくのが「100日プラン」なのです。本項では、以下のとおり、冒頭に「100日プラン」の全体像を提示したうえで説明を進めます。

 

「100日プラン」の全体像

 

① 経営理念等の再定義

 

経営理念、ビジョン、ブランドスローガン、数値目標の確認・再定義と社内コミュニケーションを行います。

 

② 経営戦略の策定と具体的なビジネス課題への対応策の洗い出し

 

主に経営資源をどのように振り分けるかなどの全社戦略、個別事業に関わる事業戦略やマーケティング戦略、営業戦略や人事戦略など機能別戦略の策定を行います。

また、マーケティング、営業、コスト削減、オペレーションの改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)など個別の具体的なビジネス課題への対応策を洗い出します。

 

③ 組織の構築

 

新たに策定する経営戦略に最適化された組織の構築を行います。組織規程、業務分掌規程や職務権限規程などの整備を行い、どの部署が何の仕事を行うのか、役職者にどのような権限を与えるのかを明らかにします。スタッフの配置の最適化も図らなければなりません。後述のとおり、社内に対応できるスタッフがいない場合は、新規採用か外注化を検討する必要があります。

なお、中小企業等であっても少し規模の大きい会社であれば、リスクマネジメントの観点から、経営と執行の分離を図り、コーポレート・ガバナンス体制の強化も視野に入れる必要があります。

 

④ コミュニケーションのデザイン

 

社内で情報が正しく流れるようにしなければ、各部署・スタッフが自分の状況認識を図ることができず、それぞれが期待されている役割を果たすことができません。

そのため、前項の組織の構築に合わせて、経営会議、役職者による会議や部署会議など定例会議を整備する必要があります。他にはビジネスチャットツール、カレンダーツールやオンライン会議ツールなどの設定も行います。

 

⑤ 全社タスク管理の導入

 

経営戦略のアクションプランを、各部署に紐づけて、全社タスク管理として導入する必要があります。

これによって、経営戦略を実現するために、各部署・スタッフが、どのようなタスクを、どのような役割分担で、いつまでに実行すればいいのかが全て可視化され、全社的にタスク管理をできるようになります。

 

⑥ その他マネジメントシステムの導入

 

企業活動の成果・結果をタイムリーに確認できるように月次決算の整備と管理会計の設計を行います。しかし、これら会計情報はあくまでも活動の結果の情報であるため、より次のアクションを素早く確認できるようにするため、先行指標となるKPIの定義と設定も行います。

企業変革において一番重要なことは、スタッフの具体的な行動管理であるタスク管理をしっかりと行い、迅速にタスク消化を行うことです。KPIや管理会計・財務会計は、経営戦略がしっかりと成果に繋がっているのかを確認するためにあります。

 

⑦ 人事に関する事項の整備とインセンティブプランの設計

 

経営戦略に基づく組織の構築ができれば、次はスタッフの配置を行うことになります。社内で対応できるスタッフがいなければ新規採用、もしくは、外注化を検討する必要があります。

このように新しい人材の獲得と、今いるスタッフに最大限の力を発揮してもらうためには、給与テーブルなどの報酬制度と評価制度を整備する必要があります。中小企業等であっても、IPOやM&AによるEXITを目標とする場合は、ストックオプション制度を導入することもできます。

 

 

スーツアップは、この「100日プラン」のうち、③ 組織の構築、④ コミュニケーションのデザイン、そして、⑤ 全社タスク管理の導入を実現するツールです。経営理念、ビジョンや経営戦略の立案は、より創造的で人間的な活動のため、システムでの管理にそぐうものではありません。私たちは、この「100日プラン」のうち、システムで対応できることをスーツアップで提供しようと考えています。

なお、2023年3月から開始した「全社タスク管理導入コンサルティング・サービス」では、スーツアップで対応できない内容について、プロフェッショナルによるコンサルティング・メニューを用意しています。具体的には、全社タスク管理に直接的に関係する組織構築コンサルティング、コミュニケーションデザイン・コンサルティングやタスク設定コンサルティングだけでなく、経営理念策定コンサルティングや経営戦略策定コンサルティングなどのサービス提供をしています。

「100日プラン」では、一般的には経営者が変わったとしても変更しないことが多いと言われる会社の経営理念を再確認し、スタッフに対して今後進むべき中長期的なビジョンと経営戦略を示すことが必要になります。そして、その経営戦略に基づいて組織の構築を行い、コミュニケーションのデザインをし、具体的なアクションプランとなるタスク設定を全社的に行います。

「100日プラン」で大事なことは、大きな方向性を示すことと、小さな成功でも構わないので、新経営陣が「勝てる経営者」であることを周囲のスタッフに示すことが重要になります。

新経営陣が、旗幟鮮明にして会社がどこへ向かうのかを明らかにしなければ、スタッフはどうすればいいのか分からなくなってしまいます。もちろん、新経営陣が大きな方向性を示せば、スタッフによってはその方向性を受け入れ難い方もいると思います。しかし、この経営権が変わった初期段階で新経営陣が方向性を示さない場合、この大きな方向性の時点で既に考え方が違うようなスタッフが曖昧なまま残ってしまうことになります。そうするとそのスタッフらは、結果として、様々な改革を進めていく過程で抵抗勢力となってしまい、改革が進まなくなるなど後々の経営リスクになってしまいます。そのため、新経営陣は、一部のスタッフとの一時的な軋轢を怖れることなく、新たに会社が進む方向性について指し示すことが必要になります。

その際に、気をつけなければならないことは、今までのスタッフが大事にしてきた経営理念であったり、その会社の歴史であったりには敬意を払う必要があります。新経営陣が過去を否定することは簡単ですが、安易な否定は、その会社やスタッフの存在意義の否定に繋がりかねません。しっかりと事実に基づいて良し悪しを判断することと、先人たちを慮ることは両立することができます。

また、新経営陣は「勝てる経営者」であることを周囲に示す必要があります。人間は誰しも勝ち馬に乗りたいものです。まだスタッフとの信頼関係を築くに至っていない新経営陣ならば、この時期には大きな成功までは要りませんが、少なくとも負けないリーダーであることを示す必要があります。フォロワーであるスタッフは、この小さな成功が積み重なってくると、新経営陣の指し示す経営戦略が正しいと自信を持つことができるようになります。

私は講演会などでよくこの話をするのですが、サラリーマンは「性善なれど弱い」存在です。そのため、根っからの悪い人はいませんが弱い人ばかりなので、メンドクサイことや嫌なことがあれば心が折れて、そのタスクをしなくなってしまったり周囲の人に対して八つ当たりをしてしまったりするのです。その特性を考慮して、少しずつで構いませんので成功体験を積ませて、自信をつけさせてあげることが重要です。そうすると会社全体の雰囲気も良くなってきますし、何より自分に自信があって「性善なれど強い」存在であれば、困っているスタッフに手を差し伸べて助けるぐらいの心のゆとりが生まれます。スタッフ全体をそういった状態に持っていくことが経営者の仕事だと思います。

小さくて構わないので成果を出すことが重要です。サラリーマンは、実績を出すことで自信をつけ、仕事に対するモチベーションを上げるのです。そうすると次のチャレンジができるようになっていくのです。

そのため「100日プラン」では、確実に成果を出すことができると考えるタスクを散りばめていくことが重要です。いきなり難易度の高いタスクであったり、スタッフに大きく負荷がかかるようなタスクであったりを手掛けるのは得策ではありません。まずは、そういった成果の出やすいタスクの実行を通じて、担当スタッフに「新経営陣についていけば未来がある!」「新しい経営戦略ならばやれる!」と自信をつけさせることが大事です。そして、そのスタッフを、新経営陣の味方になってくれ、一緒になって変革をしようとしてくれる存在にするのです。成功体験がスタッフの心に火を灯すのです。この心の火が他のスタッフにも徐々に広がっていくのです。「100日プラン」では、意図して、こういったポジティブな連鎖を創っていくことが大事になります。

また、経営戦略を立案するということは、会社が何をやって、何をやらないかを示すということです。経営資源には限りがあります。特に中小企業等は経営資源が乏しく、全方位に様々な施策を行うことはできません。最悪なのは、いろいろと取り組んだ結果、全てが中途半端になり、成果を上げられず、働くスタッフに閉塞感が生まれてしまうことです。そうすると組織の活力は失われてしまいます。

そのため中長期的な視点から会社における課題と対応策を洗い出し、タスクの設定を行い、スタッフ全体の共通認識とするためにタスクを「見える化」して、そのタスクに優先順位をつけることが重要です。

さらに、経営学では「組織は戦略に従う」といった格言がありますが、経営戦略の変更に伴って、組織の構築をすることも重要になります。様々なビジネスシーンで「PDCAを回す」という言葉が使われますが、PDCAを回すためには下準備が必要です。組織を構築し、コミュニケーションを設計し、タスク管理をするなどマネジメントシステムの構築が必要になります。

前項で「組織力」について記載をしましたが、どんなに素晴らしい経営戦略であったとしても実行されなければ意味がありません。経験の浅い経営者は頭でっかちに経営戦略の立案に力を入れがちですが、マネジメントシステムの構築にも同じぐらい力を入れる必要があります。それこそ「組織力」の獲得は一日で実現できることではありません。些細なタスクであったとしても、全てのスタッフが一つひとつのタスクをしっかりと実行できるようにすることが重要です。

新しい経営戦略を実現するために必要となるタスクはアクションプランとも呼ばれます。全社的に、誰が、何のタスクを、いつまでに実行するのかを明確にしなければなりません。タスク設定が曖昧になってしまうとアクションプランとしては不合格です。何をやればいいか分からない、誰がやるのか分からない、そして、いつまでにやればいいか分からないという状態になってしまうとタスクは実行されません。

全社的にタスクが「見える化」されると、ビジョンを具体化するためのタスクが明確になり、スタッフ全員が進むべき方向をより理解することができます。タスクの「見える化」がなされなければ、スタッフは会社が抱える課題が分からず、どのような解決をしたらよいのか、具体的にどれくらいの成果を目指すべきなのかが分かりません。

このように組織やスタッフ間で透明性高く情報が流れるようにすることが重要です。この全社タスク管理もそうですが、全てのスタッフがKPIや管理会計・財務会計などの情報にアクセスできるようにすることで、全スタッフが会社のコンディションを知ることができます。チームで働く以上、スタッフに会社に関する情報が共有されている方がスムーズに動くことができるのは言うまでもありませんし、他のスタッフに情報が公開されているというだけで、社内に規律が生まれるのです。

このように「100日プラン」では、新しい経営戦略の立案だけでなく、組織を構築し、コミュニケーションを設計し、タスク管理をするなどマネジメントシステムの構築を行い、「組織力」の獲得を目指すことが重要になります。

 

以上のとおり、「100日プラン」と全社タスク管理と題して記載をしてまいりましたが、前述のとおり、スーツアップは「100日プラン」に適用できるように開発されてきています。スーツアップは中小企業等の「組織力」をアップする全社タスク管理ツールです。企業の変革期に大きな力を発揮しますので、大企業のM&A担当者、プライベート・エクイティ・ファンドのスタッフや中小企業等のバリューアップをしているプロ経営者など「100日プラン」に関係するプロフェッショナルには、ぜひとも導入検討をしていただきたく考えています。

 

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※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。

 

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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