経理業務を効率化する7つの対処法|優先度つきで進め方を解説

経理業務の効率化には、業務の標準化・ペーパーレスの導入・会計ソフトの導入をはじめとした7つの方法があります。

いきなり高価なシステムを導入するのではなく、手軽な対処法から順番に取り入れ、着実に定着させるのがおすすめです。

経理は毎月・毎年ほぼ同じ手順を繰り返す定型業務の集まりで、仕組み化と相性が良い領域。

まず業務を標準化し、紙と手入力を減らし、会計ソフトやAI-OCRで自動化していく——この順番で進めれば、ミスも残業も段階的に減らせます。

本記事では、経理業務を効率化する7つの対処法を効果と手軽さの優先順位つきで整理し、それぞれの進め方・コツ・向いている状況まで、ツールを実際に開発・運営する立場から解説します。

属人化や繁忙期の集中といった根本の課題を、チームで仕組み化して解消するところまで踏み込みます。

目次

【優先度つき早見】経理業務を効率化する7つの対処法

迷ったら、効果が大きく・手軽に始められるものから着手しましょう。
具体的には「①業務の標準化」「⑤エクセル改善」のように、ゼロコストで今日から始められる一手が最優先です。

経理業務の効率化は、大きく「仕組みをつくる(標準化・ペーパーレス)」「ツールで自動化する(会計ソフト・AI-OCR・エクセル)」「人の使い方を変える(外部化・RPA)」の3方向に整理できます。

下の7つを上から順に進めると、コストを抑えながら着実に効果を出せます。

7つの対処法と優先順位【早見表】

まずは全体像。効果と手軽さを見比べ、自社で着手しやすいものから選んでください。

効率化の方法は数多くありますが、優先順位をつけずに手を広げると中途半端に終わりがち。

まずは標準化という土台を固め、その後から自動化・外部化を取り入れるのが、遠回りに見えて一番の近道です。

→ 表は横にスクロールできます

対処法効果手軽さひとことで言うと
① 標準化・マニュアル化★★★★★☆作業を書き出して手順をそろえる。すべての土台
② ペーパーレス化★★★★★☆紙の保管・検索・押印をなくす。法令対応も同時に
③ クラウド会計で自動仕訳★★★★★☆銀行・カード連携で記帳を自動化。自動化の本丸
④ 経費・請求書のシステム化★★☆★★☆AI-OCRで入力レス。月末の山をならす
⑤ エクセル改善★★☆★★★関数・テンプレで手作業を削減。今日からできる
⑥ アウトソーシング★★☆★★☆定型業務を外部へ。採用難・属人化に効く
⑦ RPA★★☆★☆☆繰り返し作業を自動実行。標準化の先の仕上げ

特に経理の日常に潜む細かなムダの見つけ方は、『経理の無駄な作業を減らす対処法』のページでも具体的に整理しています。

経理を効率化する4つの効果

効率化のゴールは「作業を速くすること」そのものではなく、ミスを減らし、人を判断業務に回せるようにすることです。

経理を効率化して得られる4つの効果(ミス削減・残業削減・属人化の解消・コア業務への集中)

効率化を進めると、次の4つの効果が得られます。

どれも単なる時短にとどまらず、経理部門が「数字を使って経営を支える」ための余白を生み出すものです。

① ミス・手戻りの削減:転記や二重入力が減り、金額の誤りや重複処理を防げる。

② 残業の削減・平準化:月末月初や決算期に集中する作業をならし、特定時期の負担を軽くできる。

③ 属人化の解消:手順を仕組み化すれば、担当者が変わっても品質を保てる。

④ コア業務への集中:入力作業を機械に任せ、資金繰りや分析など判断業務に時間を使える。

経理業務が非効率になりやすい3つの原因

経理業務が非効率になる3つの原因(紙・手入力/属人化/繁忙期の集中)の図

効率化の前に、まず「なぜ時間がかかっているのか」を押さえて正しい対処法を見つけましょう。

経理の非効率には共通するパターンがあります。

原因を特定せずにツールだけ導入すると、非効率な手順がそのまま自動化され、効果が出ないまま終わりがちです。

まずは次の3つの原因のうち、自社がどれに当てはまるかを見極めましょう。

原因1:紙・手入力・二重入力が多い

紙でのやり取りと手入力は、保管・検索・転記・ミスの修正という見えにくい作業を次々に生みます。

請求書や領収書を紙で受け取り、内容を目で見て会計ソフトやエクセルに手入力する——この流れには、入力そのものだけでなく、ファイリング、保管場所からの検索、転記ミスの発見と修正といった付随作業がついて回ります。

同じデータを複数のシステムに二重入力している場合、工数は単純に倍になり、不一致が起きれば突合にさらに時間がかかります。

紙や手作業を前提にした業務プロセスは、中小企業のDX(デジタル化)が進みにくい一因とも指摘されています(参考:中小企業庁『中小企業白書』)。

原因2:業務が属人化・ブラックボックス化する

「この処理は○○さんしか分からない」状態は、効率化を妨げるだけでなく、その人の退職や休職で業務が止まる経営リスクでもあります。

手順がマニュアル化されず担当者の頭の中にしかないと、やり方が人によってずれ、引き継ぎのたびに品質が落ちます。

とりわけ一人で経理を回している会社では、業務のすべてが一人に集中し、外から中身が見えないブラックボックスになりがちです。

属人化がもたらすリスクと備え方は、『一人経理の属人化リスクと引き継ぎ』のページで詳しく解説しています。

原因3:月次・年次で業務が繁忙期に集中する

月末月初の締め、決算、年末調整など、経理は特定の時期に作業が集中し、残業や確認漏れが起きやすい構造を持ちます。

経費精算や請求書処理は各部署から経理に作業が集まり、月末に山ができます。

手作業が多いほどこの山は高くなり、確認や差し戻しのやり取りで時間を奪われます。

山をならすには、入力の自動化や外部化で処理能力を平準化することが有効です(参考:『経理の繁忙期を乗り切るステップ』)。

【土台】業務を棚卸しして仕組み化する(標準化・ペーパーレス)

効率化の土台は、ツール導入ではなく「業務の棚卸しと標準化」です。
手順が決まって初めて、自動化や外部化が効きます。

まず取り組むべきは、お金をかけずにできる標準化とペーパーレス化です。

ここを飛ばしてシステムだけ入れても、非効率な手順がそのまま自動化されるだけになります。

定型業務を棚卸しして標準化・マニュアル化する(効果 ★★★ / 手軽さ ★★☆)

お金をかけずに今日から始められ、他のすべての効率化の土台になる最優先の一手。
作業を書き出して手順をそろえるだけで、ミスと属人化が一気に減ります。

経理業務の多くは、毎月・毎年ほぼ同じ手順を繰り返す定型業務。

ところが「担当者の頭の中にしか手順がない」状態だと、本人が休むと業務が止まり、引き継ぎのたびにやり方がブレます。

まずは記帳・入金消込・経費精算・支払といった作業を一つずつ書き出し、「いつ・誰が・何を・どの順番で」やるかをマニュアル化しましょう。

標準化はツール導入の前提条件でもあり、手順が決まっていない業務をそのままシステム化しても、非効率がそのまま自動化されるだけです。

  1. 1か月〜1年の経理業務をすべて書き出し、日次・月次・年次に分類する
  2. 各作業の手順・使う資料・締め日・担当を1枚のマニュアル(または手順書)にまとめる
  3. 勘定科目の使い方や仕訳ルールの判断基準も明文化し、迷いをなくす
  4. 書類のフォーマット(請求書・経費申請・稟議)を社内で統一する
  5. 四半期ごとに手順を見直し、変わった点をマニュアルに反映する
  • コツ:最初から完璧なマニュアルを目指さない。まず「自分が1週間休んでも業務が回る最低限」をメモ書きで作り、使いながら更新・改善するのが挫折しないコツ。
  • 着手すべきは、ツール導入の前段階にいる会社、担当者が1〜数名で属人化しているチーム、引き継ぎや退職に不安がある経理。

そもそも業務標準化とは何かから整理したい場合は『業務標準化とは何かをわかりやすく解説』を、月次の締め作業を抜け漏れなく進めるには『月次決算のやることチェックリスト』のページをあわせてご覧ください。

ペーパーレス化し電子帳簿保存法に対応する(効果 ★★★ / 手軽さ ★★☆)

紙の保管・検索・押印のムダをなくし、法令対応と効率化を同時に進める。
電子取引データの電子保存は義務なので、対応は「やるか」ではなく「どう進めるか」の段階です。

2022年1月施行の改正電子帳簿保存法により、メールやWebで受け取った請求書・領収書などの電子取引データは、原則として電子データのまま保存することが義務づけられました。

2年間の宥恕期間を経て、2024年1月からは原則どおりの対応が求められています(相当の理由がある場合の猶予措置はあります)。

紙の書類をファイリングして探す、押印のために出社する、といった作業はそのまま効率化の対象。

スキャンや電子保存に切り替えれば、検索性が上がり、保管スペースとテレワークの壁も同時に解消できます。

最新の要件は必ず公的な一次情報で確認してください。

  1. 自社が受け取る・発行する書類を「紙/電子」で棚卸しする
  2. 電子で受け取った請求書・領収書は、電子のまま要件に沿って保存する運用に変える
  3. 紙で受け取る書類はスキャナ保存に切り替え、ファイル名・保存先のルールを決める
  4. 日付・金額・取引先で検索できる形(検索要件)を満たすよう保存方法を整える
  5. インボイス制度の電子インボイスも電子帳簿保存法に沿って保存する
  • コツ:いきなり全書類をゼロにしようとせず、「電子で届くものを紙に印刷しない」ことから始める。要件の詳細は国税庁の一次情報で確認する。
  • 着手すべきは、紙の請求書・領収書の保管や検索に時間を取られている会社、電子帳簿保存法・インボイス対応がまだ途中の経理。

電子でやり取りしたインボイスの保存も電子帳簿保存法に沿って行う必要があり、制度の全体像は国税庁『消費税 インボイス制度特設サイト』で確認できます。条文そのものはe-Gov法令検索から参照できます。

【自動化】ツールで入力・仕訳をなくす

銀行・カード連携から自動取り込み・自動仕訳・確認だけへと入力をなくす自動化の流れ図

標準化ができたら、次は入力そのものを人から機械へ移しましょう。
手入力・二重入力を根本からなくすのが自動化の目的です。

会計ソフトやシステムは、明細の取り込み・仕訳・保存を自動化し、人の手を「確認」に集中させます。

国としても、中小企業のデジタル化・業務効率化を後押ししています(参考:経済産業省「DX推進」)。

クラウド会計ソフトで記帳・仕訳を自動化する(効果 ★★★ / 手軽さ ★★☆)

銀行口座やクレジットカードを連携し、明細を自動で取り込んで仕訳候補まで作る。
手入力と二重入力を根本から減らす、自動化の本丸です。

クラウド会計ソフトは、銀行口座・クレジットカード・決済サービスと連携し、入出金明細を自動で取り込むことが可能。

取り込んだ明細には勘定科目の候補が自動で提案され、一度ルールを学習させれば次回から同じ仕訳が自動で付きます。

手書きの出納帳やエクセルへの転記、通帳を見ながらの入力といった作業が大幅に減り、月次の締めも早まります。

クラウド型は法改正時のアップデートが自動で反映され、インボイスや電子帳簿保存法への対応も製品側で進むため、制度変更のたびに手作業で追従する負担も軽くなります。

  1. 主要な銀行口座・クレジットカード・決済サービスをソフトに連携する
  2. 取り込んだ明細に対し、よく使う取引の自動仕訳ルールを登録する
  3. 請求書発行・経費精算など周辺機能も同じソフト内に寄せ、データの分断を防ぐ
  4. 月次で「自動仕訳の確認→例外だけ手修正」の運用に切り替える
  5. 顧問税理士とデータを共有し、やり取りをオンラインで完結させる
  • コツ:連携直後は自動仕訳の精度が低くても、数か月調整を重ねれば確認作業中心にできる。最初の設定を丁寧にやるほど後がラクになる。
  • 着手すべきは、エクセルや手書きで記帳している会社、二重入力や転記ミスが多いチーム、月次決算を早期化したい経理。

経費精算・請求書処理をシステム化する(AI-OCR)(効果 ★★☆ / 手軽さ ★★☆)

申請・承認・支払・保存をシステムでつなぎ、領収書や請求書はAI-OCRで自動読み取り。
経理に申請が集中する月末の繁忙期を軽量化しましょう。

経費精算や請求書処理は、各部署から経理に作業が集中しやすく、差し戻しや確認のやり取りで時間を奪われがちな領域。

経費精算システムを使えば、申請者がスマホで領収書を撮影し、AI-OCRが日付・金額・取引先を自動で読み取ります。

承認ルートもシステム上で完結するため、紙の回覧や押印待ちがなくなります。

請求書受領サービスも同様に、届いた請求書を自動でデータ化し、支払データや仕訳データとして会計ソフトへ連携できます。

入力そのものを人から機械へ移すことで、繁忙期の残業を減らせます。

  1. 経費精算・請求書受領のうち、件数が多く手間になっている方から着手する
  2. 領収書・請求書をAI-OCRで読み取り、入力レスで申請できる形にする
  3. 承認ルートと上限額などのチェックをシステムのルールに落とし込む
  4. 承認済みデータを会計ソフト・支払データへ自動連携し、二重入力をなくす
  5. 電子で受け取ったデータはそのまま電子帳簿保存法の要件で保存する
  • コツ:全社展開の前に一部署で試し、申請者が使いやすい入力画面か、差し戻しが減るかを確かめてから本格導入すると定着しやすい。
  • 相性がいいのは、経費・請求書の件数が多い会社、月末月初に申請が集中して残業が出るチーム、テレワークで紙の回覧がネックになっている経理。

請求書や行政手続のデジタル化は国全体でも進められており、最新の動向はデジタル庁でも確認できます。

エクセルの関数・テンプレート・ショートカットで手作業を減らす(効果 ★★☆ / 手軽さ ★★★)

ツールを入れる前でも、今あるエクセルの使い方を見直すだけで集計や転記は速くなる。
もっとも手軽に、今日から効果が出る対処法です。

会計ソフトやシステムを入れるのが難しい段階でも、エクセルの使い方を磨くだけで多くの手作業は減らせます。

VLOOKUPやSUMIFで転記・集計を自動化し、テンプレートを作って毎月ゼロから作り直すのをやめ、ピボットテーブルで集計表を一瞬で組み替える。

入力規則や条件付き書式でミスを未然に防ぐこともできます。

ただしエクセルは個人作業に強い一方、複数人で同時に触ると最新版が分からなくなる、関数が複雑化して作成者しか触れなくなる、といった限界もあります。

まずはエクセル管理を導入し、チームがオペレーションに慣れたら専用ツールに引き継ぐ、と役割を分けるのがおすすめ。

  1. 毎月作る集計表・管理表をテンプレート化し、作り直しをやめる
  2. 転記・突合はVLOOKUP/XLOOKUP、集計はSUMIF/ピボットテーブルで自動化する
  3. 入力規則・条件付き書式で、入力ミスや期限超過をその場で気づける形にする
  4. よく使う操作はショートカットを覚え、手作業の時間を圧縮する
  5. 同時編集や属人化で限界が見えたら、専用ツールへの移行を検討する
  • コツ:凝った関数を増やすほど「作成者しか触れない表」になりがち。共有する表ほどシンプルに作り、複雑な計算は会計ソフト側に任せる。
  • 相性がいいのは、まだツール投資が難しい小規模な会社、手元のエクセル運用にムダが残っているチーム、脱エクセルの前段としてまず改善したい経理。

エクセルの限界が見えてきたら、専用の仕組みへ役割を引き継ぐ時期。移行の考え方は『脱エクセルの進め方』のページで整理しています。

【体制】人の使い方を変える(外部化・平準化)

対策前は繁忙期に山がある状態から、対策後は業務量が平準化された状態への変化を示す図

ツールで減らしきれない部分は、「誰がやるか」を見直しましょう。
外部化とRPAで、繁忙期を軽量化し、社内はコア業務に集中します。

標準化と自動化を進めても、人手が必要な定型作業は残ります。

そこで有効なのが、外部の専門家に任せる「アウトソーシング」と、PC操作を自動実行する「RPA」。

どちらも繁忙期の負担をならし、社内のリソースを判断業務へ振り向けるための打ち手です。

経理の年間・月次のスケジュールを仕組みにする方法は『経理のスケジュール管理を仕組みにする方法』のページも参考になります。

記帳代行・BPOに業務をアウトソーシングする(効果 ★★☆ / 手軽さ ★★☆)

記帳や給与計算などの定型業務を外部の専門家に任せ、社内は判断業務に集中する。
採用難や一人経理に効果的な選択肢です。

記帳代行やBPO(業務プロセスの外部委託)を使えば、仕訳入力・経費精算・給与計算・支払業務といった定型作業を外部の専門家に委託できます。

経理人材の採用が難しい、一人経理で属人化・退職リスクが高い、繁忙期だけ手が足りない、といった課題に対して、固定費を抱えずに処理能力を確保できるのが利点。

委託にあたっては、社内に残す判断業務(資金繰り・経営数字の分析・税務方針)と、外に出す作業業務を切り分けることが重要です。

何をどの手順で任せるかが曖昧なままだと、やり取りがかえって煩雑になるため、前提として業務の標準化(対処法1)ができていると委託がスムーズに進みます。

  1. 社内に残す判断業務と、外部に出せる定型作業を切り分ける
  2. 委託する業務の手順・必要書類・締め日を整理して渡せる形にする
  3. 記帳代行・BPO・税理士事務所など委託先を比較し、対応範囲と費用を確認する
  4. やり取りはクラウドで行い、資料の受け渡しをオンラインで完結させる
  5. 委託後も社内で数字を確認できるよう、月次の報告の形を決めておく
  • コツ:いきなり全部を任せるのではなく、まず「記帳だけ」など範囲を絞って委託し、品質とやり取りの手間を見てから広げると失敗しにくい。
  • おすすめなのは、経理人材の採用が難しい会社、一人経理で退職・属人化リスクが高いチーム、コア業務に社内リソースを集中させたい経営者。

RPAで繰り返しのPC作業を自動実行する(効果 ★★☆ / 手軽さ ★☆☆)

複数システムをまたぐ転記やダウンロード、定型のデータ加工をソフトウェアのロボットに任せる。
標準化・システム化が進んだ先の、仕上げの自動化です。

RPA(Robotic Process Automation)は、人がPC上で繰り返している操作をソフトウェアのロボットに記録・再現させる技術のこと。

複数のシステムから明細をダウンロードして集計する、社内システムへ同じデータを転記する、定型のレポートを毎月作成するといった、ルールが決まっていて判断を伴わない作業に向きます。

会計ソフトやシステムの標準機能で自動化しきれない「システムとシステムのすき間」を埋めるのが得意分野。

ただし導入・保守にはある程度の体制が必要で、手順が標準化されていない業務をそのまま自動化すると、業務変更のたびにロボットが動かなくなります。

まず標準化とシステム化を進め、それでも残る定型作業にRPAをあてるのが順序です。

  1. 繰り返し発生し、判断を伴わないPC作業を洗い出す
  2. まず手順を標準化し、例外処理のパターンも含めて整理する
  3. 対象業務が自動化に見合うか(頻度×工数)を見積もる
  4. 小さな業務でスモールスタートし、効果と保守のしやすさを確かめる
  5. 業務変更時にロボットを誰がメンテナンスするかを決めておく
  • コツ:「何でもRPA」にしない。頻度が高く手順が安定している作業に絞ると投資対効果が出やすい。標準化できていない業務は自動化より先に手順を固める。
  • 相性がいいのは、標準化・システム化がある程度進んだ会社、複数システムをまたぐ転記作業が多いチーム、さらに一段の自動化を目指す経理。

RPAやIT活用の進め方は、中小企業向けの支援情報も参考になります(独立行政法人 情報処理推進機構(IPA))。

個人の効率化からチームの経理業務管理へ

個人の工夫には限界があり、チームで見える化して管理する段階へ移る概念図

個人の作業効率を上げるだけでは、属人化と繁忙期の集中は解消しきれません。
最後の一歩は、経理業務をチームで見える化することです。

ここまでの対処法は、突き詰めると「経理業務を一人の頭の中から、チームで共有できる状態へ移す」こと。

誰が・どの作業を・いつまでにやるかが見えていれば、担当者が休んでも業務は止まらず、遅れや抜け漏れにも早く気づけます。

なぜ個人の効率化だけでは限界なのか

一人の工夫で速くできる範囲には限りがあり、担当者が抜けた瞬間にゼロに戻ってしまいます。

個人のテクニックで処理を速めても、その知識が共有されていなければ、休職・退職でノウハウごと失われます。

生産性を継続的に高めるには、仕組みをチームに根づかせることが欠かせません。

チームで共有する仕組みを定着させる1番の近道は、「チームのタスク管理」と「タスクの見える化」です。

チームで経理業務を見える化する

月次決算・支払・経費処理といった業務を一覧で共有し、進捗と期限を全員が見られる状態にしましょう。

経理の定型業務を「誰が・何を・いつまでに」の形でチームの一覧に落とし込むと、締め作業の進捗が可視化され、確認漏れや期限遅れを事前に防げます。

業務の見える化の具体的な進め方は『業務の見える化の進め方』のページでも解説しています。

スモールスタートで効率化を定着させる

一度にすべてを変えようとせず、効果の大きい1業務から始めて成功体験を積むのが、定着の近道です。

効率化は「導入して終わり」ではなく、使い続けて初めて効果が出ます。

最初から全業務を変えようとすると現場が混乱し、元のやり方に戻ってしまいがち。

次の順番で小さく始め、回り出したら範囲を広げましょう。

  1. 1つの業務を選ぶ:件数が多く手間になっている業務(経費精算・記帳など)を1つ決める。
  2. 手順を標準化する:その業務のやり方を書き出し、マニュアルにそろえる。
  3. ツール・外部化を試す:対象を絞ってツール導入や委託を試し、効果と手間を確かめる。
  4. チームで共有する:進捗と期限を一覧で見える化し、担当が変わっても回る形にする。
  5. 次の業務へ広げる:成功したやり方を横展開し、効率化を定着させる。

経理業務の効率化は「個人が速く処理する」段階から、チーム全員で・毎月・抜け漏れなく回す段階へ進めると、繁忙期の集中や属人化まで解消できます。

経理のタスクをチームで見える化するなら『スーツアップ』

私たちが開発・運営するスーツアップは、表計算ソフトのような操作で、チームの「タスクの見える化」をして、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぐツールです。重厚な管理表を作り込むのではなく「「誰が・どのようなタスクを・いつまでに」の3つに絞って、みんながいつでも見られるチームのタスク管理」に振り切っています。

・表計算ソフトのような操作で、月次決算や支払などの定型タスクをチームで共有
・自動の期限通知で、締めの抜け漏れ・期限遅れを防ぐ
・タスクのひな型やAIによる自動作成で、毎月の段取りの手間も最小限に

※ 無料トライアルあり(最新の料金・機能は公式サイトでご確認ください)

よくある質問(FAQ)

経理業務の効率化について、よく寄せられる疑問をまとめました。

経理業務の効率化は、何から始めればいいですか?

まずはお金をかけずにできる「業務の標準化・マニュアル化」から始めるのが王道です。作業を書き出して手順をそろえると、ミスと属人化が減り、その後のツール導入や外部委託もスムーズに進みます。手順が決まっていない業務をそのままシステム化しても、非効率がそのまま自動化されるだけなので、標準化を土台に置くのがおすすめです。

お金をかけずにできる効率化はありますか?

あります。業務の標準化・マニュアル化、エクセルの関数やテンプレートの活用、書類フォーマットの統一、電子で届いた書類を紙に印刷しない運用への切り替えなどは、追加コストをほとんどかけずに始められます。まず手軽で効果の大きいものから着手し、効果を見ながらツール投資を検討すると失敗しにくいです。

電子帳簿保存法には、いつまでに対応が必要ですか?

メールやWebで受け取った請求書・領収書などの電子取引データは、原則として電子データのまま保存することが義務づけられています。2年間の宥恕期間を経て、2024年1月からは原則どおりの対応が求められています(相当の理由がある場合の猶予措置はあります)。自社が対象かどうかや具体的な保存要件は、国税庁の一次情報で必ず確認してください。

クラウド会計ソフトを入れると、どのくらい効率化できますか?

銀行口座やクレジットカードを連携すると、入出金明細が自動で取り込まれ、勘定科目の候補まで自動で提案されます。手書きの出納帳やエクセルへの転記、二重入力が大幅に減り、月次の締めも早まります。効果の大きさは現状の手入力量によりますが、転記作業が多い会社ほど効率化の余地は大きくなります。

経理をアウトソーシングすべきか、社内でやるべきか迷っています。

資金繰りや経営数字の分析、税務方針といった判断業務は社内に残し、仕訳入力や給与計算などの定型作業は外部に出す、という切り分けが基本です。採用が難しい・一人経理で属人化している・繁忙期だけ手が足りない、といった場合はアウトソーシングが有効です。いきなり全部を出さず、範囲を絞って委託し、品質とやり取りの手間を見てから広げると失敗しにくいです。

ツールをたくさん入れたのに、効率化を実感できません。

多くの場合、業務の標準化が追いついていないことが原因です。手順が決まっていない業務をツール化すると、例外対応や二重入力が残り、かえって手間が増えます。まず作業を棚卸しして手順をそろえ、紙・手入力・二重入力を減らしてから自動化する、という順番を見直すと効果が出やすくなります。

属人化や繁忙期の集中は、ツールだけで解消できますか?

ツールによる自動化は有効ですが、それだけでは不十分です。根本的には、経理業務を「誰が・何を・いつまでに」の形でチームで見える化し、担当者が変わっても回る状態にすることが必要です。進捗と期限を全員が共有できれば、特定の人への集中や締め作業の抜け漏れを事前に防げます。

まとめ:経理業務は、効果と手軽さの順に、仕組みで効率化する

経理業務の効率化は、標準化という土台づくりから始め、ペーパーレス化・自動化・外部化を効果と手軽さの順に重ねていくのが近道です。

最後にチェックリストで、自社の進め方を振り返りましょう。

経理効率化チェックリスト
  • 定型業務を棚卸しし、手順をマニュアル化できている
  • 電子で届く請求書・領収書を、要件に沿って電子のまま保存している
  • 銀行・カード連携で記帳・仕訳を自動化している
  • 経費精算・請求書処理をAI-OCRなどでシステム化している
  • エクセルは関数・テンプレートでムダを減らし、限界なら移行を検討している
  • 定型作業の外部化・RPAで繁忙期の山をならしている
  • 経理業務を「誰が・何を・いつまでに」でチームに見える化している

覚えておきたいのは、効率化のゴールは「作業を速くすること」ではなく、ミスを減らし、人を判断業務に回せる経理をつくることだという点です。

個人の工夫で完結する間はエクセルや手作業で、チームで回す段階になったら見える化に特化した仕組みへ——役割を引き継ぐ発想で、無理なく続けられる効率化を目指しましょう。

参考文献・出典

チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

 

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この記事を書いた人

小松裕介のアバター 小松裕介 代表取締役社長CEO

株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松 裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。
2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。
2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

2025年5月に、『1+1が10になる組織のつくりかた チームのタスク管理による生産性向上』を出版。

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