スーツアップは多機能ではない本質的な価値提供で多くのユーザーに使われるタスク管理ツールへ

株式会社スーツでは、2023年9月27日に経営支援クラウド「Suit UP」(以下「スーツアップ」といいます。)のα版をリリースしました。スーツアップは、中小・中堅企業やスタートアップなど(以下まとめて「中小企業等」といいます。)の労働生産性を高める、全社タスク管理を実現するSaaS(Software as a Serviceの略語、月単位・年単位(サブスクリプション)で活用できるソフトウェアサービス)です。全社タスク管理とは、単なるタスク管理やプロジェクト管理ではなく、個人・部署・経営に至るまで会社全体のタスクを「見える化」し管理する経営管理手法です。

本稿では、「2024年新春企画スーツアップQ&A」として、社内スタッフからスーツアップに関する質問を募りましたので、スーツアップの企画・構想者であり当社の代表者である小松の回答を公表いたします。本稿はその第2回です。ユーザーの皆様を始め、当社を取り巻くステークホルダーの皆様のスーツアップの理解の一助となればと考えています。

経営支援クラウド「Suit UP」α版のサービス開始のお知らせ

第1回 スーツアップはかんたんをキーワードにタスク管理ツールの定番ツールへ

【まとめ】

  • スーツアップは、プロセスの管理よりも、より会社の全体性を意識したタスク管理ツール。
  • スーツアップの開発の方針は、少数のユーザーを考えて多機能を目指すのではなく、多くのユーザーに使われるタスク管理ツールとして本質的な価値提供をする機能の進化を目指す。
  • スーツアップは表計算ソフトに近いインターフェースを用意したことで、細かい説明がなくとも感覚的に操作できる。
目次

質問6 なぜスーツアップはカンバン方式ではなくシート(表)方式を採用したのですか?

私たちはスーツアップを通じて、主に10名以上100名未満の中小企業等をターゲットとして、全社タスク管理の実現による労働生産性の向上をしたいと考えています。そのため、工場の生産現場から最近ではソフトウェア開発などまでにも普及したカンバン方式よりもシート(表)方式によるタスク管理の方がより多くのビジネスパーソンに馴染みがあると考えてシート方式を採用しました。

カンバン方式は、トヨタ自動車の生産方式の代名詞でもある「ジャストインタイム」(※ 必要なものを使う分だけ使用する時に供給するための生産管理)が色濃く反映された管理方法です。本当に在庫がある場合、工程を意識する場合などには効率的な管理を実現することができると思います。

カンバン方式は、私たちが考える全社タスク管理と違って、特定の生産管理やプロダクト開発、プロジェクト管理などもう少し管理するタスクの範囲が狭く、その代わり、プロセスの管理に重きを置いているイメージです。一方で、全社タスク管理は、会社という組織、すなわち部署やプロジェクト単位で、現在会社にあるタスクそのものの把握とタスク担当者と期限などタスク管理を全社で行うものです。

そのため、スーツアップでは、細かく実行時期の設定を要するガントチャートや個別のタスクの進捗管理の入力項目などの機能はなく、これらはスタッフ間でのコミュニケーションを密接に図ることによって問題解決を図ることを想定しています。つまりスーツアップは、プロセスの管理よりも、より会社の全体性を意識したタスク管理ツールなのです。

別稿でも記載していますが、私の一番の問題意識は、日本の中小企業等の経営者がしっかりとした経営管理をしていないということです。そのため日本全体の従業者の7割が働く中小企業市場の労働生産性が上がらず国力を落としています。むしろ、現場レベルのサラリーマンの責任感や柔軟な対応能力は世界に誇るものであり、経営レベルではなく現場レベルのプロジェクト管理などは素晴らしいものがあると考えています。そのため、今の日本で求められているのは全社タスク管理だと認識しています。

以上のことから、スーツアップでは、カンバン方式ではなく、シート(表)方式を採用するに至っています。なお、今後、カンバン方式への表示変更ができる機能の追加については、検討もしていきたいと考えています。

質問7 タスクの「依存関係」に関する機能の追加予定はありますか?

タスクの「依存関係」に関する機能は、現時点では、今すぐの実装は考えていません。先ほどのカンバン方式への表示変更ができる機能と同じぐらいの優先順位で考えています。

タスクの「依存関係」とは、Aタスクを開始するためにはBタスクの終了が必要となるタスク間同士の関係をいいます。プロジェクト管理ツールではお馴染みの機能であるため、このようなご質問をいただいているのだと思います。

今までも記載をしてまいりましたが、スーツアップでは、全社タスク管理を運用し続けられるように、タスク管理にかかる入力項目や入力作業を減らすことを目指しています。タスクの「依存関係」についても、究極的に言えば、担当者がBタスクの期限をしっかりと遵守すれば問題は解決されます。

私たちのプロダクト開発の考え方では、このタスクの「依存関係」に関する機能は、タスクが期限を遵守できず滞留することを前提としたものでしかなく、まずは全スタッフのそれぞれが担当のタスクの期限をしっかりと遵守できるようにすることに注力すべきだと思います。タスクの期限を守れない可能性があるからといって、タスクの「依存関係」を管理する機能を実装し、スタッフに当該項目の入力作業をさせるのは非効率です。

AタスクとBタスクの期限設定をしっかりと行い、それぞれ責任者・担当者を決定し、定例会議を行ってスタッフ間でコミュニケーションを図って、しっかりと進捗確認を行い、タスク期限を遵守する。これだけでタスクの「依存関係」は特別の機能がなくとも問題解決されるものと思います。

タスクの「依存関係」が、本来行わなければならないことが正しく行われないことを前提とした、管理のための管理の機能であるならば、まずタスク設定した期限をしっかり守ることが、最も業務効率が良いのです。

私は20年程度、中小企業等の企業再生を行ってまいりましたが、オペレーションの改善を行う際に、このような本来のオペレーションが正しく実施されないことに片目をつぶって新たに別工程で管理をしている事例をよく見てきました。前提を疑って、オペレーションの改善を行うと労働生産性を大きく上げることができます。

質問8 気に入っている機能や、今後、追加したい機能はありますか?

私がスーツアップのα版で気に入っている機能は2つあります。1つ目は、タスク管理画面において、表計算ソフトにはよくある、行の挿入をした後にその行に入力をするということをしなくとも、行が自動的に挿入されて連続入力ができるという機能です。これはエンジニアチームが自分たちで考えてくれたのですが、効率よく入力することができ、スーツアップが表計算ソフトのインターフェースを真似しながらも、より高い効率性・操作性を追求した独自性ある素晴らしい機能だと自負しています。

2つ目は、「定型タスク」の「不定期タスク」です。スーツアップでは、タスクを「非定型タスク」と「定型タスク」に大別して分類し、さらに「定型タスク」を週次・月次と繰り返す「定期タスク」と、タスクの期限までは決まっていない「不定期タスク」に設定できるようになっています。

この「不定期タスク」は、会社組織を軸にタスク管理を行うというスーツアップならではのもので、行うべきタスクと担当者は決まっているものの、タスクを行う期限・タイミングは決まっていないタスクを管理する機能です。こちらについては、例えばホームページや営業資料の更新などを想定しており、定期的な更新があるわけではありませんが、そこそこの頻度で更新作業があって、必要な時には担当者が忘れないでタスクを実行できるように管理するものです。

また、今後、追加したい機能は、もちろんα版時点と比べればたくさんありますが、当初想定から外れた機能追加を行うようなことはないと思います。β版までに、タスク雛型機能、API連携機能、決済機能や表計算ソフトのインターフェースの操作性の向上を予定しています。

私たちのプロダクト開発の方針は、少数のユーザーの利便性を考えて多機能を目指すというよりも、多くのユーザーに使われる機能の充実を図ってまいりたいと考えています。繰り返し述べていますが、入力項目もなるべく簡素化し、入力作業そのものも自動化したいと考えています。中小企業等にいる全てのスタッフが使いやすい、「やさしいテクノロジー」を目指して機能開発を進めていきたいと思います。

質問9 現時点で導入しているお客様は、どのような業界、会社規模が多いですか?

α版をリリースしてから3か月が経過しました。現時点で、1ヶ月間の初月お試し導入も含めて、スーツアップを使用してくださっている方が数十社います。業界についてはバラバラですが、会社規模についてはスタッフ数が総勢で50名以下の中小企業等が多いです。導入事例でも登場してくれましたが、中には株式会社fonfunのように上場企業の導入事例もあります。

以下では、お問い合わせをいただくお客様とのお打ち合わせで、多いやりとりについてもご紹介いたします。

多くのお客様はやはり全社タスク管理の運用で悩まれている方が多いです。全社タスク管理の必要性や有用性については、改めてご説明するまでもなく、ご理解をされている方がほとんどです。また、現状で使用しているツールは、エクセルやスプレッドシートを用いて組織的なタスク管理をしている方が多い印象です。スーツアップが表計算ソフトに近いインターフェースを売りにしていることが原因かもしれませんが、「Asana」や「Trello」からの乗り換え検討や、比較検討されている方は思っている以上に少ないです。場合によっては、これらの外資系のプロジェクト・タスク管理ツールのサービス名を言っても把握されていないお客様もいらっしゃいます。

また、若手起業家だと「Notion」を使っているけれども、実際には、単なる議事録管理ぐらいにしか使えておらず、全社タスク管理のような組織的なタスク管理に使用するには程遠く、そもそも設定がちゃんとできないといった話をよく聞きます。

そもそも、若手起業家とのやりとりだと、経営戦略、エクイティ・ファイナンスや営業活動には熱心であったけど、会社の組織やコミュニケーションの構築を軽んじていたと反省される方が多いです。例えば、過去には幹部社員での定例会議を設定していたが、毎回、社長が社外の方とのミーティングを優先してしまい、定例会議は実施されず形骸化してしまったなどの事例をよく聞きます。

スーツアップの使用感については、お客様の現場スタッフが違うお客様を紹介してくれるなど、当社としても手ごたえを感じております。特に、表計算ソフトに近いインターフェースを用意したことで、細かい説明がなくとも感覚的に操作できるとほとんどのお客様からコメントいただいており、私たちの当初の想定は目論みどおり推移していると思います。

一方で、私が友人・知人関係の経営者にお試し導入をお願いすると、経営者の指示だからか、一部のスタッフが1週間から2週間程度は使用してくれるものの、やはり全社タスク管理そのものの必要性を感じていない会社に、スーツアップの使用を継続させるのは難しいとも感じています。

今後、スーツアップがα版からβ版に移行するに従って操作性・利便性の向上が大きく見込まれますので、2024年春以降にはマーケティングも本格化させていく予定です。今後も多くのお客様と向き合い、スーツアップの使用方法のベストプラクティスの情報を集約して、丁寧なカスタマーサクセスと情報発信をしていきたいと思います。

質問10 2024年の展望について教えてください。

スーツアップですが、2024年は、春のβ版のリリースが1つ大きなポイントだと考えています。私たちは、スーツアップのα版は、いわゆるMVP(Minimum Viable Product)版で、ユーザーが求める最小限のコア機能のみを提供しているバージョンと位置付けていました。そのため、β版では、お客様が全社タスク管理を実現するのに十分な機能をしっかりと提供したいと考えています。

β版では、前述のとおり、タスク雛型機能、API連携機能、決済機能や表計算ソフトのインターフェースの操作性の向上の機能追加を予定しております。それぞれ簡単に説明いたします。

タスク雛型機能は、α版のローンチのプレスリリース時でも記載いたしましたが、スーツアップの目玉の機能になります。一般的なプロジェクト・タスク管理はタスクの設定から実行までをサポートする、いわば手続きの管理なわけですが、私たちはこのタスクの設定そのものの精度を上げることで中小企業等の企業価値向上に貢献したいと考えています。

このタスク雛型機能では、専門家とAIによる雛型提供を予定しています。専門家が考えたベストプラクティスのタスク雛型を用いれば、例え知識や経験がないユーザーであっても、残りのタスク設定の項目、例えば担当者と期限などを設定するだけでタスク管理に踏み出すことができるようになります。

また、スーツアップは全社タスク管理ツールであると同時にタスク管理プラットフォームです。そのため集まったデータを用いて「集合知」を活用してタスク雛型を制作していく予定です。こちらについては、2020年中国・清華大学による「世界的AI研究者2000人」に選出(※ 日本人は8名)された世界的なAI研究者である榊剛史博士を技術顧問に迎えて精度を上げていく予定です。

API連携機能では、カレンダーツールやビジネスチャットツールなどとの連携を予定しています。エクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトでは外部のアプリケーション等との連携はマクロ機能などを活用しなければ設定できず、一般的なユーザーにはハードルが高い状態にありました。スーツアップでは、このAPI連携機能を実装することで、タスク期限通知を普段から社内で使用しているビジネスチャットツールやカレンダーツールなどに通知できるようにすることを考えています。これによって、シームレスな操作性を実現し、ユーザーの皆さんの利便性・操作性の向上を図りたいと思います。

その他にも、α版では基本機能の開発を優先させた結果、未実装となっていた決済機能や、タスク管理画面の表計算ソフトのインターフェースの操作性の向上を図りたいと考えています。後者に関しては、ユーザーの皆様にストレスなくご使用いただくためには欠かせないことだと考えており、中長期的にはエクセルやスプレッドシートを上回る操作性の獲得を目指してまいります。私たちのスーツアップは全社タスク管理ツールですので、必ずしも表計算ソフトと完全に同じような機能開発を図るわけではありませんが、タスク管理ツールならではの独自の機能も実装してまいります。

このように、スーツアップでは中小企業等のスタッフの皆様がかんたんに全社タスク管理を導入し、運用し続けられるように、利便性の向上を図ってまいります。2024年春のβ版以降では、本格的にマーケティング・営業活動も活発化いたします。ユーザー同士でもスーツアップ導入・運用のベストプラクティスを共有できるように、コミュニティ化も図ってまいる予定です。常にお客様目線で、システム開発とカスタマーサクセスの体制の構築をしてまいりますので、どうぞ2024年のスーツアップにもご期待いただければと思います。

(続く)第3回 タスクの”粒度”や進捗管理はコミュニケーションで解決!

 

【関連ブログ】
1.プロジェクト管理やタスク管理で本当に大事なこと ~ なぜスーツアップではこの機能が採用されたのか ~
2.2024年のスーツアップ(α版からβ版への進化について)
3.スーツアップは全社タスク管理をかんたんに実現するツール

【2024年新春企画スーツアップQ&A】
第1回 スーツアップはかんたんをキーワードにタスク管理ツールの定番ツールへ
第2回 スーツアップは多機能ではない本質的な価値提供で多くのユーザーに使われるタスク管理ツールへ
第3回 タスクの”粒度”や進捗管理はコミュニケーションで解決!
第4回 スーツアップはITスキル不要!中小企業のためのかんたんに継続できる全社タスク管理ツール!
第5回 スーツアップは人間工学に基づいて全社タスク管理を実現!

※ 「経営支援クラウド」「Suit UP」及び「全社タスク管理」は株式会社スーツの登録商標です。

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

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