ぼくらのスモールビジネス「中小企業100万社がターゲット。プロ経営者が生み出すSaaS事業とは」前編


本稿は、小さく始めて大きく稼ぎ、人生を謳歌するスモールビジネス経営者の知られざる生き様に迫る番組「ぼくらのスモールビジネス」に、第13回ゲストとして当社代表の小松が出演した回(【13-4】中小企業100万社がターゲット。プロ経営者が生み出すSaaS事業とは)について、各人の発言の主旨を変えずに、読みやすいようにテキスト用に再編集したものです。

【13-4】中小企業100万社がターゲット。プロ経営者が生み出すSaaS事業とは
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<パーソナリティ>
アンティークコインギャラリア代表 渡辺 孝祐
WEB/デジタル領域のプロジェクトマネージャー 齋藤 実帆

<ゲスト>
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

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目次

1.社長をリーダーに変えるプロダクト

パーソナリティ 渡辺 孝祐(以下「孝祐」といいます。):小松さんへのインタビューの最終回になります。よろしくお願いします。

パーソナリティ 齋藤 実帆(以下「実帆」といいます。):お願いします。

第13回ゲスト 小松 裕介(以下「小松」といいます。):よろしくお願いします。

孝祐:今までは過去のお話を伺ってきたのですけど、今回は、今後の未来の話を伺いできたらと思います。まずは現在の会社である、株式会社スーツにつきまして、創業の経緯をお聞かせください。

小松:株式会社スーツですが、私が32歳の時に創業しました。先ほど申し上げたとおり、スーツ社は、クライアント企業様にとって、経営コンサルティングよりも、もう少し近い距離感で、中小・中堅企業やスタートアップ企業の経営支援をしている会社です。直近で少し大きな動きがありまして、昨年12月に、もう1回同じ名前の株式会社スーツという会社を、会社分割して作りました。今まで自分で約20年間にわたり中小・中堅企業のバリューアップをやってきて、ノウハウが溜まっておりますので、それをシステム化して、より多くの人たちに使ってもらいたいなと思い、今はプロダクトを開発しています。

孝祐:それでは、いわゆるテックカンパニーを目指していく、ということでしょうか?

小松:そうです。テックカンパニーです。

孝祐:システムを開発して、月額課金で中小企業に使ってもらうサービス、というイメージですか?

小松:そうですね。大凡そのようなものを考えています。

孝祐:具体的には、どのようなシステムになりますか?

小松:具体的に言うと、タスク管理のシステムを作っています。今回のお話の中でも、かなりの頻度で、「当たり前のことを当たり前にすることが重要」という話をさせていただいていますが、この「当たり前にやること」が難しいし、面倒臭いですし、大変なんです。上司が毎回「やっていますか?」と聞くことも、リマインドすることも大変ですし、一方で、スタッフだって、一個一個しっかりと入力をし続けるのも大変です。そのあたりを「もっと簡単にできないかな」と思って、プロダクトを作っています。

実帆:既に世の中にはタスク管理ツールが沢山あると思うのですが、それらとはどう差別化されるのでしょうか?

小松:おっしゃる通りで、タスク管理ツールは既に沢山あります。タスク管理の世界は面白くて、タスク管理という言い方もあれば、プロジェクト管理という言い方もあります。あとは、個人利用の場合もあれば、組織で使っている場合もある。このように言葉の定義もあやふやで、かなり分かりにくい状況です。このような状況下で、タスク管理ツールとして、日本で一番使われているのはGAFAが提供する表計算ソフトですね。

実帆:タスク管理の専門ツールですらないんですね。

小松:そのとおりです。表計算ソフトだから使い勝手がよくない、という大きな問題があります。僕が現在、開発しているプロダクトを企画した時に言ったのは「リマインドが必要な状態をなんとか軽減できないか?」ということです。ツールが無い状態ですと、タスクの期限が迫っている場合、毎回、個別に連絡しなければいけません。「このタスクは来週月曜日までなのだけど、大丈夫?」と連絡しなければいけない。これが自動でできたら簡単ですよね。あとは、表計算ソフトですと、チャットツールとかカレンダーツールとの連携もないわけです。そういうのを考えた時に、ちゃんとツール連携して簡単にマネジメントができる状態にできたら、それだけで「当たり前のことが当たり前に」がもっと簡単にできるようになります。そうすると中小・中堅企業、スタートアップ企業、スモールビジネスをしている皆さんが、より良い経営成績になる。社長も、経営管理の仕事から解放されれば、リーダーシップの仕事だけに注力することができる。そのような「社長をリーダーに変える」ツールにしたいと思っています。

孝祐:社長をリーダーに変える。いいですね。

小松:第1回でお話しさせていただいたように、僕は、社長の仕事とはリーダーシップとマネジメントだと思っています。日本の社長は、このマネジメントをちゃんとやっていないケースが多いです。マネジメントに関しては、論理的であったり、決められていることを繰り返しやらなきゃいけないであったり、という特徴があるため、システム化しやすいのです。一方で、リーダーシップは、戦略の立案、人間関係だったりセールスだったりと、人間的なところで、システム化しづらいと思っています。管理の部分、経営管理と呼ばれるマネジメントはシステム化しやすいと思っていて、そこを簡単にできるようにしたいと考えています。

実帆:なるほどですね。

孝祐:でも、To Do アプリみたいなもの結構ありますよね?

実帆:JiraとかTeamsとかも、最近はあります。

孝祐:それとはやっぱり違うのでしょうか?

小松:そうですね。僕もプロダクト開発にあたりいろいろ調べているのですが、外資の会社が作っているプロダクトを沢山見ます。しかしながら、これらの外資が提供しているツールは、日本の中小・中堅企業とか、スモールビジネスをしている皆さんからすると、操作性が難し過ぎる印象を持っています。

孝祐:自分もツール導入に難儀した経験があるので良くわかります。結局そうなんですよね。個人のタスクも会社のタスクもちゃんと管理したいと思って始めるのですが、そもそもまず、どういうふうにタスクを切り分けなきゃいけないといったレベルで悩むということもありますし、結局、最初の導入と運用がしっかりと形にならないと、ずっと使い続けられないのですよね。とりあえずタスクは登録されているけど、粒度もバラバラだし、誰がやるとか、そもそもどの時間にチェックするとか、そういうところが決まっていないと、結局、もう1回To Do Listを全入力して、となり、最終的には更新がなくなって、使わなくなっていってしまう。

小松:結局、タスク管理は継続してやり続けないと意味がないわけですよね。この何回かでお話しをさせていただいた通りで「当たり前のことを当たり前に」で、ちゃんと継続してタスクの消化ができれば、必ず売上も利益も増える。あとは、これがどれだけ簡単にできるか。僕は、経営者として粘着質なタイプで、ひたすら同じことをできるタイプなのです。「これは期限が来ているけど大丈夫なの?」というのを優しく言い続けることができますが、これができる人はあんまりいないのですよ。

実帆:確かに、同じ人に同じことを何度も言うのは、ちょっと言いづらいところがありますよね。

孝祐:言っても響かなかったら、もういいやってなりそう、というのもあります。

小松:そうですね。僕はそれが簡単にできる時代になったと思っているし、ビジネスチャンスがあると思っています。それで、かれこれ1年以上プロダクト開発をやってきて。会社を昨年の12月に作りました。それでも、まだあと半年以上開発にはかかる予定ですね。しっかりと開発してからローンチしようと思っています。

孝祐・実帆:それは楽しみです。

実帆:どのようなところを意識して開発されているのですか?

小松:使い勝手が良いプロダクトを目標にしています。やはり中小・中堅企業、スタートアップ企業をはじめ、スモールビジネスをやっている人たちが簡単に使えることが大事だと考えています。タスク管理ツールは何より使い続けないとしょうがないものですので「やさしいツール」を目指していますね。

2.当たり前を簡単にできるプロダクト

実帆:ちなみにSaaS化しようと思ったのは、何かきっかけがあったのですか?

小松: VAZの企業再生が終わって、別のクライアントに行っている時に「僕は約20年間、同じ話をひたすら繰り返ししているな」とふと思った、というのがきっかけですね。

実帆:今まで凄くいろいろなことをしていらっしゃったのに、それを「全部同じ」だと感じたのですか?

小松:そうですね。今日もこうやってお二人に、抽象度を上げて「社長の仕事はリーダーシップだ、マネジメントだ」というように言語化しているわけですが、日々繰り返していると「僕の仕事は結局コレだよな」と思う時があるのです。僕は、特に業種業態を問わずで、通信会社、レジャー施設、YouTuberプロダクションなどの経営に携わらせていただきました。ですので「業種業態が違う会社であっても、同じことをやっているのだったら、システムにしよう」と思ったのです。それが2022年の元旦です。

実帆:去年の元旦?

小松:そうです。元旦に企画書を書き始めました。

孝祐:縁起がいいですね。

小松:そうですね。だから今、企画から1年ちょっと経った感じですかね。

孝祐:採用とかは順調ですか?

小松:そうですね。最初にCTOを探しました。やはりプロダクトを創ることができる人がいないとしょうがありませんからね。

実帆:そうですね。

小松:CTOを探すために、沢山の面接をやりました。おかげさまで、上場会社のCTO経験者とか優秀なCTO候補の皆さんがやりたいと手を挙げてくださったのですが、その中でも非常に優秀な上原さんというCTOを確保しました。しかも、上原さんはイケメンです。

孝祐:会いたいです。

小松:この間も採用のために記事を出したのですが、上原さんの写真がイケメン過ぎて、文章が頭に入ってこない!

実帆:面白いですね。

小松:あと、マーケティングについても、大学の先輩が大手化粧品メーカーのD2Cの立ち上げをやった方がいて、彼は現在、上場会社のマーケティングのトップをやっているのですが、その先輩が手伝ってくれています。

実帆:大変強いメンバーが揃っている予感。笑

小松:管理は、元々VAZで一緒に働いていた優秀なCFOです。彼は厚労省に行った後に監査法人に行って、それで、なぜかVAZに来て、僕と一緒に企業再生をやりました。VAZを辞めたあと、ちょっとフラフラしていたので声がけさせてもらいました。そんなマネジメントチームです。

孝祐:脇を固めるメンバーも凄いですね。サービス開始のリリースはあと半年後くらいですか?

小松:そうですね。ちゃんとしっかりしたものを作ってからサービスを開始したいなと思っているので、それぐらいかかってしまう予定です。

実帆:でも、ツールは、「ツールの使い方」がきちんと分かっていないと上手に機能しない、みたいこともあるじゃないですか。やっぱりそういう経営の考え方も同時に発信する予定はあるのですか?

小松:そうですね。今回はプロダクトのリリースに先立って、どうすれば組織がちゃんと回るのか、全社タスク管理によってマネジメントサイクルがちゃんと回るのかを教えるコンサルティング・サービスも用意しています。テクノロジーで提供できるところに関してはテクノロジーで。しかし、例えば考え方やそれこそツールの初期設定や使い方など、まだまだ人じゃないとできないところについては、人が教えるというようなサービス設計をしています。国内外のSaaSの他社の成功事例・セオリーをちゃんと学んで、それで準備をしています。

実帆:それで中小・中堅企業の人たちが使えるようなお値段であれば、とても良いですね。

小松:その予定です。繰り返しなのですが、当たり前のことをやると、ちゃんと企業の価値が上がります。ですので、その当たり前を実現できるプロダクトが導入されれば、「売上が伸びて、利益もちゃんと残って」というように中小企業全体の底上げになる。そのようなプロダクトにしたいと考えています。

孝祐:中小企業はとても数が多いじゃないですか。マーケットの規模もかなり大きいですか?

小松:そうですね。マーケットの規模は大きいです。今回、僕がやりたいのは、正確には「全社タスク管理」をやりたいと思っています。全社と言っても、中小企業なので、例えば20人とか30人の社員数でしょうか。これくらいの人数だったら、社長がちゃんとやれば十分に一人でも管理ができるのです。日本社会では20人から100人未満の社員数の会社で約50万事業所あります。10人から20人の社員数の会社で60万事業所。そのため、今言った10人から100人の、いわゆる中小企業で大体100万事業所あるのです。そこの人たちが使いやすいようなツールを目指しています。

孝祐:本当に楽しみですね。使ってみたいです。

実帆:お金を用意しておかないと。

小松:そんなにお金はかからないですよ。

孝祐:そうなんですか?

小松:かからない予定です。ぜひ楽しみにしてもらいたいと思います。僕は約20年にわたり、この仕事をやってきて、再現性を持って経営の仕事をしてまいりました。そのノウハウを全部まとめてシステム化しているので、現在開発中の全社タスク管理ツールを使ってもらえれば、確実に成果が出せる、というものにしたいと考えています。

実帆:すごいですね。

孝祐:それは、タスクのロードマップ、テンプレートみたいなものが手に入るってことですか?

小松:そうですね。タスクの雛型も用意しています。あとは何と言っても、全体的な考え方ですね。

孝祐:まあ、そうですよね。

小松:それを「簡単にできる」ということが大事だと思っています。今日も「当たり前は難しい」という言葉をいただきましたけど、「当たり前を簡単にできる」というのが目指すべきところだと思っています。それを実現したいと思っています。

第8回へ続く)

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