エクセルで出勤簿を作成する方法!メリット・デメリットもあわせて解説

月末になると、タイムカードや手書きのメモを見ながら電卓で労働時間を集計する——その作業、エクセルの出勤簿に置き換えれば今月で最後にできます。
出勤簿は様式が法律で決められていないため、エクセルで作成しても法的にまったく問題ありません。
この記事では、そのまま使える無料テンプレート(コピペ用CSV+エクセルファイル)を配布したうえで、自作するための7ステップ、労働時間を自動計算する数式、そして保存期間や記録単位といった法律上の注意点までを一気に解説します。
筆者はチームの仕事の見える化を支援する会社として、エクセル管理の良さも限界も日々見てきました。
エクセルを否定するのではなく、「エクセルでどこまでできるか」と「どこからツールに任せるべきか」の線引きまで、実務目線でお伝えします。
【結論】エクセル出勤簿は3つのルートで作れる

結論から言うと、エクセルの出勤簿づくりには「テンプレートを使う」「自作する」「勤怠管理システムに任せる」の3つのルートがあります。
最短で今日から使いたいなら、この記事のテンプレートをダウンロードするのが5分で終わる近道です。
仕組みを理解して自社仕様に育てたい方は、7ステップの自作手順から入ってください。
自分に合うルートの選び方
→ 表は横にスクロールできます
| ルート | 向いている人 | 所要の目安 | 案内先 |
|---|---|---|---|
| テンプレートを使う | 今日から記録を始めたい/様式にこだわりがない | 約5分 | この記事のテンプレート |
| エクセルで自作する | 自社の勤務形態に合わせたい/数式を理解して育てたい | 1〜2時間 | 作り方7ステップ |
| 勤怠管理システム | 従業員が増えた/打刻の客観性や法改正対応まで任せたい | 検討〜導入で数週間 | 切り替えの目安 |
どのルートでも、出勤簿が果たすべき役割は同じで、「誰が・いつ・何時間働いたか」を正確に記録して保存することです。
この役割は労働基準法と厚生労働省のガイドラインで裏づけられた会社の義務なので、様式の自由さと混同しないことが大切です。
作る前に押さえる3つの最低ライン
- 始業・終業時刻を労働日ごとに記録する(日数や合計時間だけの記録では不足)
- 記録は1分単位が原則(15分・30分単位の日々の切り捨ては認められない)
- 完結の日から5年(当分の間3年)保存する(電子データでの保存も可)
この3つを満たしていれば、手書きでもエクセルでも、出勤簿として通用します。
逆に、どれか1つでも欠けると、労働基準監督署の調査や残業代の計算で「記録がない」扱いになりかねません。
出勤簿の基礎知識と法律ルール(保存期間5年・記載項目)

出勤簿は、単なる社内の記録メモではなく、法律で作成・保存が求められる帳簿です。
エクセルで作る前に、「何を書けば出勤簿として成立するのか」「いつまで保存するのか」という土台を5分で押さえておきましょう。
ここを飛ばすと、せっかく作った出勤簿が要件を満たさない「ただの表」になってしまいます。
出勤簿は「法定三帳簿」の1つ
労働者名簿(労働基準法第107条)・賃金台帳(同第108条)・出勤簿の3つが、いわゆる「法定三帳簿」と呼ばれています(労働基準法)。
このうち労働者名簿と賃金台帳は条文に名前が明記されていますが、出勤簿は少し性格が異なり、労働時間を適正に把握する義務と、労働関係の重要書類を保存する義務(同法第109条)から、実務上作成が必須となる帳簿です。
また、労働基準法施行規則第54条は、賃金台帳に労働日数・労働時間数・時間外労働時間数などを記入するよう定めています。
その数字の根拠になるのが出勤簿です。
つまり出勤簿が正確でなければ、賃金台帳も給与計算も正確になりようがない、という関係にあります。
記載すべき項目:始業・終業時刻の記録が核心
厚生労働省の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(2017年1月20日策定)は、使用者に対して労働日ごとの始業・終業時刻の確認と記録を求めています。
確認方法の原則は、使用者自らの現認か、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録といった客観的な記録です(同ガイドラインのリーフレット)。
エクセルの出勤簿に最低限入れるべき列は、次のとおりです。
- 氏名・対象月(誰の・いつの記録か)
- 日付・曜日
- 勤務区分(出勤・有給休暇・欠勤・休日など)
- 始業時刻・終業時刻(核心。時刻そのものを記録する)
- 休憩時間
- 実労働時間・時間外労働時間(数式で自動計算)
- 備考(遅刻・早退の理由、直行直帰など)
さらに、2019年4月施行の労働安全衛生法第66条の8の3により、管理監督者や裁量労働制の適用者も含めて「労働時間の状況」を客観的な方法で把握することが義務になりました。
役職者だから記録しなくてよい、という運用は現在では通用しません。
保存期間は5年(当分の間3年)
労働基準法第109条により、出勤簿を含む労働関係の重要書類は5年間(経過措置により当分の間は3年間)の保存が義務です。
2020年4月の法改正で従来の3年から延長されました(厚生労働省:改正労働基準法等に関するQ&A)。
起算日はその記録の最後の記載がされた日(記録の完結の日)です。
エクセルなどの電子データのままでの保存も認められます。
月ごとにファイルを確定させ、従業員別・年別のフォルダで管理しておくと、監督署の調査や労務トラブルの際にすぐ取り出せます。
上書きで消してしまわないよう、月次で確定版を別名保存するルールにしておくのが安全です。
出勤表・勤怠管理表との違い
→ 表は横にスクロールできます
| 帳票 | 役割 | 時間軸 |
|---|---|---|
| 出勤簿 | 実際に働いた記録(始業・終業・労働時間)を残す法定帳簿 | 過去(実績) |
| 出勤表・シフト表 | 誰がいつ働く予定かを組む予定表 | 未来(予定) |
| 勤怠管理表 | 出勤簿の記録を集計し、残業・休暇取得などを管理する実務帳票 | 過去〜現在(集計・管理) |
つまり「予定を組むのが出勤表、実績を記録するのが出勤簿、実績を束ねて分析するのが勤怠管理表」という関係です。
予定側の作り方はエクセルで出勤表(シフト表)を作る方法で、集計側はエクセルで勤怠管理表を作る方法で詳しく解説しているので、必要に応じて併せてご覧ください。
そのまま使える出勤簿の無料テンプレート

ここでは、前章の法律要件を満たす形で設計した1か月・1人用の出勤簿テンプレートを配布します。
コピペで使えるCSVと、書式設定済みのエクセルファイル(.xlsx)の2形式です。
会社名・氏名・対象月を書き換えれば、今日からそのまま使えます。
テンプレートのダウンロード(CSV・エクセル)
日付,曜日,勤務区分,始業時刻,終業時刻,休憩時間,実労働時間,時間外,備考
2026/8/3,月,出勤,9:00,18:00,1:00,8:00,0:00,
2026/8/4,火,出勤,9:00,19:30,1:00,9:30,1:30,
2026/8/5,水,出勤,9:30,18:00,1:00,7:30,0:00,通院のため始業繰り下げ
2026/8/6,木,有給休暇,,,,,,年次有給休暇管理簿にも記録
2026/8/7,金,出勤,9:00,18:00,1:00,8:00,0:00,
2026/8/8,土,休日,,,,,,
1行目に氏名と対象月の欄、2行目に見出し、3行目以降に日付を1か月分並べる構成です。
サンプル行には出勤・有給休暇・休日の記入例を入れているので、初日に消して使い始めてください。
列構成の意図:なぜこの並びなのか
毎日手で入力するのは勤務区分・始業時刻・終業時刻・休憩時間の4列だけです。
実労働時間と時間外の列は数式が計算するので、入力ミスの入り込む余地を減らせます。
勤務区分を「出勤・有給休暇・欠勤・休日」のプルダウンにしておくと、表記ゆれ(「有休」「年休」など)による集計漏れも防げます。
有給休暇の列を独立させず勤務区分に含めたのは、月末に区分ごとの日数を数えるだけで、年5日の年次有給休暇の確実な取得(2019年4月義務化)の進み具合を確認できるようにするためです。
取得日を年次有給休暇管理簿へ転記する運用まで決めておくと、労務書類がひとつながりになります。
自社用にカスタマイズする3つのポイント
- 所定労働時間を合わせる:1日8時間でなければ、時間外の式の「8:00」を自社の所定時間に変更する
- 勤務区分を実態に合わせる:在宅勤務・直行直帰・半休など、実際に使う区分をプルダウンに追加する
- 締め日に合わせて日付を並べる:21日締めなら21日〜翌20日で1シートにする(月初はじまりに固定しない)
注意したいのは、列を増やしすぎないことです。
毎日入力する帳票は、列が増えるほど記入されなくなります。
「記録しないと困る最小限」から始めて、必要になった列だけ足していくのが長続きのコツです。
様式と同じくらい大切なのが運用ルールです。
「入力は当日中(記憶が新しいうちに)」「上長が週1回まとめて確認する」「月末に本人と上長が署名または承認して確定する」——この3つを決めておくだけで、月末にまとめて思い出しながら書く“さかのぼり記入”を防げます。
さかのぼり記入は記録の正確性を大きく損なう、エクセル出勤簿の最大の弱点だからです。
エクセルで出勤簿を自作する手順7ステップ

ここからは、白紙のブックから出勤簿を組み立てる手順です。
全体は7ステップで、慣れていない方でも1〜2時間あれば完成します。
数式はすべてコピペで使える形で書いているので、手を動かしながら読み進めてください。
STEP1〜2:枠を作り、日付と曜日を自動で並べる
- 1行目に「会社名・氏名・対象月」の欄を作り、2〜3行目に見出し(日付・曜日・勤務区分・始業・終業・休憩・実労働・時間外・備考)を置く
- A4セルに月初の日付(例:2026/8/1)を入力し、A5セルに
=A4+1と入れて月末までコピーする - B4セルに
=TEXT(A4,"aaa")と入れてコピーすると、曜日(月・火…)が日付から自動表示される
TEXT関数は日付データを「月」「火」のような文字列表示に変換する関数です(Microsoftサポート:TEXT関数)。
曜日を手入力しないことで、月が変わっても日付セルを書き換えるだけで全体が正しく更新されます。
翌月へは、シートを複製してA4セルの日付だけ直すのが最短です。
STEP3〜4:時刻を入力し、実労働時間を自動計算する
- C列(始業)・D列(終業)・E列(休憩)に、時刻を「9:00」「18:00」「1:00」の形式で入力できるようにする
- F4セル(実労働時間)に
=IF(COUNT(C4:D4)<2,"",D4-C4-E4)と入力し、月末の行までコピーする - 未入力の日が「####」や誤計算にならないことを、サンプルの1週間分で確認する
| A | B | C | D | E | F | G | |
| 3 | 日付 | 曜日 | 始業 | 終業 | 休憩 | 実労働 | 時間外 |
| 4 | 8/3 | 月 | 9:00 | 19:30 | 1:00 | 9:30 | 1:30 |
| F4(実労働)の数式 → | =IF(COUNT(C4:D4)<2,"",D4-C4-E4) | ||||||
| G4(時間外)の数式 → | =IF(F4="","",MAX(0,F4-"8:00")) | ||||||
IF(COUNT(C4:D4)<2,… の部分は、始業と終業の両方が入力されるまで計算結果を空欄にしておくための条件です。これを入れないと、未入力の行に「マイナスの時間」やエラーが並んでしまいます。休憩が無い日も想定するなら、E列は空欄を0扱いにするため D4-C4-SUM(E4) の形にしても構いません。
STEP5〜6:時間外を計算し、月間を自動集計する
- G4セル(時間外)に
=IF(F4="","",MAX(0,F4-"8:00"))と入力して月末までコピーする(所定8時間の会社の例) - 月末の集計行に、実労働の合計
=SUM(F4:F34)・時間外の合計・出勤日数=COUNT(C4:C34)を置く - 合計セルの表示形式をユーザー定義
[h]:mmに変更し、24時間を超えても「170:30」のように表示されるようにする
表示形式[h]:mmへの変更は集計の必須設定です。
エクセルの標準では24時間を超えた時間が繰り上がって「10:30」のように見えてしまい、月160時間が「16:00」などと誤読される事故が起きます。
また、出勤日数を COUNT で数えているのは、始業時刻が入力された日=実際に出勤した日、と数えるためです。
集計のバリエーションはエクセルの集計のやり方も参考になります。
STEP7:見た目・入力規則・シート保護で「壊れない帳票」にする
- 条件付き書式の数式
=WEEKDAY($A4,2)>=6で土日の行に色を付ける(祝日は祝日リストとCOUNTIFで同様に可能) - 「データの入力規則」で勤務区分をリスト(出勤・有給休暇・欠勤・休日など)から選ぶプルダウンにする
- 数式の入った列(曜日・実労働・時間外・集計)をロックし、シート保護で入力列だけ編集可能にする
シート保護まで済ませると、「誰かが数式セルに時刻を直接入力して計算が壊れる」という、エクセル帳票で最も多い事故を防げます。
色や罫線の整え方は好みで構いませんが、印刷して使う場合はA4縦1枚に収まる列幅にしておくと現場で扱いやすくなります。
見やすい表づくりの原則はエクセルで見やすい表を作るテンプレートとコツにまとめています。
自動計算を支える関数と、ありがちなつまずきの対処

出勤簿づくりでエクセルに挫折する原因は、ほぼ「時間計算の仕組みを知らないまま数式を書くこと」にあります。
この章では、時刻データの基本と関数の早見表、そして質問の多いつまずき3つの対処をまとめます。
ここまで理解すれば、自社の勤務形態に合わせた応用が自力でできるようになります。
時刻計算の基本:エクセルは時間を「1日=1」で持っている
エクセル内部では、12:00は0.5、6:00は0.25という数値(シリアル値)として扱われます。
だから =D4-C4-E4 のような引き算だけで労働時間が計算でき、逆に「9:00」を文字列として入力してしまうと計算できなくなります。
時刻が計算に使えないときは、セルの表示形式が「文字列」になっていないかを最初に疑ってください。
この仕組みが分かると、MAX(0,F4-"8:00") が「実労働から8時間ぶんの数値を引き、マイナスなら0にする」計算だと読めるようになります。
勤務時間管理の数式パターンはエクセルでの勤務時間管理のやり方でも体系的に紹介しています。
出勤簿でよく使う関数の早見表
→ 表は横にスクロールできます
| 関数 | 出勤簿での使いどころ | 記入例 |
|---|---|---|
| TEXT | 日付から曜日を自動表示する | =TEXT(A4,"aaa") |
| IF/COUNT | 未入力の日を空欄のままにする | =IF(COUNT(C4:D4)<2,"",D4-C4-E4) |
| MAX | 所定時間を超えた分だけを時間外にする | =IF(F4="","",MAX(0,F4-"8:00")) |
| SUM | 実労働・時間外の月間合計 | =SUM(F4:F34)(表示形式 [h]:mm) |
| COUNTIF | 勤務区分ごとの日数を数える(有給取得日数など) | =COUNTIF(C4:C34,"有給休暇") |
| WEEKDAY | 条件付き書式で土日に色を付ける | =WEEKDAY($A4,2)>=6 |
関数の仕様を正確に確認したいときは、Microsoftサポートの関数一覧が一次情報です。
ブログなどの数式をコピーする場合も、引数の意味を公式リファレンスで一度確認しておくと、自社仕様に直すときに迷いません。
つまずき3パターンの対処法
→ 表は横にスクロールできます
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| セルに「####」が並ぶ | 列幅不足、または時刻の引き算がマイナスになっている | 列幅を広げる。マイナスになる場合は始業・終業の入力順やIF条件を見直す |
| 月合計が実際より小さい | 表示形式が標準のままで、24時間ごとに繰り上がっている | 合計セルの表示形式をユーザー定義 [h]:mm に変更する |
| 夜勤(日またぎ)の計算が狂う | 終業が始業より小さい時刻になり、引き算がマイナスになる | =IF(D4<C4,D4+1-C4-E4,D4-C4-E4) のように、日をまたいだら1日(=24時間)を足して計算する |
深夜勤務が恒常的にある職場では、22時〜翌5時の深夜労働時間(割増25%以上の対象)の列も分けて集計しておくと、割増賃金の計算が楽になります。
終業が日をまたがない職場なら、深夜時間の列に =IF(D4="","",MAX(0,D4-"22:00")) と入れるだけで「22時以降に働いた時間」を取り出せます。
ただし、日またぎの夜勤や休日出勤が複雑に絡む勤務形態では、数式がどんどん長くなり、作った本人にしか直せない「属人化した帳票」になっていきます。
数式のメンテナンスに毎月頭を悩ませるようになったら、それは次章で述べる勤怠管理システムへの切り替え検討ラインでもあります。
エクセル出勤簿のメリットと限界|システムに切り替える目安

エクセルの出勤簿は優れた道具ですが、万能ではありません。
この章では、メリットと限界を公平に整理したうえで、「どうなったら勤怠管理システムに切り替えるべきか」の目安を示します。
限界を知って使うことが、エクセル運用を長持ちさせる一番の方法です。
エクセルで作るメリット:小さく始めるには最良
- 追加費用ゼロ:既存のエクセルやスプレッドシートだけで始められる
- 自動計算できる:数式を一度組めば、集計の手作業と計算ミスが消える
- 様式が自由:勤務区分・締め日・列構成を自社の実態に完全に合わせられる
- 操作教育がほぼ不要:多くの職場で使い慣れているソフトなので、書き方を説明するだけで運用に乗る
特に従業員が10人前後までで勤務形態がシンプルな会社なら、この記事のテンプレートと数式で、法律要件を満たす運用が十分成立します。
紙とハンコの出勤簿から移るだけでも、月末の集計時間は大きく削減できます。
限界は5つ:人数と複雑さが増えるほど重くなる
- 自己申告が前提になる:本人がセルに入力する方式は、ガイドラインの言う客観的な記録より一段弱く、実態との乖離を定期的に確認する必要がある
- 改ざん・誤入力に弱い:セルは誰でも書き換えられ、修正履歴も既定では残らない
- ファイルが人数分に分裂する:従業員ごと・月ごとにファイルが増え、回収・集計・保存の管理コストが人数に比例して増える
- 同時編集や共有に難がある:共有フォルダ運用では「最新版はどれか」問題が起きやすい
- 法改正への追従が手作業:割増率や上限規制が変わるたび、数式と様式を自分で直す必要がある(時間外労働の上限規制のような制度変更は今後も続く)
管理コストの試算例:従業員20人の会社で、ファイルの回収・催促に1人あたり月10分、月末の集計と給与計算への転記に3時間かかるとすると、それだけで月6〜7時間が出勤簿の管理に消えます。時給2,000円換算で年間15万円前後。この数字が、システム移行を検討するときの比較対象になります。
複数人での更新が本格化してきたら、まずはエクセルをリアルタイムで同時編集する方法のような共同編集の工夫で延命できます。
それでも回収や突き合わせの手間が減らないなら、道具を変えるサインです。
勤怠管理システムに切り替える目安
- 従業員が20人を超え、ファイルの回収・集計が月数時間かかっている
- 夜勤・シフト・複数拠点など、数式でカバーしきれない勤務形態がある
- 打刻の客観性(改ざん防止・打刻時刻の自動記録)を求められている
- 残業の上限管理や有給5日取得のアラートを人力で追いきれていない
- 給与計算ソフトへ手で転記しており、転記ミスが起きたことがある
勤怠管理システムは打刻データという客観的記録がそのまま残るため、ガイドライン対応の観点でもエクセルの自己申告方式より一段強くなります。
月額数百円/人前後から使えるサービスが多く、集計・給与計算への連携まで自動化できます。
エクセルからの移行の進め方全般は脱エクセルの進め方で詳しく解説しています。
出勤簿の先へ:時間の見える化から仕事の見える化へ

出勤簿を整えると、「誰が何時間働いたか」が正確に見えるようになります。
ただ、経営や現場改善の観点では、それは半分にすぎません。
同じ8時間でも、その中身——誰がどの仕事を抱え、どれが期限に間に合っていないのか——が見えなければ、生産性は上げようがないからです。
出勤簿が映すのは「時間」だけ
日本の労働生産性はOECD加盟38カ国中29位(日本生産性本部:労働生産性の国際比較2024)にとどまり、とりわけ中小企業の労働生産性は大企業の半分以下という構造的な課題があります(中小企業庁:中小企業白書)。
この差は「働く時間の長さ」ではなく、時間の中身がどれだけ見える化され、改善されているかの差です。
出勤簿で時間の記録が整った会社の次の一手は、仕事そのものの見える化になります。
個人の記録からチームの見える化へ
株式会社スーツ 代表取締役社長CEOの小松裕介は、著書『1+1が10になる組織のつくりかた ── チームのタスク管理による生産性向上』(実業之日本社、2025年)で、チームの仕事を見える化する意義をこう述べています。
タスクの見える化が、改善のはじまりである。
小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた ── チームのタスク管理による生産性向上』実業之日本社、2025年、ISBN 978-4-408-65143-9
出勤簿と同じで、タスクも「記録されて、みんなから見える」状態になって初めて、偏りや抜け漏れに気づけます。
エクセルでタスク管理を始める方法はエクセルでのタスク管理のやり方で解説していますが、複数人で毎日更新する運用になると、出勤簿と同じ「ファイル分裂・最新版どれ問題」がやはり起きます。
私たちが開発・運営するスーツアップは、表計算ソフトのような操作でチームのタスクを見える化し、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぐツールです。表計算ソフトのような操作感なので、エクセルの出勤簿やタスク表に慣れた現場なら、特別な教育なしでそのまま移行できます。
「誰が・どのタスクを・いつまでに」をチーム全員で共有し、出勤簿で整えた“時間の見える化”の先にある“仕事の見える化”を仕組みにできます。
エクセルの出勤簿に関するよくある質問(FAQ)
最後に、エクセルの出勤簿について実務でよく受ける質問をまとめます。
エクセルや手書きの出勤簿でも法律上問題ありませんか?
問題ありません。出勤簿の様式は法律で定められておらず、紙でもエクセルなどの電子データでも有効です。
ただし労働日ごとの始業・終業時刻の記録、1分単位の記録、5年(当分の間3年)の保存という要件は様式にかかわらず必要です。
出勤簿の保存期間はいつから数えて5年(3年)ですか?
起算日は、その出勤簿に最後の記載がされた日(記録の完結の日)です。
たとえば2026年8月分の出勤簿なら、8月末の最終記載日から起算して5年(経過措置により当分の間は3年)保存します。
15分単位や30分単位で丸めて記録してもいいですか?
日々の労働時間の切り捨てはできません。記録は1分単位が原則です。
例外として、1か月の合計時間の30分未満切り捨て・30分以上切り上げは、賃金計算上の端数処理として通達(昭和63年基発第150号)で認められています。
管理職(管理監督者)や役員にも出勤簿は必要ですか?
管理監督者も対象です。労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月施行)により、管理監督者や裁量労働制の適用者を含めて労働時間の状況の把握が義務づけられています。
会社と委任関係にある役員は労働者ではないため義務の対象外ですが、健康管理の観点から記録している会社は少なくありません。
アルバイト・パートにも出勤簿は必要ですか?
必要です。労働時間の把握・記録・保存の義務は、雇用形態を問わずすべての労働者が対象です。
勤務時間が不規則な分、始業・終業時刻の記録はむしろ正社員以上に重要になります。
有給休暇は出勤簿にどう記録すればいいですか?
勤務区分の列に「有給休暇」と記録し、月末にCOUNTIF関数で取得日数を集計するのが簡単です。
なお年10日以上付与される労働者には年5日の確実な取得が義務であり、別途「年次有給休暇管理簿」の作成・保存(5年・当分の間3年)も必要です。
タイムカードがある場合、出勤簿は別に必要ですか?
タイムカードなどの客観的な打刻記録がそのまま労働時間の記録になっている場合、それ自体が出勤簿の役割を果たします。
その場合はタイムカードの記録(データ)を5年(当分の間3年)保存してください。打刻記録と別にエクセルで集計している場合は、両方を突き合わせられる状態で保存するのが安全です。
欠勤・遅刻・早退はどう記録すればいいですか?
欠勤は勤務区分に「欠勤」と記録し、遅刻・早退は実際の始業・終業時刻をそのまま記録したうえで、備考欄に理由を書くのが基本です。
所定時刻との差を自動で出したい場合は、所定始業時刻の列を設けて差分を数式で計算すると、集計まで自動化できます。
エクセルの出勤簿ファイルを保存するときの注意点はありますか?
月ごとに確定版を別名保存し、従業員別・年別のフォルダで管理してください。上書き運用だと過去の記録が消えるリスクがあります。
共有フォルダやクラウドストレージに置く場合は、本人以外が書き換えられないようアクセス権とシート保護を設定しておくと、記録の信頼性を保てます。
まとめ:出勤簿はテンプレートで今日から。限界が見えたら道具を変える
エクセルの出勤簿は、テンプレートを使えば今日から、自作でも7ステップで運用を始められます。
最後に、この記事の要点をチェックリストで再掲します。
- 労働日ごとの始業・終業時刻を記録する様式になっている
- 記録は1分単位(日々の切り捨てをしていない)
- 実労働・時間外は数式で自動計算し、合計は表示形式 [h]:mm
- 勤務区分はプルダウン化し、数式セルはシート保護済み
- 完結の日から5年(当分の間3年)保存するルールを決めた
- 従業員20人超・勤務形態の複雑化など、切り替えサインを定期的に点検する
出勤簿で「時間の見える化」が整ったら、次はチームの「仕事の見える化」です。
道具は目的に合わせて選び分けながら、記録を改善につなげていきましょう。
参考文献・出典
- e-Gov法令検索:労働基準法(第107条・第108条・第109条)
- e-Gov法令検索:労働基準法施行規則(第54条ほか)
- e-Gov法令検索:労働安全衛生法(第66条の8の3)
- 厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
- 厚生労働省:労働時間の適正な把握のために(ガイドライン リーフレット)
- 厚生労働省:改正労働基準法等に関するQ&A(記録の保存期間)
- 厚生労働省:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
- 厚生労働省:時間外労働の上限規制
- 厚生労働省:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引上げ(リーフレット)
- Microsoftサポート:TEXT関数/Microsoftサポート:エクセル関数(アルファベット順)
- 公益財団法人日本生産性本部:労働生産性の国際比較
- 中小企業庁:中小企業白書
- 小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた ── チームのタスク管理による生産性向上』(実業之日本社、2025年、ISBN 978-4-408-65143-9)
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。